【短編小説】時を止める魔法
俺は一瞬時を止めることができる。
しかし、魔王は数秒先を予知する能力をも持っているのだ。
俺のこの能力が通じない相手……だが、魔王も時を止めている瞬間は何もできない。
つまり、今がチャンスだ!
「うおおぉぉ!!」
俺は全力で走り、魔王に剣を突き刺す。
しかし、魔王はそれを予知していたようだ。
俺が突き刺したはずの魔王の姿は消え、俺の背後に現れる。
「ふんっ」
そして、俺の首根っこを掴み、持ち上げる。
しまった……!!
「これで終わりだ!」
そう言って、魔王は拳を振り下ろす。
その瞬間、時を止める。
俺を持ち上げた魔王の腕を切り落とすと、そのまま後ろに飛び退いた。
「ちぃ……」
魔王が舌打ちをする。
危なかった……あと少し反応が遅れていたら死んでいたかもしれない……。
魔王は片腕を失いながらも余裕の表情を浮かべている。
どうやら再生能力を持ち合わせているらしい。
厄介な野郎だぜ……。
「もう、キリがない……」
このまま戦っても勝ち目はない。だが、負ける気もしない。
「本当にとどめを刺そうとすると時を止める……。本当にキリがない」
魔王は独り言のように呟いた。
「もう、疲れたし、面倒くさい」
「そうだな……本当に面倒くさい」
俺も同意する。
さっきから何度も攻撃しているが、全て防がれてしまう。
これじゃあ永遠に決着なんてつかない。
「お前とは相性が悪いみたいだし、そろそろお開きにしようか」
「同感だ」
お互いに背を向けた。
「では、さらばだ。勇者よ」
魔王が歩き出したその時だった。
「うそぴょ~ん♪」
魔王が意表をついて襲い掛かってきた。
俺はその瞬間、時を止めてよける。
「魔王、卑怯だぞ!!」
「卑怯?何のことかな?」
魔王は笑いながら俺を見る。
こいつ、絶対に確信犯だな……。
「ごめんなさい。もうしないですぅ」
魔王は頭を下げてきた。
まあいいか、許してやろう。
こうして、俺たちは魔王城を後にした。
その後、魔王とは会っていない。
面倒くさいから……。
あとがき
本文は「AIのべりすと」で作成、挿絵はLINEの「お絵描きばりぐっどくん」で作成しています。
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