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私の知っているビルゲイツ、その15

会社の金、個人の金…そのケジメについて...

マイクロソフトに入社した当時から会社のDNAとして感じていたことは、会社として個人として無駄な時間やお金は一切使わない、そしてそのルール適用に当たっては会社の職位や本社・子会社に関係無く、全てに対して厳しく管理徹底されていました。飛行機のフライトは米国では全員エコノミークラスで役職が付けば自動的にファーストクラスなんてルールはマイクロソフトにはありません。しかしながら、年間に4回以上の海外出張をこなしたり、今日入社したての社員でも明日の海外出張で早朝から会議があるなんて場合は国際線のビジネスクラスに搭乗することを出張規定で認められています。まぁ、会社のルールなんてあっても、ボスになると適当に運用しているのじゃないの?というのが世間で言う普通のパターンなのでしょうが、

マイクロソフト流というのは、こんなDNAなのであります。
1986年のマイクロソフト株式会社設立当初の頃、ビルゲイツは1年に2度3度と日本に訪問して会社の立ち上げを見守ったり、日本のPCメーカー殿に訪問したり、秋葉原や大阪日本橋を視察という日程を楽しんでいました。日本への出張期間中のある週末、何もすることが無いというスケジュールの時がありました。ビル君から、その週末に友人と京都へ行くので新幹線のチケットだけ手配してくれとの依頼があり手続きをしました。こちらは、どこかで迷子になってもいけないので、誰か京都まで同行しようか? ホテルから東京駅まで私が車で送ろうか?などと訊いたのですが、ビル君「大丈夫、土曜日に京都へ行って日曜の夜には東京で戻っているから、月曜日に会おう」..その後奥さんになるメリンダも当時はマイクロソフトの中堅マネージャーだったので一緒だったのかな?プライベートな旅行なら、余計な詮索もお節介は止めておこうと放っておいたのです。金曜日の仕事を片付けて、新幹線のチケットを渡して月曜の朝にはご機嫌で仕事に復帰…その朝一番に、ビル君「サム、新幹線のチケット代だけどさ、まだ精算してなかったよね?」、私は「あぁ、その件ならこちらで払っておくから良いよ」と言った瞬間にビル君の瞬間湯沸かし器が沸騰して爆発したのでありました。こういう時、ビル君、どこにいても歩いているのをピタリと止めて、眼を吊り上げ、いきなり私を罵倒するのであります。そんなことは何度も経験しているのではありますが、その度に命の縮む思いというか、きっと私の白髪の本数は(ビル君に罵倒された回数)X(徹夜の回数)なのでないかと思う勢いなのでありました。
ビル:「サム、こちらで払うってことはどういう意味だ?」
私:「だから、領収書もあるしこちらの会社で処理しておくよ」と言ったものだから、ビル君、完全にブチ切れています。
ビル:「サム、お前に任そうとしているマイクロソフトの日本法人では個人で使った金を会社で経費処理するなんてことをするのか?」
私:「ちょっと待ってくれよ、この会社は米国本社の100%子会社で、ビルはその筆頭株主さまで、オーナーでもあるわけだろ、その筆頭株主さまが日本で使った交通費を精算するのがそんなにおかしいことか? 別にその他の宿泊代や遊行費を会社で払おうとしているわけじゃないのだから!」
ビル:「京都へ行ったのは、プライベートな旅行で仕事では無い、その交通費を会社で精算するってことが当たり前になったら、きっと日本の社員も同じことをするようになる。」
私:「おいおい、俺たちはそんなバカじゃないぞ、そんなことを信用できなくて俺を社長にしたのか?」
ビル:「サム、お前を信用しているということと社内のルールを徹底するってことは別の話だ。とにかく個人で使ったものは会社で精算するなんてことは許せん、
だから新幹線のチケットは自分で払う!!!」
私:「わかった、わかった、じゃ個人で払ってくれ。とは言っても、ビルお前のポケットに現金で日本円はないだろう、日本では個人のカードで精算なんかできないからな!」
ビル:「…」一瞬沈黙、あまり時間が経つと気まずくなるので、打開策として
私:「わかった、俺が個人的に立替ておくから、いつでも米ドルか日本円で後から精算してくれ。」
ビル:「よし、それで良いのだ」
こんな話になんでまた、私はここまでビル君から駅で罵倒されなきゃいけないの??? と時には思うのだけど、言われるままにしてちゃんと反論しておかないと“日本人は個人で使ったものまで、会社の経費で落とすのか”と思われるのは心外なので主張はしておかないとね..と思ったのでありました。その後、すぐに私個人で精算して立て替えておいたのだけど…

ビル君、今日になるまで未だに立替えたチケット代、私に返して貰っていない..
会社のルールや個人としての信義を重んじるビル君、個人の使った金は一円たりとも会社で精算しないという文化を自らの事例で社員に示したのは立派、でもねぇ、個人間の貸し借りもちゃんと精算しましょうね!!! (追記:2005年6月に私がMicrosoftを引退した時に、恵比寿のWestin Hotelで業界の500人規模のパーティを実施しました。ビルゲイツは、「お前の卒業式は、俺が自分のポケットから払う!」と言って、貸し借りの精算は、多額の利子を付けて返してもらいました!)

個人で飲みに行っても会社で精算したり、帰りのタクシー代まで会社で精算している貴方!! そんなズルをする方はマイクロソフトでは勤め続けるのは無理ですよ..と今でも言いたいところだけど…
そのようなDNAも創業当時は徹底されていたのだけど、今はどうなんでしょ?

では、ふるかわでした

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古川 享こと俗称「サム」は、アスキーに8年、Microsoftに20年、慶應義塾大学大学院に14年間勤めて、2020/3で定年を迎える65歳。残り35年は、「明るい大人の悪巧み団」の結成を考えています!
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