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先生、私ってもしかして…

最近になってやけに、みぞおちから左側にかけて痛かったり、中で風船が膨らむような感覚があった。
それが毎日のように起こる。
『おかしい…もしかして、悪い病気なんじゃないか…』

小さい頃からお腹の調子が悪い子だった。
心に不安を持つと決まって、お腹が痛くなったり気持ち悪くなったり、すぐ反応してしまう子だった。

大人になってからは、だいぶ落ち着いてきているもののやはり、時間に急かされ早食いで食べるとすぐ下してしまう。

そう言えば、祖母が胃がんで亡くなっていた…。
がんは遺伝するとよく聞く。
数年前、母は十二指腸潰瘍を患った。
ついに、私にもきたのかと。

年をとってきたから食べ物にはずいぶん気を使って、お酒もたばこも全然やらない。
考えられるとしたら、ストレスか?
十分に考えられる。

かかりつけの病院に"重い気持ち"で足を運んだ。
そこは、親もお世話になっていて父を看取った病院だ。私も小さい頃から診てもらっている。だから主治医の先生は、家の家系から私の性格から全部知っている。

「心配ならCT撮っておく?」

心配性の私の性格を知っているが故の言葉。
10年ぶりくらいか、CTは。洋服脱ぐんだっけ?
放射線技師さんは、洋服はそのままで良いとのこと。でも金属はつけていてはダメ、下着、ズボンやベルトに金属が付いていたらはずしてくださいとのこと。
CTの輪っかを通るベッドに横たわり、手は上へあげ背伸びをするような状態で待つ、技師さんは部屋の外へ。
「息を吸って、はい、止めて」と、技師さんじゃない。CTがしゃべっている。
輪っかの中で機械がもの凄い勢いで、グルグル回っているのが見えた。
私の気持ちもグルグルする。
音にもちょっとビックリする。
それをゆっくり3往復。

検査結果は、すぐに出た。死刑宣告に等しいかもしれない…覚悟した。


「ここ、見て」

お腹の違和感があるところを先生が、指した。
ま~るくシャボン玉のように見えた。
そして、先生は…

「ココ、丸いところ黒いよね。こっちは肺だよ、こっちも黒いね。だからこの丸いのは空気でガスだね…」

ガスだまりだった。
お腹の中に風船が膨らむような感覚はこれだった。横行結腸から下行結腸にカーブする部分に溜まりやすいらしい。
ちょっと安心、でも恥ずかしかった。

「今度はコッチ見て。」
「えっ! まだあるの?」
「コッチは腎臓で、コッチが肝臓だよ。色が肝臓の方がちょっと白いの分かる?」
「えー先生! 何何!!」
「脂肪肝だよ。」

お酒なんか全然飲まないのに、『脂肪肝』とは…
ダブルでショックを受けた。死に直結するものではないものの、ショックだ。

先生は、お酒を飲む人だけが『脂肪肝』になるのではないと言っていた。

「運動をしてください」と先生の言葉が突き刺さる…


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