SWep.9スカイウォーカーの夜明けについて。楽しめたけどいやほんと粗かったな〜なんというかとにかくアダムドライバーすげえ〜という人の感想。

まず最初に、私はep.9TROS面白かったです!!ep.7TFAも8TLJも、色々言われたけど楽しめた側の人間で、かつ、ep.8でレイにはカイロレン/ベンソロの手を取って欲しかったな〜という感想を持ったタイプです。

そのうえで、ep.9TROS、最終的にベンソロとレイがデキるオチは、私的には全然ありだし、これで良かった派。何故なら親とはすれ違い師ともすれ違い、道を違えて行った先でも認められず、誰にも選ばれなかったベンソロを最後にレイが選んでくれたから。結論、わたしはこの新三部作はレイの話ではなく、なんならカイロレン/ベンソロ個人の話を飛び越えて、スカイウォーカーの血筋の話だと捉えました。ベンソロを通して描かれる、往年のスカイウォーカーの話。

フィンとレイが恋仲っぽく描かれていたep.7でそもそもめちゃくちゃ違和感があって、フィンいる??レイめちゃくちゃ自立してるしそういうロマンスいらなくない??どこに惚れる要素があった??と思った。男と女が冒険したらデキなきゃいけないの?友情でよくない?なんで男女の性愛にばっかつながるの?という、ま、あるあるだよね…
加えて、ep.8でローズが急にフィンに惚れる流れとか、謎の一級フラグ建築士になってる理由が全く分からなかった。だから、フィンとレイがなんとなーく流れでくっつく描写されるくらいなら、片割れとして必死にレイに手を伸ばすカイロレンことベンソロのほうがよほど説得力があると思った。
ep.9でもフィン急にフラグ立てるし、でもレイのことまだ好きっぽいし、追いかけるところとか、チューイのうっかりとか、謎のフォース覚醒描写とか、え??という展開が多くて。脚本の犠牲になったのだな…と。キャラクターとして全く好きになれないまま終わってしまった。
というかせめて流砂のところの「レイ!君に言いたいことがあるんだ!」は回収してやれよJ.J.エイブラムス〜〜〜!!!!!あまりに酷すぎるよ〜〜〜!!!!

ポーは、誰かが言っててめちゃくちゃ笑ったんだけど設定の過積載がすごい。制作側の若き日のハンソロを彷彿とさせながらハンソロではなくする、が過積載に走らせたのかなとは思う。けど、破天荒キャラはやはり一定の魅力があるし、急に元カノ出てきたり急に将軍になったり属性過多でどした??とは思うものの、ポーは親しみの持てるキャラクターだったと思う。フィンとのやりとり、今ここでいうか?のあたり、あれはルークとハンソロだったよね。ファンサだなあって思いました。好悪抜きでフラットな感想。私はポーは好きだったよ。もっとレイと喧嘩友達してほしかった。

なにより、レイが!!!!何者でもないっていう彼女のアイデンティティが!!!!パルパティーンの孫て!!!!!おい!!!おい!!!!!!!はいはいいつもの血統主義!!!!!選ばれしものやん!!!!!!パルパティーン家族おった描写1ミリもなかったけど!?!?!?っていう、ep.8とはなんだったのか…と思わせるep.9の展開。アイデンティティがふらふらしすぎて感情移入もできず、このレイのキャラクター造形に失敗したことが新三部作の最大の難点だった気がする。最初から強すぎたしな…
カイロレンことベンソロとの最後、スカイウォーカーの血筋とパルパティーンの血筋があわさって云々という方向で捉えたひとは、はあ!?だったと思う。そら、うわって思うよね。私はあそこはそうは捉えなかったけど、そう思われても仕方ない。何者でもないレイを、親から捨てられ、特別な何かではなかったレイを、それでも俺はお前を見つけて見出したぞって言うカイロレンがep.8ではグッときたのになあ、とは個人的に残念に思いました。

ちょっと話が逸れるけど、ep.8でレイにカイロレンの手を取って欲しかった理由は、スカイウォーカーの血筋に生まれ英雄となるべくして育てられた、選ばれしものになるはずだったベンソロが、運命に選ばれず裏切られ何者かになり損ねてカイロレンとなって、特別な出自も宿命も背負わず生まれた何者でもないただのレイ(ep.9でも度々出ていたRay, what? - Just "Ray".ってやつ)が運命に選ばれて、正反対だからこそ似てる2人が、互いの人生に己を見出す構図だったからこそなんだよ。スカイウォーカーの血筋の申し子とパルパティーンの血筋の申し子がフォースとして対の存在でした〜って言われたら、もう、とんだちゃぶ台返しだと思うんだ…

フィンの存在意義とは?という話と繋がるけど、製作サイドとしては、ルークとハンソロとレイアっていう3人組に重ねたかったがための、レイとフィンとポーだった気がした。でも結果的に、フィンの脱走したストームトルーパーというキャラクター性が死んで、レイも何者でもないという最大のアイデンティティを失い、ポーは設定を過積載された感じ。一緒に旅するのは、レイとフラットな立場で話せる相棒の女の子でも良かったと思うよ。なんでもすぐヘテロ男女の恋愛に結びつけるのよくない。SWにロマンスはそこまでいらない派です。そのためep.2は、急にパドメの衣装の露出が増えたりするのすごい嫌だった。

しかしまあ、しかし、カイロレン/ベンソロが良かったのよ。新三部作の最大の功績は、アダムドライバーのキャスティング。脚本の妙というより役者の演技力によるものが大きいのは残念なんだけども。めちゃくちゃ屈折してる感じとか、選ばれなくて苦しくて暗黒面に落ちちゃうのに落ちきれなくてそこでも選ばれないの、あまりにも惨めでかわいそうで、その苦しみがアダムドライバーの怪演により察するに余りあるほど伝わってきて、観客は一番カイロレン/ベンソロの気持ちに寄り添いやすかったんだと思う。
ラスボスとしては、悪役としては、ちょっとなあ…みたいな感じで登場しましたが、それもそのはず悪役でもラスボスでもありませんでした〜!っていう。ep.9の、カイロレンではなくベンソロになってから、セリフが全くないのに、カイロレンではなくベンソロとしてそこに立っているのがありありとわかるの、アダムドライバーまじですごい。あと、レイを助けて、目覚めたレイと一度だけ長めのキスしたあとのはにかみ笑顔が、なんかもう全ての不整合とか全部許すわ!!!!!という気持ちになってしまうほど、ベンソロの持って生まれた本来発揮されるはずだったろう善性を表しててむちゃくちゃ苦しくなった。
個人的には、カイロレン/ベンソロがレイを探して断られても断られても求め続けたのは、単なる性愛による執着でもなく、血筋やフォースの導きでもなく、人間としてのベンソロが何者でもないレイに見出した自分の人生との重なりだった思うんだよなあ。だから、カイロレンの傷を治して助けたレイが泣きながらカイロレンではなくベンソロの手ならば取りたかった!と叫んで、カイロレンをベンソロに戻し、レイのピンチに駆けつけたベンとの共闘を経て、ベンの無償の愛によって命を助けられたレイとベンがキスして、力を使い果たしたベンが穏やかな顔で死ぬエンドは、パルパティーンの血筋の話さえなければ100点だったとわたしは思う。

だから、
①パルパティーンの孫とかいうとんでも血筋設定なぞせずに、何者でもないレイのまま最終決戦に挑み、ベンとレイのキスで2人は結ばれた描写で終わる
②パルパティーンの孫設定でいくのならば、最後はベンとキスではなく、性愛ではない何か別の特別な絆を感じさせる終わり方にする
のいずれかが、私的正解だったかな。わからんけど。

今回の、特にパルパティーンの孫設定は正直噛み砕けてないし飲み込めてないんだけど、でも、最初に言った通りわたしはひっくるめてこの新三部作、カイロレン/ベンソロの話として良かったと思っているし、言いたいことは多々あれど面白かった。
とはいえ酷評されてるep.1ファントムメナスが一番好きな人間の感想なので、私の感性がズレてる説もあるはある。

やっぱあれかな、ep.8だけ監督変わっちゃったのが良くなかったのかね。導入として古参嬉しい演出多めでも新しいキャラクター設定を持ってきたep.7から、旧来のSWの幻想をぶっ壊すぞって感じのep.8にきて、ep.9はガッチガチに旧来のSWに戻ってきた印象になってしまった。まあルーカスが撮ってた時もep.2は迷走してない?感あったし、整合性もたせて三部作作るのは難しいね。

ところでハックス!ハックス将軍よ!ほんとブレなかったね!?ある種すごい!一番首尾一貫してたかもしれないし、スパイは私だ!のところの謎の高揚感とか、カイロレンの負けるところがみたい!て素直な動機とか、ハックス将軍はずーっと魅力的でしたね。でももう最後があっけなさすぎて切ない。

同じディズニー買収された組なら、うまくやって、SW ep.9→アベンジャーズエンドゲームにしてあげて欲しかったよね。もうあの戦艦が集合してくるところ、アッセンブルって声出しそうだった。二番煎じに見えちゃってかわいそう過ぎた。

ポーグ、お情けくらいのワンカットだったね。マスコットはD-0に譲れってことなのかな?何気に声J.J.Aじゃねーかこのドライヤーみたいなの。

旧作の先達たちから今作の若人へって構図が多くてすごかった。やっぱ、んんんep.8とは?????が頭をよぎる。

ドミニクモナハンいたな!?!?レジスタンス!!!!見た顔だと思ったら!!!!!