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「スペインの最も美しい村 #2」クディジェロ

高速を下りて、田舎道を走り、やがて車は崖の下へとくだっていく。本当にこんなところに村なんてあるのだろうか‥‥

私達は北スペインのアストリアス州にあるクディジェロという村へ向かっているのだ。

駐車場に着いても村は見えなかった。

まず初めに車を降りて、両手を空高くぐーんと挙げて、伸びをしながら辺りを見渡す。駐車場の端っこに、気になるものが目に飛び込んできた。

鮫の干物

近づいて行くと、そこで働いているおじさんが色々親切に教えてくれた。

これはクラディージョと呼ばれる鮫の1種で、それを干物にしている。この村の伝統食品である。この干物は4ヵ月以上天日干しにされ、冬の保存食として作られた始まりだった。現在は使用されていないが、肝臓の脂は灯台などの明かりを付ける油として、皮はヤスリとして使用されていたそう。
魚まるごと使い切る先人の智恵だったのだろう。

それにしても、潮風に吹かれてゆらゆら気持ちよさそうだ。

村へ行く途中にある岩の上の電信柱

まだ村は見えない。

歩くこと10分弱。ようやく見えてきた。

クディジェロの村

港に打ち寄せる波の音を聞きながら、村へと架かる橋を渡る。

村の中央広場

すり鉢状に色とりどりの家が建ち並んでいる。クリスマスの時期によく見るミニチュアみたいな家だ。

家の間にある小路

ひしめき合うように建てられた家の周りには無数の小路が通っていた。
先が見えない方が、より想像を駆り立てられる。この道がどこに出るのか?この先に何があるのか?小路好きの私にとって、わくわくしかなかった。

建物の下にある小路

建物の一部が小路になっていて、こんな道が好きだ。

建物の下の小路2

天井の梁なのだろうか、木がむき出しになっている。

真っ黒もしゃもしゃの猫

少しずつ上へ上へと登っていく。その途中で真っ黒な猫が、道の真ん中で伸びていた。右から回ろうかと思ったら、右へごろん。では、左からと動くと、左へごろんと寝返りをうってくる。猫アレルギーを持ってる私を知っているかのように、よく猫の妨害にあう私。いじわる‥‥

ようやく登りきった先にあった展望台。

展望台からの眺め

下から見た景色とはまた違う景色がそこにはあった。

中央広場からの見た感じよりも、沢山の家が奥の方にも立ち並んでいるのが分かる。色とりどりの家とは対象に、オレンジ一色の屋根の統一感が異様な感じにさえ思えてくる。

途中でみた景色

「昔はこの高台から、漁にでた夫の帰りを眺めて待っていたのよ」と、実際に、若かりし日に、海を眺めて待っていたかもしれないお婆ちゃんが教えてくれた。

村は、かもめの鳴き声しか聞こえない。そこに教会の鐘の音が聞こえてきた。のんびりとした空気を更にのんびりとさせる。

この村は、以前は海賊の立ち寄り所として使われていた歴史があり、海賊によって発展したとも言われている。
丁度、海からも陸からも見つかりにくい立地のため、彼らにとっては好都合だったのだろう。村へ立ち寄る中で、村人と海賊が恋に落ち、家族をつくってこの土地に住み着く者も出てきた。それがこの村を特別にさせている理由の1つなのだ。

家の窓辺に吊るされている鮫の干物

この土地の人達のことをピクエストと呼び、彼らは独自の言語も話す。冒頭の鮫の干物も海賊によってもたらされたものだという説もある。

海賊とは、北欧から船でやってきた人達を指しているようで、彼らの特徴として白い肌に金髪を連想されるのではないだろうか。北スペインには割りとそういった特徴を持った人が、他の土地に比べると多い気がする。
実際に、私の義理母はこのアストリアス州の出身で、真っ白な肌に金髪なのだ。もしかしたら、遺伝子検査をしたら北欧の血が入っているという結果がでるのではないかと密かに思っている。

くねくねの坂道

村の道は、上っては下りて、右に曲がって左に曲がる。

坂の家あるある? 屋根が突き出た道

鶏が先か、卵が先かの論争が起きそうな、突き出た屋根と整備された道。

ようやく辿り着いた海側の展望台。息を切らしながら上っていく。

すけすけの展望台の階段がちょっと怖い

目線の先に村が見えるくらい階段がすけすけだからか、階段がキツイからか、心臓がバクバクしている。

奥が新しい港

いつも海を見ると、「地球は果てしなく広いんだ!」と思わせてくれる。
先が見えないから面白い。だから行ってみたいと好奇心をそそられる。

村の灯台

海賊も海の先に何があるのか知りたくて航海の旅にでたのだろう。

偶然なのか必然なのか、この立地が故に海賊と出会った人達が暮らす村。
偶然なのか必然なのか、ネット村で出会った人と国際結婚した私。
何かインスピレーションを感じる‥‥

村の様子を動画にしているので、良かったらこちらもどうぞ。↓

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