手ぶらでキャンプができる注目の「Campify」 FLY代表取締役 木村さんに聞く起業の軌跡
キャンプ場の予約、グッズのレンタル、テントの設営・撤収などのキャンプ代行サービスを提供している「Campify」。誰もが気軽にキャンプを楽しむことができると注目を集めているサービスです。このサービスを考えたのは、「FLY株式会社」代表取締役社長である木村隆司さん。
木村さんは短期集中型の事業創出・資金調達プログラム”The First Movers”を通じて、サービスを考え、実現していった一人です。そんな木村さんに起業に至った理由、スタートアップへの道、 今後の夢などを伺いました。
楽天やベンチャー企業への参画から生まれた起業への道
———はじめに起業前の経歴を教えてください。
明治大学を卒業して、新卒で楽天に就職、楽天市場のECコンサルタントという出店しているお店の売り上げアップを支援する仕事をやっていました。
3年半在職した後に退職し、リフカムというリファラル採用の会社の立ち上げに参加して、新規開拓営業や営業組織の立ち上げをしたりと、売り上げをイチから作ることを経験しました。
その後、2018年の年末にリフカムを退職、2019年の1月からThe First Moversのプログラムに参加することが決まり、採択・出資いただくことが決まったタイミングで3月にFLYを作ったという流れです。
———起業を意識したのはいつでしたか?
大学3年のときに就職活動も兼ねて、サイバーエージェントや楽天などのインターンに参加したときですね。その頃サイバーエージェントは、スマートフォンでの新規事業に注力していて、それで僕も企画として携わることができました。当時はまだやりたいことも固まっていなかったのですが新しい事業を考えるというのはすごく面白いな、やってみたいなと思いました。
その頃はまだ明確に起業したいと考えていたのではなく漠然とした感じでしたが、新規事業に対する意識自体は大学生のときからあったと思います。
———起業に対し、具体的なビジョンを持つようになったのはいつですか?
楽天にいたときです。僕は関西の地方支社にいたのですが、出店しているお店・企業は楽天の売り上げ≒会社の売り上げという感じの中小企業がほとんどでした。そんな個人事業主のような社長さん達と経営状況なども見ながらガッツリ仕事させていただく中で、自然と起業を意識するようになっていきましたね。
スタートアップを明確に意識したのは、やはりリフカムでの経験です。起業することが決まってからは、リフカムの清水社長に相談することもありました。
The First Moversで「自分が使いたい」と思えるサービスが明確に
———プログラム応募時の起業アイデアはどんなものでしたか?そのアイデアに対し、すでに動いていましたか?
応募時のアイデアは「Campify」と同じくキャンプに関するもので、キャンプ用品のシェアリングでした。カバンのシェアリングで有名なラクサスに近いイメージです。キャンプ用品を持っている人が持っていない人にレンタルする、CtoCのマッチングのプラットフォームみたいなものをイメージとして持っていました。
そのアイデアに対して、実証する、身近なところで小さく実施してみるなどの動きはまだしていなかったです。
———応募時のアイデアがキャンプ、「Campify」もキャンプですが、この領域で事業として膨らませていった理由を教えてください。
どういうテーマでやるかと考えたとき、自分がターゲットになるサービスを作りたいなと思っていました。ちょうどその頃僕もキャンプを始めたばかりで、道具もそんなに持っておらずキャンプ場で借りると汚かったり、破れていたり……。自分なら同じレンタル品でも、よりよい体験を提供できるのじゃないかと。
自分の原体験で感じた不便さを解消するためと、アイデアを形にするためにThe First Moversのプログラムに参加しました。
———The First Moversのプログラムに参加されてよかった点は?
まず一つ目に、僕は事業をゼロから作るといった経験がなかったので、フレームワーク、基礎の部分からどんな手順で作っていけばいいかを体系的に学ぶことができたということがあります。次にその事業アイデアの事業検証で、担当のキャピタリストにしっかりと見てもらえたところがとてもよかったです。
———プログラムを通して印象に残っていることはありますか?こういう考え方があるのかと学んだことなどは?
はじめ僕は、キャンプ用品のレンタルというと、コストを割いてメルカリ的なCtoCプラットフォームのプロダクトを作り、検証しなければならないと思っていました。でも実際は、既存のプロダクトで事業検証できることを学びました。
借りる側と貸す側は別プロダクトにして、貸す側に関してはLPから事前登録してもらい、一方借りる側はネットショップ作成サービスのBASEでレンタルショップを作って、預かれそうな商品に本当に貸し手が見つかるのかというようなことを検証しました。
コストをかけずに既存のプロダクトで検証することができると学べたのは大きかったですし、何をすべきかという点も明確になっていきました。
今もThe First Moversのプログラム内で考えたものがサービスの主軸
———「Campify」のサービスについてもう少し教えてください。
創業した2019年3月からやっているサービスで、女性など初心者のキャンパーの代わりにキャンプ場予約やキャンプ用品のレンタル、テントの設営などの依頼を、LINE上から受けるというものです。
キャンプ初心者にとって火を起こしたり、テントを張ったりというのはなかなかハードルが高い作業じゃないでしょうか。
でも「Campify」を使えば、手ぶらでキャンプ場に行き、誰でも本格的でおしゃれなキャンプを楽しむことができるというものです。
———「Campify」のサービスは、プログラム終了した段階でのPoCの延長線上にあるものですか?それともピボットしましたか?
していないです。CtoCのシェアリングサービスから今やっている「Campify」へのサービスへのピボットは、フェイズ1のときにやっていたので。検証していく中で、シェアリングサービスから「Campify」のサービスへと移行していきました。
そこから現在ではメディア事業やBtoBのプランなどもありますが、大きくは変わってないですね。なのでプログラム内で作ったものが、今のサービスの主軸といえます。
また、その当時の資料などは、今でも見ることが多いですね。資料を作るときなど、どういう考え方をすればいいのかといった思考の整理には役立っていると思います。
———プログラムのフェイズ2において、「Campify」のサービスで2回目の出資を受けられましたが、プログラム終了後の事業はどんな感じですか?
「Campify」のサービスに関していえば、プログラム内で1回目出資受けて2回目も出資受けた後にリリースしました。プログラム中に売り上げも立たない状態でサービスを始めて、今は月間での売り上げが着実に伸びています。これまで戦略的にターゲットを絞り、ユーザーに近いところで効果検証を行ったことで、PMF(プロダクトマーケットフィット)を達成している状態まで成長している実感はありますね。
———サムライインキュベートとの関係はどうですか?
現在も、隔週でキャピタリストの坪田さんとミーティングしているので、結構密にやりとりしています。資金調達は今まさに一緒に動いてもらっているところです。僕が事業計画を作り、坪田さんがチェックして直してくださっているという感じですね。
「アウトドアの最初の一歩を革新する」というビジョンを実現
———「Campify」のサービスは順調に伸びていますね。
はい。 先ほども言いましたが現在の売り上げが着実に伸びています。まだフルコミットのメンバーはいませんが、アルバイト・業務委託などを含めると15名くらい携わってくれている人がいて、サービスも会社も成長していると感じています。
———将来的にサービス拡大の構想の中で、どんな未来を作りたいか、また会社のビジョンなどがあれば教えてください。
FLYのビジョンに関しては、アウトドアの最初の一歩を革新するというビジョンを持っています。現在はアウトドアの中でも、キャンプという領域だけで事業展開していますが、将来的にはキャンプだけでなく、釣りや登山などアウトドアレジャー全般に関して最初の一歩を担うというところに広げていきたいですね。
最終的には僕たちがアウトドア人口を増やすことで、人類を元気にするというか、勢いを上げるといったことを目指していきたいと思っています。
The First Moversプログラム参加を考えている人へのメッセージ
———The First Moversプログラムへの応募を迷っている方、起業について悩んでいる方も多いかと思います。プログラム応募当時のご自身を振り返って、アドバイスやメッセージがあればお願いします。
僕は迷っているなら応募したほうがいいと思っています。起業というと大それたことに聞こえるかもしれないけれど、失敗しても再挑戦すればいいし、もとの道に戻ることだってできます。
僕もやっていく中で、3年前描いていた未来と現在とを比べると、違うことをやっているということも実際にあるので、とりあえずやってみたらいいんじゃないかなと思います。まずはチャレンジしてみてください。
スタートアップに興味がある人は最初の一歩を踏み出してみよう
今回は「FLY株式会社」代表取締役である木村さんに、起業までの経緯や事業の内容、将来のビジョン、そしてThe First Moversに参加されたうえでの実際の印象などを伺いました。
サムライインキュベートが運営する短期集中型の事業創出・資金調達プログラム"The First Movers"では、スタートアップ企業家と二人三脚で伴走する"Hands-In支援"をおこなっています。
The First Moversに少しでも興味を持たれた方は、お気軽にお問合せください。