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野菜の料理人〜ピクルス編〜

私は野菜が大嫌い!
きゅうりの青臭さ、にんじんの独特の臭い、ピーマンの苦味…
野菜のどこが美味しいのか私には全く分からない。

しかし、しかしだ!
最近、お腹の調子が悪い。風邪を何度もひいている。肌が荒れる…
「免疫力の低下だと思いますよ。バランス良く食事はしていますか?」
「野菜が嫌いです……」医者には見透かされている。
あきらかに野菜を食べないことによる不調が続いている。
今までサプリメントでビタミンを補っていたが、いよいよ持って腸の働きが悪化してきているらしい。
ヤバい。本当にヤバい。私は野菜を食べないことで死ぬのか??

そんな寿命が縮まった思いで彼氏と食事をした。
「何にする?やっぱりお肉かなぁ」と私。
「野菜も食べなきゃダメだよ」と母親みたいな彼氏。
とりあえずビールで乾杯。そして次にきたのは、スティック野菜。
顔を歪める私に
「いいから、騙されたと思って食べてみな」と彼氏が私の口にスティック野菜を突き刺す。
「う〜ん…もう!」と唇に付いた野菜の水分が口の中へ入り込んできた。
当然、美味しくないと思っていたが、
「あれ? 味が違う?」
「だろ〜! 酢漬けだよ。サッパリしていて美味しいんだ」
私は恐る恐る大根の酢漬けを一口かじってみた。
「ん? むむむ? ひゃー、大根の味じゃない!」
「なんちゅう舌をしているんだ? 酢が入っているからだろ。これもダメか?」
彼氏も私の母と同様、野菜を食べさせたい一心だった。

「わぁ、なんか美味しい!」「えっ?」

私は酢漬けにハマっていった。オシャレに言うなら“ピクルス”だ。

一気に目覚めたように、あの時の大根の味が忘れられず自分で作ってみることにした。クックパッドとにらめっこで私にでも出来そうな簡単なレシピを探した。

“切って漬けるだけ” 『これだ!』

とにかく野菜をスティック状に切って、ビンに入れる。
あとは、味付けに絶対失敗しない神調味料を入れるだけ。
これで一晩置いて味を染み込ませる。
次の日、一つかじってみる。もう少し浸けたらいいかも…その日の夜、またかじってみる。あの時に食べた大根と同じように美味しかった。
味がだんだん染みていくのが分かった。

野菜の青臭さを酢で消すことによって食べやすくなることに気がついたら、もう止まらなくなっていた。

大根一本、パプリカ黄と赤、きゅうり、アクセントにセロリをスティック状に切りビンへ。そして、絶対失敗しない神調味料を入れて一日置く。
毎日300gくらいの野菜を毎日食べるようになったら、自然と便秘が解消されて肌荒れも、風邪も引かなくなった。

今までの私に言いたい。
「なぜ、そこまで意固地に拒否したのか…?」

そして彼氏に言いたい。
「私の人生を激変させてくれてありがとう」

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