GoogleやMETAの本格参入が噂される、「NFT」の全貌
コインチェックでマーケティング担当をしている岡田(@sampling2x)です。
早速ですが、YouTube公式からヒカキンさんへNFTがプレゼントされたことはご存知でしょうか?
YouTubeが何の意図もなく、NFTをプレゼントする企業でないことは、自明です。
YouTubeのCEOであるスーザンが記載した「Our 2022 Priorities」というブログから、以下の文を引用します。
明確に「クリエイターがNFTなどの新技術を活用できるよう支援していく」と記載があります。
また年初から「FacebookとInstagram、NFTの作成や取引に対応する可能性」というニュースが出ています。
このようにテックジャイアントが、NFTという新技術に対して、前向きなスタンスを取っていることもあり、世間の注目も一段と高くなっています。
私の元にも「NFT教えてくれない?」とマーケターやBizDevからメッセージを頂くようになりました。
彼ら彼女らは投資側面としてのNFTというよりは、なぜNFTが流行っているのか?の全体感を知りたいという意向が強いです。
しかし「とりあえずこの記事見ておいて〜」と言えるような、網羅的にニーズを満たせそうな記事がないと感じていました。
このような背景もあり、本記事は「NFTに興味関心があり、これから本格的なインプットを検討している」方に向けて、「NFTの全体感を掴む」ことを目的として書いています。
具体的には「NFTとは?」「各種定量データ」「大企業の参入事例」等をフォローしています。
コストが高い本格的なインプットを行う前に、インプットの方向性を決めれるような立ち位置に、本記事がなれると嬉しいです。
1.NFTとは🔰
NFTとは「Non-Fungible Token」の略で、日本語訳すると、非代替性トークンです。
唯一無二のデジタルデータと言ったところでしょうか。
今回はNFTの特徴を、BAYCを例にして、説明します。
BAYCとは、以下のような、お猿さんのデジタルアートです。
単なるお猿さんの絵に見えますが、以下の #3001 のお猿さんを、ジャスティンビーバーが、約1.5億円で購入しています。
ではなぜ約1.5億円の価値がつくのでしょうか?
それはデジタルデータ(画像データetc)に唯一性を持たせているためです。
従来のインターネットではデータのコピーが容易でした。
現に私も #3001 のお猿さんの画像データをコピーをして、本記事に添付しています。
もし上記の画像がNFTでなければ、本物の所有者が不明になっています。
しかしNFTとして発行された、上記のお猿さんは違います。
お猿さんごとに、固有の識別子が与えられており、識別が可能になっています。
そしてNFTに使用されている、ブロックチェーンはオープンなデータベースであるため、画像の所有者は私ではなく、ジャスティンビーバーであることが公に証明されています。
ちなみに本来はジャスティンビーバーという個人と紐付けはできず、
0xe21dc18513e3e68a52f9fcdacfd56948d43a11c6
というアドレスが #3001を持っているということが証明されるのみです。
しかしジャスティンはInstagramにて、#3001 を購入したことを公表しているため、上記アドレスとジャスティン個人が紐づいているのです。
まとめると、デジタルデータに唯一性を持たせたことにより、データの所有が証明されることがNFTの特徴と言えます。
ちなみに法律上、有体物にしか「所有権」は認められていないため、現法では「NFT購入 = 所有権保有」にはなりません(参考はこちら)
あくまでもNFTというデータの所有を公に確認できるのみですが、唯一無二のデータの所有を証明できることを一因として、需要が高まり、約1.5億円もの価値がついています。
要は需給の行き着く先です。
限定スニーカーやポケモンカードが高騰している現象と根本的には同じです。
2.NFT保有者は超イノベーター👽
連日SNSやテレビでNFTが話題になっており、マス層に浸透したと錯覚している方も多いと思います。
しかし一度でもNFTを保有したことのあるユーザーは世界で約345万人です。
世界人口を79億人として、単純計算した場合、たった0.044%です。
イノベーター理論に当てはめると、2.5%まではイノベーターと言われているため、0.044%は超イノベーターと言えるでしょう。
マス層に突入すると言われている16%の普及には、程遠いのが現実です。
またガートナー社のハイプサイクルによると、2021年のNFTは「過度な期待」のピーク期であり、主流に採用されるまで約2-5年と定義されています。
3.NFTを構成する、5つの要素🗾
NFTという新技術により、様々なデジタル情報が、資産価値を持ったことで、新たなエコシステムが形成されています。
エコシステムは市場競争により、変化していくものだと考えられますが、現時点で筆者が考えるエコシステムを、「資産価値」と「プレイヤー」の2軸で簡易な図にしました。
①~⑤の順に説明していきます。
①暗号資産取引所(CRYPTO EXCHANGE)
様々なNFTにアクセスするためには、まず日本円をETHに両替する必要があります。
そして日本円をETHに両替できる場所が暗号資産取引所です。
アメリカ旅行の前に、日本円をドルへ両替するように、NFTの世界で遊ぶためには、基本的にはETHが必要になります。
国内で暗号資産取引所を営んでいる会社は合計30社です。
(引用 : 暗号資産交換業者登録一覧 - 金融庁)
引用からわかるように、金融庁による登録制となっています。
②イーサ(ETH)
まずイーサリアム(Ethereum)とイーサ(Ether)の違いを整理をします。
ちなみにETHは「Ether」の略です。
つまりイーサリアムはソフトウェア。
イーサ(ETH)はイーサリアムというソフトウェア内で使われる内部通貨です。
そしてNFTはイーサリアムというソフトウェア上で発行された、一意で代替不可能なデータであることが多いです。
そのためNFTを購入するためには、内部通貨であるETHが必要になるということです。
私はエンジニアではないため、イーサリアムの技術面に言及しませんが、ご興味ある方は、イーサリアムのホワイトペーパーをご覧ください。
③ウォレット(WALLET)
暗号資産取引所ってウォレット機能もあるよね?
なんでETHを別のウォレットに移動する必要があるの?
という疑問をお持ちの方も多いと思います。
しかしこの理由は至ってシンプルです。
それは国内暗号資産取引所と「OpenSea」を接続することができないからです。
OpenSeaとは、後述するNFTマーケットプレイスの1つです。
NFTマーケットプレイスで1強と言われており、時期によっては、約90%のシェアを占めます。
つまり現状では「NFTを売買する」=「OpenSeaで売買する」と言っても過言ではないのです。
ちなみにOpenSeaが対応するウォレットの中で、最もメジャーなウォレットがメタマスク(https://metamask.io/)です。
MAUは1,000万を超えるほどの規模感になっています(2021/8/31時点)
OpseSeaとメタマスクの接続方法は、以下の公式動画をご覧ください。
そもそも「ウォレットと暗号資産取引所は秘密鍵の保有の違いがあり、根本的に違うものだよね」というご意見もあると思います。
しかしここではNFTの全体像を捉えることが目的であるため、本記事での説明を省きます。
④NFT (NFT MARKETPLACE)
NFTを売買できるCtoCプラットフォームです。
メルカリのNFT版というイメージです。
NFTマーケットプレイスは国内外様々なサービスがありますが、上述の通り、OpenSeaがシェアの大半を占めています。
ちなみに2022年から緑色の「LooksRare」というマーケットプレイスのシェアが大きく増えていますが、これは一言でまとめると、「キャンペーン報酬を目的に、特定ユーザーの仮装売買」が増えているためです(詳細はこちら)
Googleトレンドの検索数においても、その差は歴然であるため、現時点ではOpenSeaの1強と考えておいて問題ありません。
⑤コンテンツクリエイター(CONTENT CREATER)
最後にコンテンツクリエイターです。
個人法人問わず、様々なコンテンツクリエイターがNFTを発行しています。
NFTの発行自体は簡単であるため(基本的にはOpenSeaからJPG, PNG, GIF等をアップロードするのみ)、まさに玉石混交な状況です。
もちろん多くの日本人クリエイターさんもNFTを発行されています。
miinさん(@NftPinuts)がスプレッドシートに纏めてくださっているので、リンクを共有させていただきます。
直近では、☠️ Kawaii SKULL 🌈@kawaiiskull_nft(@kawaiiskull_nft)さんが話題になっていますね。
「約10,000体のKawaii SKULL制作する!」と宣言されていから、圧倒的な熱量で、ひたむきに制作を続ける姿勢に、徐々にファンが増え、ついに10,000体が完売になったようです。
NFTによって、クリエイターとファンが直接繋がり、繋がりによって更なる熱量が生まれ、目標達成まで駆け抜けた、めちゃくちゃ胸熱な事例かと思います。
4.NFTの市場規模💰
さて、次は市場規模です。
NFTの多くは、CtoCマーケットプレイスで売買されます。
そして大半がOpenSeaで売買されているため、今回はOpenSeaのデータを使用します。
2021年4月から一気に取引高が増え、直近2022年1月には約8,000億円/月(2022/2/13,ドル円 = 115.9)となっています。
ちなみにOpenSeaの手数料は2.5%であるため、約200億円/月の粗利と想定されます。。。
8,000億円/月の市場規模と言われてもピンと来ないので、身近なメルカリやヤフオク等の国内CtoC-ECの市場データと比較してみます。
経済産業省の調査によると、2020年の推定市場規模は約2兆円/年です。
月次換算すると、約1,600億円/月となります。
つまりすでに「OpenSea」は「国内のCtoC-EC」と比較して、約5倍のマーケットになっているということになります。
アップルtoアップルではないため、あくまでも参考データにはなります。
しかし大企業が無視できない市場規模になっていることはご理解頂けたかと思います。
そんなOpenSeaの時価総額は、設立からたった約4年で、約1.5兆円となっています。
( NFTマーケット大手OpenSeaの評価額が約1.5兆円へ、わずか半年で約9倍に)
日本企業と比較すると、すでに楽天やスバルと同規模になります。
このことからも、NFTビジネスが急スピードで成長していることが、見て取れるかと思います。
5.大企業の参入事例👨💼
冒頭でGoogleやMETAの参入可能性について言及しましたが、すでに米国の大企業中心にNFTの参入が進んでいます。
以下に5つの事例を記載します。
①アディダス
adidas Originalsがメタバースの世界へ参入 ブランド史上初のNFTコレクションを発表
②ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトンのNFTモバイルゲーム、ダウンロード数が1週間で50万を突破
③マクドナルド
米マクドナルド、「マックリブNFT」プレゼント企画を発表
④コカ・コーラ
コカ・コーラが初のNFTコレクションを発表、OpenSeaで競売へ
⑤ツイッター
TwitterにおけるNFTのプロフィール画像について
この中でもアディダスとツイッターの事例について、もう少し深ぼって紹介していきます。
アディダス/NFTコレクション「Into The Metaverse」
まずはツイート内の動画をご覧ください。
アディダスがイメージするメタバースが直感的に理解できたと思います。
そして動画内のお猿さんが着用しているアディダスのバーチャルウェアをNFTとして販売したのが、今回の「Into The Metaverse」コレクションです。
販売された29,620個のNFTは一瞬で完売。
時価にして、なんと約26億円です。
またNFTを持っていると得られる特典は以下です(詳細はこちら)
ブロックチェーンを活用したNFTゲーム「The Sandbox」やその他プラットフォームで使用できるバーチャルウェアラブル
4つの限定物理アイテム(以下画像内にある、黄色のジャージセットアップ,オレンジキャップ,ブラックパーカー)
ではアディダスはなぜNFT及びメタバースに参入したのでしょうか?
アディダスのデジタルシニアディレクターであるテレク・ナズラウィ氏はインタビューにて、以下のように回答しています。
これは来たるメタバース時代において、ブランド力で儲けたいということを意図していると言えるでしょう。
もし人々がレディ・プレイヤー1やSAOのように、現実世界より仮想世界に可処分時間の多く使うような未来が来た場合、オフラインのファッションは相対的に価値を失うことは明らかだからです。
何も難しいことはなく、アディダスの限定スニーカーを見せびらかす場所がオフラインからオンラインに変わるだけということです。
ブランド力で商売をしているブランドが、こぞってデジタルファッションとしての、NFTに参入する理由の一つが上記です。
(グッチ/バーバーリー/ドルチェ&ガッバーナ)
もちろんメタバース上の消費に備えるのは、ファッション業界だけではありません。
例えばSNSマーケティング支援をメイン事業とされているホットリンクさんは、すでに可処分時間の多くをメタバース上で消費されることを見据え、情報収集を目的に、Web3.0企業へ出資をされていたりします。
代表の内山さんがYouTubeのインタビューにて、メタバースやNFTについてお話されている動画がとてもわかりやすいので、以下に添付します。
ツイッター/プロフィール画像にNFTが使用可能に
次はツイッターの事例です。
皆さんはTwitterのプロフィール画像に、NFTを設定できるようになったのはご存知でしょうか?(Twitter Blue利用者のみ設定可能)
イメージしづらいと思いますので、以下のTwitter Blueの公式アカウントをスマホでご覧ください。
六角形になっているプロフィール画像をクリックすると、以下のように表示されます。
また「NFTの詳細を表示」をクリックすると、作者や所有者が確認できる仕様になっています。
ではTwitterはどのようなニーズを捉えて、このような機能を試しているのでしょうか?
それは自己顕示欲です。
要は「自分が保有するNFTを共有・自慢したい」というニーズがあるということです。
自己顕示欲というと少しネガティブな要素を含んでいるように感じますが、人間の本能として、皆が平等に持つ、一般的な欲だと思います。
海外ではジャスティンビーバー等の著名人が、NFTをプロフィール画像に設定している例は、非常に多いです。
日本でも関口メンディーさんや水嶋ヒロさん等も、NFTプロフィールだったりします。
上記のようなニーズが一定存在するため、冒頭で紹介した「FacebookとInstagram、NFTの作成や取引に対応する可能性」という流れは、自己顕示欲を発散する要素を含むSNSとして、しごく当然の流れとも言えるでしょう。
このように様々な大企業がNFTに参入していますが、NFTは魔法の杖ではありません。
あくまでもユーザーのニーズを満たす手段の一つですので、NFTありきで思考するのは危険だと思います。
6.NFT用語集✍️
NFTの情報を追っていると、よくわからない単語が頻出すると思います。
例えばMINTやFloorPrice等。
いねおけ@NFT(@inaho_orchestra)さんが、NFT用語集を作られているので、インプットする前に目を通しておくだけで、効率が上がると思います。
7.日本市場はどんな感じ?💡
次に日本市場の現況を紹介します。
海外市場の爆発的な成長や大企業の参入事例を受けて、日本でもIT企業を中心に、NFT事業に参入する会社が増えています。
具体的には、楽天・メルカリ・mixi・LINE・DMM・GMO・UUUM等です。
上記企業は主にNFTマーケットプレイスのビジネスモデルで参入をしており、私が勤めるコインチェックも同様です。
ビジネス側だけでなく、著名なコンテンツクリエイターのNFT発行事例も徐々に出てきています。
村上隆・AMBUSH・藤原ヒロシ・A BATHING APE・ANREALAGE・Perfume等です。
このように日本市場も戦乱の様相を見せており、面白いフェーズに差し掛かって来ています。
また民間だけでなく、行政からの動きも出てきています。
衆議院議員の平将明議員を座長として、「NFT政策検討プロジェクトチーム」が発足されています。
平将明議員のインタビュー記事を添付しますので、ご覧ください。
「NFTを国の成長戦略に」自民党デジタル社会推進本部・平将明議員インタビュー
8.NFTは発展途上だからこそ、面白い⚡️
以下の孫正義さんの名言をご存知でしょうか?
本記事ではNFTのプラスな一面にフォーカスを当ててきましたが、ご存知の通り、実際はプラスな面だけではないです。
Discordで詐欺まがいの行為が横行していたり、資金調達後に雲隠れするプロジェクトがあったりします。
まさにいかがわしい感じになっています。
しかしその混沌だからこそ、味わえる楽しさもありますよ!
というのが、回りくどくなりましたが、お伝えしたかったことです。
私はマーケティングを職能としていますが、マーケターとしてのキャリアを歩む上でも、NFTや暗号資産ドメインほど成長できる環境はないとも感じています(ポジトークですので、話半分でどうぞ)
伸びている市場で戦えというやつです。
また暗号資産やNFTというわかりづらいモノを伝えていくことや、楽天やLINE等の大手IT企業が参入している黎明期の市場でどう勝っていくか?を考えることなどにも魅力に感じています。
本記事では、ぶっちゃけ、NFTの上澄みにしか触れられていません。
ですので、少しでもNFTや暗号資産に興味を持ってくださった方がいれば、ぜひカジュアルにお話できるとうれしいです!(TwitterでDM頂けるとmm)
以上、最後に宣伝でした。
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