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やぶれた太鼓とナースコールのちりとり

1980年生まれ、妻と二人の子どもがいる病院管理栄養士です。
最近二人目の子どもが生まれたことや自身が抱える健康問題もあり、自分の半生を振り返る時間が増えたので文章にしてみます。

私は5歳の時から腎臓病です。
発病当時は幼稚園に通っていて、1つ目の話は元気に幼稚園に通えていた時のお話。

私が大学に通うために実家を出ることになるまで住んでいた所は人口が多く、子どもの数も多くて大所帯の幼稚園だった。年長組の時の運動会で、同級生全員で小太鼓を腰に据えてリズムを合わせて叩きながら入場するプログラムだったんだと思う。練習も重ねていたはず。
運動会当日、肩から下げたベルトに小太鼓を装着し出番をみんなで待っていたときにそれは起きた。

出番前の得意げな私。

運動会というイベント、お揃いの衣装、みんなで練習してきた本番当日、親が観に来ているというソワソワ感の中、出番を待つ間に同級生と太鼓を叩いているうちに徐々にテンションが高くなった私は、次第に強く、必要以上に強く太鼓を叩くようになり、テンションMAXになった所で手に持っていたバチを高く振り上げて、上から真下に突き刺すように勢いよく振り下ろした。

バンッ!
太鼓が…破れた。
5歳でも「大変なことをしてしまった」くらいはわかる。
頭真っ白。本番はこれから。どうする?

出した答えは…隠す!
手で隠してたら太鼓を叩けないので、どうにかこうにか逆さまにひっくり返そうと試みたものの、そんなに都合よくひっくり返るわけがない。
出番は近づく。どうしよう。

そのまま行進するしかない!でも必死に取り繕う私。
きっと本番を見ていた親は不思議に思ったことでしょう。小太鼓が斜めになっちゃって、叩けてないんですから。

太鼓を斜めにしてるのが私。なにやってんだ(笑)

悪いことをしたと思いながら、幼稚園の先生にすぐにごめんなさいと言えなかったんですね。当時の私は。


2つ目は入院中の話。
年長組の冬に入院してからしばらくは、安静にしなければいけないとの治療方針で、ベッドから降りて自分で歩くことは許されなかった。
ある日トイレ(大)をしたくなった私はナースコールを押し、「トイレ」と申し出たが、部屋に入ってきた看護師さんの手にはちりとり(昔からよくある片手で持つアルミでできているタイプ)とトイレットペーパー。それまではおまるみたいなのを持ってきてくれていたのに、その時対応してくれたベテラン感のある看護師さんはなぜかちりとりを選択した。
子どもばかりとは言え6人部屋に入院していた私はそれに用をたすのが嫌で(たとえカーテンで仕切られていても!)、とっさにナースコールを押していないフリをした。
6人部屋の誰もナースコールは押してない素振りをするので、看護師さんはちりとりとトイレットペーパーを手に病室から出ていき、その間私にはいろんなことが子どもながらに頭をよぎった。
「なんで?」
「直にそこにするの?」
「出したもの丸見えじゃないの?」
一番は「恥ずかしい!!」。
今思えば、その頃はちりとりに大をする子がいたんだろうか。
昭和のミステリーですね。

ベッド上安静の頃。水色の服が私。誕生日もベッドの上だった。


ということで、私が幼少期に他人の大人に対して嘘をついてしまったとはっきりと記憶している2つのお話でした。
どちらのお話も、その後どうなったか(やぶれた小太鼓と私の便意)はよく覚えていないので、読んでいただいた方がいろんな想像をしてお楽しみください。

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