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新生サンガ設立に寄せて 仏教は世界を救うか?(鎌田東二)

鎌田東二(京都大学名誉教授、上智大学特任教授。博士(文学、筑波大学))

 10年前の2010年から2011年にかけて、井上ウィマラさん・藤田一照さん・西川隆範さん・鎌田東二の4人で、「仏教は世界を救うか?」と題した3回連続のシンポジウムを行なったことがある。そして、その3回のシンポジウムを『仏教は世界を救うか──“仏・法・僧”の過去/現在/未来を問う』と題して2012年1月に地湧社から出版した。わたしはあの時も、今も、本気で「仏教は世界を救う」と思っている。世界の危機はこの10年で格段に深刻度と困難さを増したけれど。
 そのシンポジウムでは、「仏とは誰か」「仏法は真理か」「仏教は社会に有用か」という3部構成で、4人のパネリストが、仏教に出逢うきっかけから、経典に基づく思想的な原点の解説、そして教徒の生活集団であるサンガ(僧伽)の意味とその意義の再確認まで、仏教の全容を現代的な視点から徹底的に語り尽した。と言いたいところだが、やってみると、案の定、語り尽せぬほど、時間が足りなかった。というか、語っても語っても足りなかった。その時のそれぞれの回の趣旨を再録しておくと、次のようなものだった。

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