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サンガ新社設立記念コラム「私たちの幸福とは」(全コラム)

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サンガ新社設立に際して、各界の識者から「私たちの幸福とは」をテーマにご寄稿をいただきました。会員制サイト「オンラインサンガ」に掲載しているものを、noteで販売いたします。(コラ… もっと読む
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記事一覧

ハイ・アパイ(無畏施)~怖れなきことのプレゼント~(浦崎雅代)

浦崎雅代(翻訳家)  タイミングよく、誰かから素敵なものを頂いた──そんなとき、人は誰でも嬉しくて幸せな気持ちになるかと思います。皆さまは今、誰からどんなもの、どんなことを頂くことができたら幸せと感じるでしょうか? 「仏教においてのプレゼント、それは3つの種類があるんだよ」

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幸福について/what belongs to me.(Randy Taguchi)(田口ランディ)

「幸福について」書くなんて、かなり照れる。ひゃー!だ。誰にとっても「良きもの」について書くのは苦手だ。詐欺師のような気分になる。「幸福」を偉そうに語る奴って、なんだかうさん臭くないか?  まずは、幸福という言葉、と、幸福そのものを分けてみた。  幸福という言葉について考えてみる。  この言葉が使われる時ってさ、なんとなく不幸が前提になっていないか?  幸福は「幸福という状態」を示す言葉だと思うのだが、もし、すべての人間が幸福であった場合、それは水と魚の喩えのように、幸福は意

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オンラインサンガ=私たちの幸福(中村悟)

中村悟(にこフル代表)  2021年7月21日、サンガ新社の設立おめでとうございます!  2020年7月21日、島影社長の急逝から1年。サンガの事業停止、クラウドファンディング支援者828名、目標金額の562%達成と、サンガ新社を通して、引き続き、仏教の叡智が届くようになりました。サンガファンとして、とにかくうれしいです。ありがとうございます。 『WEBサンガジャパン』復活!、サンガ新社設立記念コラムを寄稿させていただくにあたり、「私たちの幸福とは」という究極の問いをいただ

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生きとし生けるものに学ぶ幸福のかたち(前野隆司)

前野 隆司(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授)  庭の植物や昆虫や鳥を見ていてつくづく思う。彼らは何も悩んでいない。幸せそうだなあ。  たとえば、庭の木の葉の上を歩くアリ。じっと観察していると、ちょこまかと行ったり来たり。何かに悩んでいる気配はない。あちらに行きたいと思ったら、あちらに行く。こちらに来たいと思ったら、こちらに来る。ありのまま。躊躇がない。アリはよく働くというイメージがあるかもしれないが、実際のところは、そんなに働いているよ

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矛盾から始まる新しい次元へのジャンプ(山下良道)

山下良道(鎌倉一法庵住職)  まず最初に、サンガ新社の設立おめでとうございます。  昨年夏、株式会社サンガの活動を牽引してこられた島影透さんが、突如この世界から姿を消されたあと、本当にいろいろあったと思いますが、2人の編集者によって立派に事業が再スタートされたことそのものが、何かを雄弁に物語っているでしょう。株式会社サンガは主に仏教書の出版を主要な活動としてきましたが、この危機的な状況のなかにあっても、自分達が出版してきた仏教書の教えを忠実に、リアルな出版ビジネスの世界で実

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足下に見出される涅槃寂静(藤田一照)

藤田一照(曹洞宗僧侶・国際布教使・翻訳家)  今、私は、8月末に精進湖で行われる毎夏恒例の坐禅合宿で講読することになっている『スッタニパータ』第四章「八つの詩句の章(アッタカヴァッガ)」を、講義のためのメモを取りながら、少しずつ読んでいます。  仏典の中でも最古層に属すると言われているこの『アッタカヴァッガ』に注目したのはずいぶん昔のことになります。1987年にアメリカに住み始めてから、日本ではほとんど触れることがなかったテーラワーダ仏教やチベット仏教の教義や実践に接したせ

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「サンガ」に学ぶ幸福のメカニズム(アルボムッレ・スマナサーラ)

アルボムッレ・スマナサーラ(テーラワーダ仏教(上座仏教)長老) サンガ新社設立記念コラム「私たちの幸福とは」。アルボムッレ・スマナサーラ長老には、特別に「仏法僧の三宝の一つである『サンガ(samgha、僧伽)』から学ぶこと」というテーマで寄稿いただいた。和合を価値として2600年の歴史を築いてきたサンガのあり方から、これからの時代に必要な幸福のヒントを学びたいと考えた。また、「サンガ新社が果たすべき役割」についても教えていただいた。 人類にずっとある、幸福を妨げる問題 人

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【はじめに】サンガ新社 設立記念コラム「私たちの幸福とは」(サンガ新社編集部[編])

18人の執筆者が考える「これからの幸福」かねてより皆さんにお知らせしていた『WEBサンガジャパン』の「noteでの記事販売」がいよいよ始まりました。第一弾は、サンガ新社設立記念コラム「私たちの幸福とは」です! サンガ新社の会員制ウェブマガジン『WEBサンガジャパン』に掲載した18人の執筆者によるコラム「私たちの幸福とは」を、一挙にまとめて「noteマガジン」として配信します! 「私たちの幸福とは」(noteマガジン)はコチラ ↓↓↓ 仏教を中心に出版活動を展開してきた

生命コンシャスの道(熊野宏昭)

熊野宏昭(早稲田大学人間科学学術院教授・応用脳科学研究所所長。医学博士。臨床心理士)  現在、世界は、数千年続いてきた文明の大きな曲がり角に差しかかっているように思われる。このまま人類社会が生き延びられるのかどうかを考えるとき、現代社会においてこれまで支配的だった科学、政治、経済などの仕組みがこれからも機能するのかどうか自体が問われているのではないだろうか。そのような中で、2600年にわたり、世界の様々な文明を裏打ちする形で、目覚めを求める人々に力を与え続けてきた仏教の教え

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100年後の幸福(末木文美士)

末木文美士(東京大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授)  コロナ禍の中でオリンピックが開催された。日ごとに爆発的に増える感染者数に怯えながら、テレビでは一日中無人の競技場からアナウンサーが興奮の声を伝え、空前の金メダルラッシュに日本中が沸き立った。IOCの役員が言った通り、まったく異なる「パラレルワールド」が、同時に同じ場所で進行するというSF的状況の出現に、途惑うばかりだ。理念もモラルもどこかへ吹き飛んだまま、手のつけようのないアナーキーの状態が続いている。オリ

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新生サンガ設立に寄せて 仏教は世界を救うか?(鎌田東二)

鎌田東二(京都大学名誉教授、上智大学特任教授。博士(文学、筑波大学))  10年前の2010年から2011年にかけて、井上ウィマラさん・藤田一照さん・西川隆範さん・鎌田東二の4人で、「仏教は世界を救うか?」と題した3回連続のシンポジウムを行なったことがある。そして、その3回のシンポジウムを『仏教は世界を救うか──“仏・法・僧”の過去/現在/未来を問う』と題して2012年1月に地湧社から出版した。わたしはあの時も、今も、本気で「仏教は世界を救う」と思っている。世界の危機はこの

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幸福を支える仕組み(橋爪大三郎)

橋爪大三郎(社会学者)  幸福は、霞か蜃気楼のように逃げていく。手にしたと思うとすり抜ける。追いかけてもつかまらない。  幸福が確かなかたちをとるのは、過ぎ去った場合だ。あのころは幸せだったなあ。過去は揺るがない。病気や怪我をして、それまでがどんなに恵まれていたとやっとわかる。大切なひとを亡くして、どんなにかけがえがなかったかを思い知る。  誰でも子どものころは、幸福だった。誰かがあなたのために、生活の条件を整えてくれていた。コストや犠牲も払ったろうが、あなたには気づかせな

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汎仏教的価値の価値(宮崎哲弥)

宮崎哲弥(相愛大学客員教授)  仏教で幸せとは何かと言えば、苦しみからの解放である。ブッダが発見した真理である四聖諦は、まず苦しみを知るところから始まる。この苦しみは、原義に沿えば、不満足、満たされないことである。その苦の原因として、ブッダが看破したのが渇望であり、執着である。これこそが生命の生命たる所以、有情の宿痾として理解すべきものだ。この渇望、渇愛ゆえに生命は苦しみ続ける。逆に言うならば、この渇愛から解放されたとき、苦からの解放があり、それを幸福と呼ぶことができる。

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ブッダの正法が日本に根づくために(石川勇一)

石川勇一(行者(修験道・初期仏教)・臨床心理士・公認心理師・相模女子大学人間社会学部人間心理学科教授) 1.法の種が蒔かれた今 近年、日本にブッダの正法の種が蒔かれました。これは日本の歴史上、特筆すべき大きな出来事です。  このことは未だほとんどの日本人に知られておらず、理解されていないと思われますので、簡単にご説明したいと思います。日本にはこれまで幾度も種々の仏教の教えが伝わってきました。公式的には、6世紀に朝鮮半島から仏教が伝来し、土着の神道との習合など紆余曲折を経て日

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