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【追悼】ティク・ナット・ハン師が逝去されました ─島田啓介氏による論考「ティク・ナット・ハンとパーリ経典」を一般公開します

ティク・ナット・ハン師が、2022年1月22日午前0時に、ベトナム・フエ市の慈孝寺にて95歳で逝去されました。謹んで哀悼の意を表すると共に、ティク・ナット・ハン師が営まれた平和の歩みに思いを馳せ、感謝と継続(continuation)への意志をつづらせていただきます。

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ティク・ナット・ハン師は1926年にベトナムで生まれ、16歳で出家されました。ベトナム戦争という人類の困難に向き合い、エンゲージドブッディズム(行動する仏教)を実践しノーベル平和賞候補にも推薦された平和活動家であり、プラムヴィレッジという欧州最大の僧院の設立者であり、そしてマインドフルネスを世界に広めたオピニオン・リーダーでもありました。また自身の思想を達筆な文字で書き記す「詩人」「書道家」「小説家」という芸術家としての一面もありました。

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ティク・ナット・ハン師の教えの中心は「呼吸に気づく」ことです。「呼吸」は、怒り、恐れ、悲しみなどで自分自身を忘れたとき、「今ここに生きること」に気づかせてくれます。「呼吸」は「マインドフルネス」にとっても重要な要素であり、常にティク・ナット・ハン師はその重要性を説いておられました。

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株式会社サンガ新社のメンバーは、株式会社サンガ(2021年1月事業停止)に在籍時、ティク・ナット・ハン師(ベトナム語で敬意をこめてタイ(先生)と呼ばせていただきます)の数々のご著書の日本語版を編集してきました。

2011年2月には、フランスのプラムヴィレッジにてタイにご面会し、日本の皆さんへ向けたメッセージもいただきました。

そこでタイから教えていただいたのは、仏教は仏教のためにあるのではなく、我々一人一人がより幸せに生きていくためにあること、そして、仏教は自分や世の中の苦しみを変容させるためのツールであることでした。

さらに、日本は国そのものが仏教に基づいているので、仏教徒であるかどうかに関係なく、日本人には深く仏教の血が流れていることも強調しておられました。そしてその知恵の宝に気づき、積極的に暮らしに応用することで、平和で健康的な日本社会を築いていくことを強く願っておられました。

そして最後には、こう仰りました。
「ぜひ、ゆったりとした呼吸を楽しんでください」


サンガ新社では、私たちが悩み苦しみを変容させて幸福に生きることができるように、タイが教えてくださった仏教の智慧と実践を、これからも大切に広くお伝えしてまいります。

株式会社サンガ新社 代表取締役 佐藤由樹

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写真=2011年2月 フランス・プラムヴィレッジにて
撮影=横関一浩

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タイの生涯と遺してくれたものを記念した8日間のプラクティスとセレモニーがベトナムのフエとフランスのプラムヴィレッジよりライブで配信されます。詳細については以下のURLよりご覧いただけます。

▼日本語
https://onl.la/MKVmfkV

▼英語
https://plumvillage.org/memorial/

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島田啓介氏「ティク・ナット・ハンとパーリ経典─「バッデーカラッタ・スッタ(一夜賢者経)」と現代のサンガ」を一般公開します

『Webサンガジャパン』では、島田啓介氏による論考「ティク・ナット・ハンとパーリ経典─「バッデーカラッタ・スッタ(一夜賢者経)」と現代のサンガ」を、2022年1月21日~23日の4日間での連載を進めておりました。第1回は「一般公開記事」、第2回から第4回までは「オンラインサンガ会員限定記事」の予定でした。この度の1月22日のティク・ナット・ハン師の訃報に接し、タイへの追悼の意を込めて、全4回の記事を皆さんがお読みいただける「一般公開記事」としてリリースいたします。

第1回 「 バッデーカラッタ・スッタ(一夜賢者経)」の基本的理解
〔2022年1月21日公開〕

第2回 「いのち」「ひとり」の理解と「バッデーカラッタ・スッタ(一夜賢者経)」
〔2022年1月22日公開〕

第3回 過去・未来・現在の枷のほどき方と「ひとりでいる」こと
〔2022年1月23日公開〕
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/be4dc2d9730f

第4回 自分への愛に満ちた好奇心をもって、ひとりで自覚的に生きる
〔2022年1月24日公開〕
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/50f5cfb8d051

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