見出し画像

KEYENCEの営業はなぜ強いのか?経験談から振り返り

今回は私の新卒での経験を形作ってくれたKEYENCE社での実体験と、
営業組織の強さとして定評なKEYENCEのその理由について解説をしていきます。
まず、下記の3つに分類して解説をしていきたいと思います。

1:組織構造

2:育成/教育制度

3:営業手法(PSSや客先攻略方法)

1:営業組織構造について

キーエンスの営業組織は製品ごとに部署が分かれています。
理由は、BtoB領域の商材を取り扱い、高度な知識で、
客先に競合製品との違いや活用方法の提案、課題がなぜ解決できるのかを提案ができるようにするためです。

なぜ上記のことを営業がする必要があるのか?という観点に関しては、マーケティング的な商法でもありますが、「ドリルを売るなら穴を売れ」ということを営業に強く意識をさせるようにしています。

そのため各商材について深い知識を学習し、
その知識がどんなシチュエーションでどんな伝え方や質問をすれば顧客に買ってもらえるか。
ひたすらチームメンバーでロープレと実践を行います。

各部署をソリューション領域毎や地域毎にただ分けるのではなくて、製品別に分けた方が、部署内での施策の浸透も変更も早くすることが可能になります。

営業の組織は各部署の各地域で責任者がおり、5〜7人程度の人数の
売上数字と営業力をマネジメントします。

営業会議自体は1ヶ月に2回程度の打合せのみで、基本的に営業時間は
顧客との折衝時間に当てます。

売るための営業組織づくりです。※風土と規律に関しては次回

2:採用/育成/教育制度

採用に関して

キーエンスの採用は非常に独特なものとなっております。

・一次面接:20秒PR
・二次面接:説得面接
・三次面接:論理思考面接、メンタル分析シート
・最終面接:これまでの面接の内容の補填と意思確認、履歴書チェック

上記の構成で私の時代は採用が行われておりました。

特徴的なのは、履歴書を最終まで提出する必要がないということ。

大方の日本企業では履歴書を提出させて、
学歴や経歴でスクリーニングを行い、
履歴書の内容に応じて面接官が面接をしてマッチングを測るということを行うのが一般的でしょうか。

履歴書など改竄がいくらでもできる。
履歴書を通して採りたい人材は測れないというのが採用の考え方です。

メンタリストDAIGOさんの動画も貼っておきます。(28分あたりからどうぞ、面接意味なし、2秒で相手が優秀かわかる)

写真では人物全体や雰囲気、話し方が伝わりませんから、
20秒面接でスクリーニングを行っております。
その後、論理さ、瞬発性、言語能力、売るための素養を面接で測ります。

面接の中ではWhy思考ができるかどうかと、提案に対して論理的に提案が可能かどうかを完全準備なしで対応することが求められます。

育成/教育制度に関して

採用後にはおおよそ半年間研修施設で製品勉強とロープレを行う日々が毎日続きます。受験生のような感覚です。笑
(研修時代に、開発の方にロープレをしてもらい、「何も響かない」と言われた時に、モチベーションを煽られたことを覚えています。笑 )

センサーの原理や電気配線の知識、通信技術の中身の知識など
前提となる知識から毎日トレーニングを受けます。
毎日テストがあり確実にキャッチアップしていく必要があります。
研修が終わり、営業所配属後は、最初の1ヶ月は先輩の営業に同行し、
営業の現場の仕事内容について学びます。

2ヶ月目には単独で営業を行います。

そしてこの時から、「外出報告書」というものを記載して、
訪問の事前にアポイントメントの客先の情報や、
商談の目的についてコーチと相談をし、
アポ取り段階のアクションに関しての振り返りと同時に、
訪問効果を最大限にするために、客先の情報についての確認と提案内容までの不足情報や提案内容、売るための情報収集についてFBを受けます。

客先に行った後に、
帰社後、記入が完了した外出報告書を提出して報告相談をするのですが、
「お客さんは大変気に入っていただけました」
このような報告内容ではコーチにきっちり指導を受けます。
「それは社交辞令や○○さんの思い込みの可能性もあるよね」
なぜいいと思ってくれているのか、本当にそれはいいのか?
その理由で顧客は商品を購入するのだろうか?
売れる案件というのはベテランの営業であれば感覚で分かります。
そのベテランの暗黙知的な売れるための情報が満たされる納得感が解消されるまで質問は続きます。

「ニーズの裏のニーズを把握せよ。」

客先にニーズがあるとされたことでも、その裏にはどのような背景があって、そのニーズがあるのかを掘り出すことが重要とされます。
上記のような内容の先輩との1:1の事前、事後の相談時間が必ずとられ、
これは会社として後輩を育てるための鉄則のルールとなっており、
もしもやっていないということがあれば、きつく上層部に指導を受けます。

これも社員を育成するという観点でキーエンスが非常に強い点です。

3:営業手法/営業ツール

キーエンスでの営業手法は会社攻略と担当者攻略の大きく二つの攻略方法があります。
会社攻略では、顧客の会社の購入までに必要な登場人物の整理から必要になります。
決定者、稟議担当者、選定者、運用者 基本的にこの4つの登場人物のそれぞれの購買を決定する条件の情報を収集し、提案を行います。
そのほか情報キーマンとされている担当者や
新しい物好き担当者など営業担当者の味方となってくれる担当者をまずは見つけることからスタートします。
その他部署把握、提案できる幅や部署、キャパシティ把握などをします。

担当者攻略とは、
一般的にいう営業の知識やノウハウが生かされる部分です。
ここではPSSなどのプロフェッショナルセリングスキルを活用して、
担当者攻略を行なっていきます。

詳細に関しては、別記事の提案のためにするべき質問集にて記載をしています。

以上です。

強い営業組織は、私の思うところに、各営業担当のもちろんスキルも必要ですが、
合理的な組織体制や組織としての構成が必要になります。

私がコンサルティングさせていただく会社様にはノウハウを活用して
強い組織作りと個人作りの両輪で営業を強くし、
マーケティング面も強化するお手伝いをしますが、
多くの場合、営業の組織に対してのこだわりについてお話をさせていただくことが非常に多いです。

営業の成績が上がってこない原因に、そもそもの組織体制がネックになっていることもありますので、リファレンスチェックなどされるのもいかがでしょうか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?