延命はしないでほしい。でも苦しいのはいやなんです。
認知症の利用者様が入居されるときや、症状が悪化したタイミングで、いわゆる「延命」についてお話をさせて頂くことがあります。
そして、たいていの方は、「延命は希望しません。でも、痛みや苦しみは取ってあげてほしいです。」とおっしゃいます。当然のことだと思います。
では、「延命」ってなんでしょう?
呼吸器装着・経管栄養・高カロリー輸液・心臓マッサージ。この類のことでしょうか。
ところが高齢の方に対してのこの処置は、積極的に行わない医療機関も増えています。
では、これはどうでしょうか?
脱水を予防するための末梢点滴。
抗生物質の点滴。
排尿障害のためのバルンカテーテル留置。
肺炎治療のための酸素吸入。
これくらいはお願いしたいかも…そんな気持ちになりませんか?
熱が下がらなかったり、食事が食べられなくなったり、トイレに通えなくなったり、呼吸が苦しかったり…
年齢を重ねた高齢の方には、おのずとあらわれる症状です。
そして、認知症を対象としたグループホームでは、医療処置ができません。
提携する病院へ入院することになります。
認知症の方が入院することは、容易ではありません。
見たことのない真っ白の部屋。見たことないスタッフ。
適応できずに、治療が適切に受けられず、強制的に…といいますか、やんわりと退院の運びとなります…
ミトンや拘束ベルト、睡眠導入剤を使用しても、治療を希望しますか?
それは、望んだものですか?
延命の域に入りますか?
苦しみを取りたかったのに、苦しみを与えることになりませんか?
答えは自分の中にしかありません。
正解はありません。
選ぶことができます。
そこがなんともむつかしい。
『延命したくないけど、苦しいのはいや』
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?