【私的解説】パンデミックの今、アウトドアに出たいと思っている人へ。CAJからのお願いと、5つのガイドライン。

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4月12日、一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン(CAJ)から

パンデミックの今、アウトドアに出たいと思っている人へ。CAJからのお願いと、5つのガイドライン


の提唱がありました。私も即刻、熟読させていただきました。

この時期だからこその提唱だと思ったいっぽう、提唱内容の解釈、そして本来の英文からの意訳、それを勘違いをしないようにしないといけない、そうも感じたのが正直なところです。

たとえば現在日本で発されている「休業要請」の解釈、捉え方について多くの方が混乱されていることもあり、

言葉は言葉尻なので極めて難しく、どうしても読み手任せになってしまうことがあるのだと思います。

そこで、あくまでも「私的」な、私の解釈として、今回のCAJからの5つのガイドラインの提唱をかみ砕いてみようと思います。

前もって申し上げますが、批判や批評ではなく、出来るだけ真意をくみ取りたいがためのものです。

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タイトル「パンデミックの今、アウトドアに出たいと思っている人へ。CAJからのお願いと、5つのガイドライン。」**

原題は

「HOW TO GET OUTSIDE (DURING A PANDEMIC)」

これ、OUTSIDE をアウトドアとしちゃったので、もしかしたら大きく勘違いしてしまう可能性ありますね。

日本文の「アウトドアに出たい」をそのまま受け取ってしまうと、外出自粛の今、アウトドアに出かけるなんていけないんじゃないか、と思う方も多いのではないかと思います。

というのも日本人にとって「アウトドア」は環境のことではなく「アウトドアアクティビティ」と認識してしまう旨もあるからです。ここでいう「アウトドア」は原文のままの「OUTSIDE」つまり、モロに訳して「戸外」でもよかったんじゃないでしょうか。

「HOW TO GET OUTSIDE 」=「戸外で出る場合には」くらいのほうが。

ただそれではあまりにも事務的でキャッチーではないですね。

よく見たら・・本文の直前には「新型コロナウイルス感染症が拡大する今 野外に出るときに 5つのガイドライン」と書いてあるんですよ(笑)

今度は「野外」。どれが正しいタイトルなのか(笑)

ここは複数の語彙を使わず統一してほしかったところです。英文ではそもそも一つしかないですし。

HOW TO GET OUTSIDE (DURING A PANDEMIC) こうなったら、思いっきりの意訳で 

「新型コロナウイルス感染症が拡大する今 アウトドアマンに認識してもらいたい5つのガイドライン」とか、

「新型コロナウイルス感染症が拡大する今 アウトドアを愛するみなさんへ伝えたい5つの提唱」など、

対象を限定しての提案、なおかつ行動には具体的な言及をしないタイトル方がよかったんじゃなかったかと。

いずれにしてもこの提唱が「アウトドア(=外遊び)にでかけよう」と推奨しているわけではないことだけは当たり前ですけどはっきりしておけねばなりませんね。

1)まわりの人々の健康と安全を脅かさないこと。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、多くの人々の生命を脅かす重大な事態です。それを念頭に置いて行動しなくてはなりません。政府や自治体が発信する最新の情報をこまめに確認しましょう。ウイルスの感染拡大を阻止するためにアウトドア・コミュニティができる最良の選択は、不要な外出をしないことです。※日本政府の最新の方針は、厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルス感染症について」を参照してください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html/

英文は 

The COVID-19 pandemic is life and death for many people. Please conduct yourself in every respect with that in mind.

とずいぶんと短文なので、かなり日本向けに情報を付加してくれているのが分かります。これはありがたいです。


2)戸外に出るときは、他者との安全な距離を保つこと。

電車やバスなど公共交通機関での移動や、混雑が予想される施設などの利用は避けましょう。大人数やグループでの行動はNGです。できうる限りの予防的なアプローチを選んで、友人や家族の安全を確保してください。外出するときにはマスクを着用し、常に専門家が推奨する社会的距離を保ち、食事前、帰宅後には、こまめな手洗い、うがいを励行してください。

これはもう額面通りですね。日本でいうところのソーシャルディスタンス。原文では「Keep a safe distance from others. 」と示されています。


3)家の近くにある自然を楽しもう。

私たちにとって野外での時間は生活の重要な一部ですが、遠くへ行けば行くほど、他の地域に感染を広めてしまう可能性があります。戸外に出ることの心身へのメリットは、身近な自然に触れるだけでも十分にあることが科学的にわかってきています。今は、できるだけ近所で過しましょう。身近な自然に目を向けることで新たな発見もあり、家族との貴重な時間を過ごすことができます。

後半はCAJによる意訳というか作文のようです。原題では、

STAY CLOSE TO HOME.

なんですよね。CAJの思いは伝わるんですが、これを「家の近くにある自然を楽しもう。」としてしまうと多くの人に勘違いされてしまうのではないかと少々危惧します。

さらに、「身近な自然に目を向けることで新たな発見もあり、家族との貴重な時間を過ごすことができます」ここはよくわかるんですが、「今は、できるだけ近所で過しましょう。」の部分が、現在の日本の通念、外出自粛=家で過ごしましょう、とすりあっていないように見えてしまいます。

その部分の原文が

Shop and recreate in your own neighborhood.

というえらい短文なので、ここを相当苦労して日本に合わせて意訳され、作文されたのだと思います。

私が想像するに、CLOSE TO HOME は「近所」のことを言っているのではなく、アメリカみたいなバカでかい家は玄関から出るだけで芝があったり、花が植えていたり、木があったりをよく見るじゃないですか、つまり自分の敷地内の自然を見直したら、というニュアンスなんじゃないかと思ったりするのです。

CLOSE TO HOME=自宅に接する野外、日本でいう庭、広げても街路樹、ここあたりのことを言っているんじゃないですかね。

「できるだけ近所で過しましょう。」の「近所」のままだと、今自治体も推奨できにくい公園などにも行きましょうと言っているようにさえ思われる可能性もあります。それは同時に、近所の公園へ行くな、でもなく、行くならば自らの、そして他者への予防措置をした上での行動であることが絶対条件であることは言うまでもありません。

それは同時に、近所の公園へ行くな、でもなく、行くならば自らの、そして他者への予防措置をした上での行動が絶対条件であることは言うまでもありません。

私はマンションの上階なので庭もなければベランダに植物すらないです。

ではどうするか・・・ここで登場するのが「宙」です。

星空、月夜、夕陽・夕焼け、朝日・朝焼け、青い空、雲、曇り空、雨、虹・・・。

おい、オマエ都合がいいこと言うなと思われたらごめんなさい(笑)そこは一応「星のソムリエ」なんで許してください(苦笑)


4)ケガや病気をしないように慎重に行動しよう。

これ、原題が

KEEP IT CHILL.

で、こんなおもいっきりアメリカ英語じゃ、そりゃCAJも苦慮されたでしょう(笑)なんでしょう、家でゆっくりしてろよ、とか、汚い言葉にすれば、バタバタしてケガなんかするなよ、みたいな感じなんですかね。よくはわからないです。CAJの意訳のままがイチバンいいですね。

日本の本文は、

現在、各地の医療機関は、感染者が拡大してかなり逼迫した状況になっています。救命救急搬送機関も同様です。病院に見てもらう必要のあるケガのリスクのあるアクティビティや身体的に負担のかかる挑戦的な行動は、今はすべきではありません。高齢者や子どもはとくに注意が必要です。

で、これはできる限りこのまま受け取るのがいいと思います。

多少「身体的に負担のかかる挑戦的な行動」という部分がサンドイッチマン的に言うと「ちょっと何を言ってるのかわからない」になるのでしょうが(笑)、要するに、数少ない医療資源の無駄遣いにならないためにも、意味もなくケガで病院送りになるなよ、ということですね。

むしろ英語の原文の方がもっと「カートがどう」とかいう意味が分からない比喩が出てくるので、日本文のがよっぽどよくできている気がします。


5)休業、休園、閉鎖、中止をリスペクトしよう。

この5が一番難題というか、日本文への持っていき方を困ったのではないかと感じています。

原題は 

RESPECT CLOSURES AND BE A GOOD STEWARD.

これまた難解ですね。続いて本文。

公園やキャンプ場などが休園、休業、閉鎖されているのは、ユーザーの安全と健康を守るためです。オープンしている場所に行く場合でも、フィールドの保全管理、巡回メンテナンスなどに負担をかけないように、ゴミはすべて持ち帰り、トイレは家ですませておくこと。

原文の方は

If parks are closed, don’t go. If parks are open, be especially mindful of not overburdening areas that might have limited maintenance and oversight. Pack out your trash, use the restroom before you leave the house.

なので、ほぼ直訳といってもいいでしょう。だからおかしくなっちゃったんじゃないかな・・・

前半は問題ないというか、まさにそこが大事で、これこそ今直面している核心です。昨日触れたことはここと呼応しています。

問題は後半です。まず「オープンしている場所に行く場合でも」これの論議が分かれます。

表面上なぞってしまうと「オープンしてれば行っていい、ってこと?」とも取れます。

その後の文章も問題で、「ゴミはすべて持ち帰り、トイレは家ですませておくこと」というのが分かるようで分からない。

特に日本とは温度差がかなりあるトイレの話を含めて、この際バッサリ切ってしまってもよかったんじゃないかと思ってます。

CAJ的に、今の日本に合わせて思い切り意訳してもよかったんじゃないでしょうか。

あくまでも例えばの話ですが、

「もし、この先またそれらの施設に行けることになったときは、この苦しい期間長く自然と施設を保持してくれていたことに、今まで以上の敬意を払い、感謝の意を伝えましょう」

こんな感じかなー、と。

ところで、タイトルにある「BE A GOOD STEWARD.」の真の意味を知りたいですね。

私は全然知りませんでしたが「Forest Stewardship Council」=「森林管理協議会」があるそうです。これによると、

Stewardshipとは、所有者や支配者としてトップダウンで管理するのではなく、資源を預かるものとして責任をもって管理し、それにより仕える、奉仕するという意味が含まれます。ここには、我々人間は森林や自然の支配者ではなく、自然に仕え、その資源を預かり管理するものであるという哲学が表れています。

とあるので、「よき自然へ奉仕する人でありなさい」ということなんですかね。

「今はそこへは行けないが、どんな時も自然を愛する人ではあり続けてください」そんなようにも思えました。

以上、前置きの通り「私的解釈」なので、どれも全く合っていないかもしれません。

ただ、細かい話ではなく、大きく理解することではこの5つの提案をしっかり認識したいと思います。

むしろ、順序が逆になってしまい申し訳なかったのですが、

CAJが自ら前文として書かれていることが一番的を得ていて、本文はアメリカの発信を尊重しすぎたため整合性を失ってしまったのかもしれません。

以下がその前文です。ぜひここをよく読んでいただきたいです。

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、日本でも緊急事態宣言が出された今、私たちはフィールドに出かけることについて、どのように考え、行動したらよいのか、不安と逡巡で、落ち着かない日々を過ごしている人は多いと思います。そこで、現在、29のアウトドア関連企業、ブランドが会員として参加する一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン(以下、CAJ)として、以下のガイドラインを提唱します。
本来ならば、日本のアウトドアフィールドの自然環境保護活動をサポートする組織ではありますが、すべてのアウトドアユーザーが健康で自然を楽しめることが、私たちの産業の基盤です。山や海で過ごす時間を愛する私たちにとって、アウトドアは日常生活の重要な一部であり、健康で安全な社会生活を続けていくための行動規範などと同様に、フィールドでも、ひとりひとりが、責任を持って慎重に行動していくことが、今まで以上に求められています。第一に重要なことは、あなたの周りの人々の健康を守ること、これ以上、感染を拡大させない、ということに最善を尽くしましょう。
しかし、移動の制限や自宅待機など、閉塞的な状況が続けば続くほど、少しでも戸外に出て、新鮮な空気を吸いたいという気持ちも理解できます。なぜならば、私たちは野外にいることが、いちばん快適で、心身ともに健康な状態にしてくれる場所だと知っているからです。 そして、在宅する時間が多くなればなるほど、皮肉なことに、多くの人々が、自然にふれる喜び、風に吹かれる心地よさ、心身へのプラスの効果に気づき始めています。
状況は日々変化しています。この記事の執筆時点では、全国各地のキャンプ場や公園には、戸外であることの安心感からか、週末になると例年よりも多くの人が来場していると聞きます。いっぽう、クライミングジムや山小屋などの営業自粛や休業、閉鎖など、社会的距離を保つための指導は、日ごとに厳しくなっています。まだ感染者数の少ない地域と感染者の多い都市部とでは、危機感の温度差などに違いもあるでしょう。しかし、今、最優先すべきなのは自分自身の安全はもとより、周りの人々の幸せを守ることです。アウトドアをこころゆくまで楽しむことができる幸せな日常を取り戻すためには、私たちは責任を持って行動し、良く考えて、できうる限り予防的なアプローチを選んで、あなたの友人や家族が注意深く行動することもサポートしながら、最大限の安全を確保してください。

最後に。

私たちは自然の脅威と闘っている現在であるいっぽう、

この先、自然をより深く理解し、共生していける存在にならない限り、

地球のメカニズムの中で淘汰を受けてしまう未来なのかもしれません。

新型コロナウイルスの問題は、地球からの警鐘、地球への対峙の仕方を問われている、

そんな気がしてなりません。


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