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こんな宗達がいたらいい【読書記録】〜風神雷神 Juppiter, Aeolus

今回の本はこちらです!

風神雷神 Juppiter, Aeolus(原田マハ)

原田マハさんの美術をテーマにした小説をいくつか読んだことがある。
特に『楽園のカンヴァス』『たゆたえども沈まず』がお気に入りだったので、こちらも文庫を見かけて手に取った。

今作の推しポイントとしては少年時代の俵屋宗達が登場し、とても魅力的なキャラクターに描かれていること。あの風神雷神図を描いた人はこんな子だったのかな、こんな子だったらいいなと思わずにいられない。
その宗達と天正遣欧使節の少年たちが一緒に旅をしていくところは、青春小説といった感じでワクワクしながら読むことができた。

加えて、私が魅力的な登場人物だと思ったのが、狩野永徳だった。
日本美術にはあまり詳しくないけれど、当時の狩野永徳といえばそれはもうトップだったのだと思う。(語彙力…)そんな栄華を極めていたであろう永徳の、絵師としての誇り、気概を見せるところが非常にかっこいいし、まだ何の実績もない宗達の能力に気づき認めていく姿も素敵だなぁと思った。

俵屋宗達といえば、風神雷神図などの作品は知られているけれど、経歴や人物像はわかっていない点が多いと聞く。その分創作できる幅が広く、こんな小説も楽しませてもらえる。カラバッジョまで登場するのは、ちょっとやりすぎで現実味に欠けるかなと思わないでもないけど…美術作品を手掛かりにこうして創造の翼を羽ばたかせるのは楽しいことだ。
小説をきっかけに美術作品をたくさん見たくなってくるのも、原田マハ作品の魅力のひとつだと思う。

ちなみに、この小説を読んでいる途中で京都の建仁寺に行き、風神雷神図屏風(精巧なレプリカ)を拝んできたのですが、小説でイメージが膨らみすぎて「あれ、思ったより小さいな」と思ってしまった(笑)
とはいえ、間近で見る風神、雷神の姿は躍動感ばっちり。博物館のガラスケースでない場所で見ると、屏風絵が部屋の雰囲気を作りだしているのがわかってとても良いと思った。
建仁寺には他にも双竜図などのスゴい襖絵や天井画、素敵なお庭もあるのでぜひ行ってみていただけたらと思います!

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