日記2020年10月31日

10月に入ってから急に寒くなった。こんな年にも秋は来るらしい。世界中がもがき苦しんだような1年があと2ヶ月で終わる。 


人生にいったいどんな意味があるのか。「意味はない。それでよいではないか」と思えるようになるまで20年かかった。それでも「このことの意味は」などと思うが、それも含めて生というものであろうか。


かたんと一筋におもふも病也。兵法つかはむと一筋におもふも病也。習のたけを出さんと一筋におもふも病也。かゝらんと一筋におもふも病也。またんとばかりおもふも病也。病をさらんと一筋におもひかたまりたるも病也。何事も心の一すぢにとゞまりたるを病とする也。此様々の病、皆心にあるなれば、此等の病をさつて心を調ふる事也。(柳生宗矩『兵法家伝書』)


よく宗教家とか、武道家とか、そういう「奥義」を会得した者が以後まったく悩んだり困ったりすることがなくなって心穏やかに生涯を過ごしたように書かれていることがあるが、そういうことは普通の人間には起こらないだろうと思う。「ああやっぱりそうなんだな」と思ったり、「いやしかしそれでも」と思ったり、「わかっているけどそうはできない」ということがあったりして、ふらふらしながらやっていくのではあるまいか。


「自分探しに意味はないからやらない方がよい」などと訳知り顔で言う人間の言うことを聞かない方がいいと思う。「自分でやってみないと理解できないこと」は無数にある。もし「他の人がやったことはすでに結果が分かっているのだからやらなくてよい」ということであればそれもいいかもしれないが、大事なことは結局、自分で腹に落ちなくては納得できないのである。それがつまり自分の人生を生きることだからだ。


スーパーに柿が売られていた。買おうかと思ったがまださほど美味しそうではなかったのでやめにした。初物を食べると長生きするというから、食べてみるのもいいかもしれないのだけれども。

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