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令和6年度 主な労働関係の法改正

主な労働関係の法改正

令和6年度がスタートし、既に半月が経ってしまいましたが、4月以降、労働関係での主な法改正は、どの様なものがあるでしょうか。

(1) 労働条件の明示義務
2024年4月1日以降に労働契約の締結または更新をする場合, 新しく4つの項目の明示が義務化されます。
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(2) 時間外労働の上限規制
2024年4月1日以降はその猶予期間が終了し建設業などでも適用されます。
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(3) 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大
2024年10月以降、被保険者数「51人以上」の企業等で働く週20時間以上の短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の加入が義務化されます。
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(4) 障害者雇用率の引き上げ
2024年4月から、障がい者雇用の法定雇用率は、0.2%上昇した2.5%となり、また、法改正により「従業員40.0人以上」の企業が対象となります。
詳細は→こちら

注目改正

さてこの中で、2024年10月以降、被保険者数「51人以上」の企業等で働く週20時間以上の短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の加入が義務化されますが、この改正に注目してみましょう。

(1)対象企業は?
 現在、厚生年金保険の被保険者数が101人以上の企業等で、週20時間以上働く短時間労働者は、厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象となっていますが、2024年10月以降は、1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない)の総数が51人以上となることが見込まれる企業等で働く短時間労働者の社会保険加入が義務化されるようになります。ちなみに、対象となる企業のことを特定適用事業所と言います。
  被保険者数の総数の考え方は、法人事業所の場合は、同一法人格に属する(法人番号が同一である)すべての適用事業所の被保険者数の総数とされ、また、個人事業所の場合は、適用事業所単位の被保険者数となります。

(2)加入する短時間労働者の要件は?
 対象企業で勤務する以下の条件にすべて該当する短時間労働者が加入対象となります。

 □    週所定労働時間が20時間以上
 ※1カ月単位で定められている場合は、1カ月の所定労働時間を12分の52で除して算定。なお、特定の月の所定労働時間に例外的な長短がある場合は特定の月を除いて算定します。
 ※1年単位で定められている場合は、1年間の所定労働時間を52で除して算定します。
 ※1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合は、その周期における1週間の所定労働時間の平均により算定します。
 
□    所定内賃金が月額8.8万円以上
 ※除外対象となるのは、臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)や、時間外労働・休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)、最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)は除外します。
 
□    2か月を超える雇用の見込みがある
 
□    学生ではない
 ※卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方、休学中の方、大学の夜間学部および高等学校の夜間等の定時制の課程の方等は対象となるります。

(3)特定適用事業所に該当する可能性があるかの判断は?
 令和5年10月から令和6年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6カ月以上50人を超えたことが確認できる場合は、令和6年9月上旬に対象の企業に対して「特定適用事業所該当事前のお知らせ」が送付され、令和6年10月上旬に「特定適用事業所該当通知書」を送付されることになります。
  また、令和6年8月に、令和5年10月から令和6年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が5カ月50人を超えたことが確認できる場合(令和6年9月までに1カ月以上50人を超えると特定適用事業所に該当する場合)は、令和6年9月上旬に対象の適用事業所に対して事前勧奨状として「特定適用事業所に関する重要なお知らせ」が送付されます。
 ※令和6年9月にも同様の確認を行い、令和5年10月から令和6年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が5カ月50人を超えたことが確認できる場合は、令和6年10月上旬に同通知が送付されます。

(4)手続きは?
 ①被保険者資格取得届
 ア.短時間労働者に該当する方は、事業主が「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出する必要があります。
 イ.被保険者資格取得届等の届出の際の「報酬月額」は、短時間労働者も一般の被保険者と同様に、臨時に支払われる賃金以外の時間外手当、精皆勤手当、通勤手当等も含めます。

 ②被保険者区分変更届
雇用契約の変更等により、「一般の被保険者」が「短時間労働者」となる場合、または「短時間労働者」が「一般の被保険者」となる場合は、「被保険者区分変更届」の提出が必要となります。


 



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