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2022年フェルメール展に行ってきました

今年の東京での注目度が高い大型企画展と話題のフェルメール展に行ってきた。この企画展は、新型コロナウイルスの影響で延期になっていたのですが、フェルメールの話題作が修復されたということで結構いろんなところで広告を見かけることが多かった気がします。私は銀座駅でこの企画展のポスターを見かけたのですが、これがおもしろくて。ある方向から見ると、今回の目玉作「窓辺で手紙を読む女」の修復前の姿が見えるのですが、別方向から見たところ修復作業で現れたキューピトが見えるというもので考えた人は粋なことをするものだなぁと驚きました。

オランダ絵画は落ち着いた雰囲気の絵(地味な絵と表現する人もいた)や庶民の暮らしを描く絵が多いということは予習していて、私は印象派の光がカンヴァスに表現された絵が好きだからどうかなぁと思って見に行ったのだけど(でも話題の企画展だし、なによりフェルメールの修復画が見たい笑)、私が好きな雰囲気の絵は少なかったです。(めずらしく図録を買わなかった笑)


多分こんなふうに文章に起こすのも自分の中で何かを納得させたいから。普段だったら、よかった〜と満足して図録やポストカード、そして展示を見ながら書いたメモを見ながら、他の展覧会の図録も広げて絵や作者の関連に想いを馳せてるもんなぁと思いつつ…笑

でも気に入った絵が何点かあって、ああ私はこういう絵も好きなのか…という気づきがあって、オランダ絵画の魅力的な一面も経験することができたので書き残したいと思います。


■フェルメール「窓辺で手紙を読む女」
今回修復作業が行われた本企画展の目玉となる絵。色彩鮮やかな小物の色彩と、手紙を読む女性の叙情的な雰囲気に目を奪われました。これは夫の不倫相手からの手紙を読む女性として美術手帖の記事で解説されており、確かにその切なさ、やるせなさ、が絵からひしひしと伝わってくるなと。
展示中の解説動画で、今回キューピットが登場した壁は塗りつぶされていた時は見る人の思いをめぐらせるカンヴァスだったと説明されており、なるほどと思いました。今回の修復作業の工程も紹介されており、ニスを取る作業、絵画の表面を削るという細かな作業に取り組んでこられた方に尊敬の念をいだきつつ、見る人が自由に思いを巡らせることができる壁が塗りつぶされたままの姿とも対峙してみたかったなとちょっぴり寂しい気持ちにもなりました。複雑です笑
あと、原田マハさんの小説に有名な作品を借りてくるにはキュレーターの手腕が必要で、今回はオランダ以外の国での展示は初めてとのことだったので、この東京都美術館がそんな重要な作品を借りてこられる優秀なキュレーターの方とかがいらっしゃるのかしら…公務員なんかな…と変なところまで好奇心が沸々とわいてきてしまいました笑 ご存知の方がいらっしゃったら教えてください笑


■ハブリエル・メツー 「火のそばでタバコを吸う男」
火が暗闇に浮かび上がるのが絵画で緻密に表現されていて、あたたかみがあって好きだなぁと思いました。光の印影をあんなにつけられるなんてすごい。そして、暖炉で火をくべながらタバコを吸うという、一人の人間にとっての癒しの時間が表現されていたのが見ているこちらまでリラックスさせられるような気分になりました。
私も夜寝る前に間接照明をつけた暗闇の中でぼーっとしたり、本を読むのが好きなので共感したのかもしれませんね。

■ヘラルト・テル・ボルフ「手紙を読む兵士」
ぱっと見の印象は薄かったのだけど、よく見るとなぜかとても親密な雰囲気を感じました。この作者ボルフさんの絵が他にも近くにあったので見てみると、カンヴァス全体的にくらいのだけどなぜか滲み出る優しさ、親密差があるような気がして惹きつけられました。手紙は当時最先端のコミュニケーションツールだったとのこと。遠くにいる大切な誰かに想いを馳せながら読む。他にコミュニケーションを取る手段がないからこそ、手紙の持つ役割は大きくて、そこに綴られた文字を読むことで、目の前に相手がいなくても親密な時間をすごせたのかなぁとなんだか心がじんわりと温まる作品でした。手紙は当時よく描かれるモチーフだったとのことですが、なんだかその理由が少しわかるような気がしますね。

■アルバート・ヘンリー・ペイン「歯医者」
これは複製画だそう。ドレスデン美術館では、作品を版画にして複製して作品を広く色んな人の目にあたるようにしていたとのこと。なるほど。
この作品は好き、というよりはなんだか笑っちゃった作品でした。画中に描かれる男性が「いたくないよ〜」となだめているようで笑(私は絵画を見ながらアテレコしたり、ツッコミ入れるのも楽しくて大好きなのでひとりでそんなことをしては笑っておりますw)
ただ、他にもヘラルト・ダウという画家さんも歯医者をテーマに絵を描いていたりで、なんでだろう…?と思っておりました。音声ガイドによると、オランダ絵画では、歯医者はヤブ医者の象徴として描かれていたとのこと。「だまされたらあかんで」という寓意が込められて描かれていたそうです。そう、西洋の絵画にはこういう絵の中に描くモチーフによって、みる人への戒めや注意喚起のメッセージを伝えているというのがとてもおもしろいよなあと思います。フランス・ファン・ミーリスの「化粧をする若い女」は、美しい若い女性が鏡の前でお化粧をしている様子を描いたでですが、女性が化粧をするモチーフには「高慢」「愛欲」という意味があり、絵画中の他のモチーフ(犬や他の人の視線)も合わせると、女性の虚栄心とそれをたしなめるメッセージが込められているとのことです。女性視点だと、うっせーわ笑と毒づいてしまいたくなりますが笑 こういうモチーフに込められた意味を理解し、絵画のメッセージを解釈できるのが知識人、教養のある人ということだそうです。興味深いし、そんなのがわかるようになったらかっこいいなという気持ちもありつつ、ひねくれた私がそんなんが知識人…?とちょっと穿った見方をしています笑

他にも風景画でも海洋国家オランダを象徴するようなイングランドとの海戦や家畜を緻密に描いた作品、可愛らしい広場の絵画などお国柄を感じる作品がありました。新しい発見や自分の絵の好みを知れた実りのある企画展、やっぱり絵を美術館という空間で鑑賞できるのはいいですね。

ただ、私が来場した2/22(火)の平日も結構な混み具合(せっかく有休つかったのに…笑)だったので土日とかに行くともっとひとがおおいんだろうなぁとぞっとします。コロナが落ち着いたら、平日夜10時くらいまであけてもらえたらと仕事の後に落ち着いてサクッといけたりしてよいだろうなぁとちょっと思ってしまいます。
では、このあたりで…お付き合いありがとうございます。

#フェルメール
#フェルメールと17世紀オランダ絵画展
#窓辺で手紙を読む女
#オランダ
#東京都美術館

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