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野菜の料理人〜オムそば編〜

20歳の頃から一人暮らしを始めて、はや20年・・・
彼女はチラホラいたが結婚には至らず、いまだ独身である。
前は婚活に勤しんでいたのだが、コロナの影響もありここ数年で会社と自宅の往復だけになってしまっている。寂しいものだ。

緊急事態宣言やまん延防止で、” お家時間 “ が増えた。
リモートワーク、断捨離、副業、ネットショッピング、ゲーム…家の中で出来ることをいろいろ試した。

なかでも料理にハマった。

今までに料理らしい料理はやったことがない。スーパーのお惣菜、コンビニの弁当、カップラーメンやフリーズドライの味噌汁にお湯を注ぐぐらいだ。
だから、この機会にカンタンな物から始めようと思った。

近くのスーパーへ行き、食材は何にしようかフラフラと見ていると、焼きそばの麺に目が留まった。

『野菜と肉を入れれば、すぐ食べられそうだな。粉末のソースも付いているんだ。具だくさんの焼きそばを作ろう!』

野菜コーナーへ行き、キャベツ、ニンジン、玉ねぎ、じゃがいも、もやし、ピーマンをかごに入れた。次に、精肉コーナーで豚ばら肉を1kg・・・あっという間にかごがいっぱいになった。

『ん?買いすぎたかな…まぁ、男の買い物なんてこんなもんか。いや待てよ…これって…カレーの具材にもなるな、それにシラタキも買って肉じゃがでもいけそうだな。あっ、あと、筍水煮買えばチンジャオロースもできる!トマト缶も買えばトマトスープもできるじゃないか!すげ~!これで1週間は大丈夫だ!』

帰って早速、野菜を切り刻んだ。
そしてジッパーつきの保存袋に
”カレー用” ”肉じゃが用” ”チンジャオロース用” ”トマトスープ用” 4袋用意して切った野菜をゴロゴロと放り込んで冷凍庫に入れた。
でも、じゃがいもは冷凍には向いていないということなので、切らずに野菜室に入れた。ひとつ勉強になった。

『よし!』
野菜たっぷり焼きそばを作り始めよう。
最初に肉だけを炒める。
ジュワ〜と炒めたら、すこ~しの塩コショウをふる。一旦皿にあける。
そして、焼きそば用に残しておいたキャベツ、ニンジン、玉ねぎ、もやし、ピーマンをジュワ〜と炒め、こちらもすこ~しだけ塩とコショウをふる。
塩コショウをするのは、多分この野菜の量では粉末ソースでは足りず、味が薄味になってしまうだろうと思ったからだ。

だんだん野菜から水分がしみ出てくる。
つかさずそこで、肉と焼きそばの麺を投入!
すぐフタをして3分待つ。蒸すのだ…。
フタを取り麺をほぐす。いい塩梅に肉と野菜を絡めたら、最後に粉末ソースを全体にふりかけ、味をなじませる。
そして皿に盛り付ける。

ここで終わりではない。
その使ったフライパンでまた少しの油を入れ溶き卵を流し、菜箸でグルグルと素早くかき混ぜながらゆっくり30秒数える。
すぐ火を消し、余熱で卵が少しずつ固まっていく。
その卵を焼きそばの上にのせ、ソースではなく、ケチャップをかけて出来上がり。

「我ながらに、うまい!」

誰もいない部屋に声だけが響く…。
うまいのは粉末ソースの調合が良いからなのだが…。
今度の婚活のプロフィールに”料理”とでも書き添えようか…と目論む。

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