イスラエル問題について無知のわたしが1人で署名活動をした話

友だちが、イスラエルとパレスチナの情報をたくさん共有してくれる毎日。色々メンション先に飛んで、瓦礫まみれの場所でサッカーをしながらインタビューを受けて「将来の夢なんてないよ。戦争が終わってほしい。」と語る子ども、頭と手足が吹っ飛ばされた子どもを抱える人、丸焦げの人、頭が割れてなんとも言えない表情で死んでる子ども、何もしない人たちにブチギレるインフルエンサー、そんな映像を見ながら過ごしてた。

なにかしたい。しなきゃいけないと思いながら、【なにをしたらいいかもやもやな人へ】とできることをまとめてくれた投稿を見ながら、圧倒的知識不足のまま、不買運動、匿名で政府に意見を送る、とか言葉通りの"最低限"できることをしてきた。


でもSNSでなにかを呼びかけたり拡散することはしなかった。でもその中で、インスタのAI画像のALL EYES ON RAFAHだけ便乗した。
"やってる感"だと思われるだろうなあとか思いながら(今考えれば、誰に?ってかんじだけど、、)なかなか躊躇したけど、これはたぶん、みんなやってるからやった。ここから少し意識が変わった気がする。

SNSでなにか拡散したり呼びかけたりすることは基本的に苦手。イベントとかの告知ですらまともにできない。自分がなんらかの事象に対してどう思ってるかを人に公表するのが苦手なのか?とか考えながら、そんなこと言ってる場合じゃない感がぞわぞわ湧き上がってた。
案の定、あのAI画像だけが拡散されたことに批判の声が上がってた。でも、何かしたいと思う気持ちやこれからの行動のきっかけとなる可能性は批判に値しない、それをファッションだと思わないというようなことを言ってくれた友だちがいた。すごく救われた。
なにかしなきゃが強くなった。

でもやっぱりSNSは苦手。そんな中、【イスラエルのジェノサイドを許さない市民の会】の署名活動を知った。でもわたしは、署名とかデモとかにどれだけ意味があるのかわからなかった。だから調べた。

請願署名の法的効力は強いらしい。国会はしっかり検討する義務があるらしい。署名に意味はあるんだと知った。

それと、不買運動やデモなど抗議活動が強まる中で、伊藤忠の子会社が軍事企業との契約を終了していたことを知った。デモに意味はあるんだと知った。

そして、日々のネットの人たちや友だちの情報拡散、呼びかけに、わたし自身が動かされてることに気づいた。すべての行動に意味はあるんだと知った。

じゃあやるしかない。やらないとあのときなんで何もしなかったんだって後悔する。これは虐殺を止めるためだけど、それに加えて自分のためにもやるんだ!
と思い立って、たった今から必要な物を揃えて、その足で最寄り駅まで、署名集めに行くことにした。


準備万端で、駅に立ち、いざ!と思うけど、どう思われるのか、笑われるのか、怒られたりするのか、ちょっと恥ずかしいなとか、人の目が怖すぎてただウロウロするだけになった。何もできなかった。
でもここで引いたら後悔すると言い聞かせて、もっと人混みに紛れられる、もしくは仲間がいるかもと思って近くのターミナル駅に向かった。
仲間はいなかった。変わらずまったく勇気が出ず、30分近くウロウロした。友だちに連絡して応援してもらった。勇気が出てきた。
自分の羞恥心と、虐殺されてる人たち、どっちが大事だと必死に自分に言い聞かせた。
それでも下を向きながら、人と目が合わないようにしながら、恐る恐る描いてきた看板を出した。
信号が変わるたびに100人以上は行き来するけど、ほぼ見向きもされなかった。
少しずつ悔しくなってきて、前を向けるようになった。チラッと見てくれる人がいることに気づいた。でももう1000人くらいは往来している中でたった2、3人くらいだった。「まあそんなもんだよね。やってることに意味があるよね。自分のためだもんね。」とか言い聞かせながら立ってた。


30分くらい経ったときに、駆け寄ってきてくれた人がいた。

『もしかしたらもう書いたやつかもしれないですが、、』

と言いながらも、さささっと書いてくれた。話を聞くと、

『インスタに自作のSTOP GENOCIDEと描いたステッカーをアップしてたら、ガザの人からDMが来て、色々調べて本当に現地の人とわかったから20万くらい送金した。でも最近連絡が取れないからもう死んでるかも。』

と言っていた。SNSで見たような、ものすごく積極的な人が実在してることに鳥肌が立った。わたしそこまではできない。

『募金とかもやってますか?』

とおもむろに財布を出してくれた。

「やってないんです」
と伝えてもその人はすぐには財布をしまおうとしなかった。とっても強い想いを持っている人だとビシビシ感じた。去り際に、

『頑張ってください!』

と言ってくれて、めちゃくちゃ泣きそうになった。


その後20分後くらいにもう一人。一度通り過ぎて、戻ってきてくれた。

『個人でやってるんですか』

と聞かれ、紙に書いてある団体を見せて「いえ、この団体です」と答えると、

『この団体はどういう団体なんですか』

と聞かれた。
わたしは、この団体について良く知らないし(というか情報がほぼない?)、請願書の内容とか、発起人の日々の情報発信とかを見て賛同して、信頼して、勢いでやってみただけだったから、「市民の有志の会です」としか答えられなかった。怪しまれるというか、そんなんでやるなよって怒られるかと思った。

続けて、
『あなたはどういう立場でやってるんですか』

と聞かれた。うわぁやっぱ怒られるのかなあとびくびくしながら、
「ネットの人たちや友だちの行動とか、日々流れてくる残虐な映像とかを見て、なにかしなきゃと思い立って、発起人のSNSを見て、信頼できると考えて勢いでやってる。こんなことをするのも今日が初めてです。」
と答えた。

『そっか初めて!いてもたってもいられなくなっちゃったんだね。これ読ませて。』

と、少し声を弾ませて、請願書を読んでくれた。嬉しかった。
「わたしは無知なんです。でも知識をつける間にも人は殺されているから、、」
と伝えると、その方は請願書を読みながら、

『わたしが問題意識を持っているのは、このジェノサイドが日本とどう関わりがあるか。日本も満洲国や朝鮮の問題がある。民族浄化の歴史は繰り返されてる。これを日本は止めなきゃいけない。日本は遅い。あと、防衛のことは阿部さんのころからやってきたよね。岸田さんも色々進めてて〜〜』

と、色々話してくれた。社会に問題意識があって、しっかり注視している博識な方だと感じた。

『最近早稲田大学でもデモが行われてて、若い人もだんだん行動を起こす人が増えてきたのかな?』
と言っていた。

「わたしの周りで動いているのは若い人とっても多いです。」
と答えると、驚きながら少し飛び跳ねてた。

最初の質問は、ただ、なんでわたしが1人で立ってるのかを気にしていただけみたいだった。
『連帯していきましょう!』
と去って行った。
めちゃくちゃ良い人だった。



疲れてきたし、とりあえずここまでにした。
2人。賛同してくれた。本当に嬉しかった。

一度看板を掲げてからは不思議と怖い気持ちは消えていった。お願いだから、一人でも多くの人がこっちをみてほしいと思ってた。やってみるもんだと思った。なんだ、できるじゃんと思った。というか、これは全然すごいこととか、珍しいことじゃないと思った。めちゃくちゃ簡潔に言うと、デモとか署名活動をしてる人をどこか「そっち側」的な視線で見てた節があったと思うけど、全然そうじゃなかった。わたしは、「殺すな」っていう当たり前の感情をただ持ってるだけだった。
偽善とか言われようが、無知のくせにとか言われようが、虐殺が止まるまでまだできることをやりたい。
それでもわたしにはSNSは難しい。シェアするだけなのに難しい。わたしが動いたように、その行動には意味があるってわかってるけどできない。それだけにとらわれて苦しくなるのがわかってる。すでに、署名集めて帰ってきた今もずっと、SNSを見て、考えて、苦しくなってる。パレスチナはこんな状況なのに、わたしは楽しく暮らしていていいんだろうか、、という思いがよぎる。これが四六時中続くのは耐えられない。だから嫌だったんだ。日頃からやってる人たちもきっととっても苦しい思いをしてる。それはわかる。でも、だから、できないならできないなりに他のことをやる。
今日、やれることがまた1つ見つかって嬉しかった。
やってみるってめちゃくちゃ大事だ。
まだまだ知識不足。生活しながら少しずつ知りたい。生活しながら少しずつやれることをやる。

甘いのはわかってる。もう何万人も殺されてる。わたしは遅すぎたし、アクションはめちゃくちゃ小さい。それでもなにもしないで無関心でいるよりはマシだと思いたい。

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