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【短編小説】ウサギの魔物

何かぴょんぴょんと跳ねている。
「お、おい……なんだよあれ……」
「なんかやばそうだぞ……」
「に、逃げろぉ!」
冒険者たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
俺も逃げ出したいが、足が動かない。
どうしよう。
『おい!逃げるのか!?』
「えっ?」
ぴょんぴょん跳ねているのはバニーガールの格好をした黒髪の女性だった。
「あぁ……ごめんなさい」
俺は恐る恐る話しかけた。
すると女性はピタッと動きを止めて俺を見つめてきた。
『ふむ、なかなか良い面構えだ。私はリリス。お前の名は?』
「は?……ユウキですけど」
『そうか。ユウキよ、私と契約する気はあるか?』
「契約ですか?」
『そうだ。私の力は見ただろう?私はぴょんぴょん跳ねることができる。それはとても便利だと思うのだが、どうだろうか?』
確かにあの跳躍力があれば戦いの幅が広がるかもしれない。
でも、本当に大丈夫なのか? この人、めっちゃ美人だけど頭おかしいんじゃないか?
「うーん……」
『悩むことは無い。お前には選択の余地などないのだ。さぁ早く!』
「わ、わかりましたから急かすのをやめてください!」
リリスさんがまたぴょんぴょんしはじめたので慌てて返事をした。
なんだよこいつ……。
ぴょんぴょん跳ねて落ち着かない様子だったので座ってもらった。
とりあえずステータスを見てみよう。
『いや~ん♡そんなに見つめちゃダメぇ~ん♡』…………
ステータスを確認するのを拒否られた。
……まあいいか。
と思ったら……。
『やっぱりやめた。勝手にステータスを覗き見るような奴とは組めない』
「ちょ、ちょっと待ってください!」
『嫌だね。私は帰らせて貰おうかな』
ぴょんぴょん跳ねて行ってしまった。
どうすればいいんだこれ……。
そこにさっき逃げた冒険者たちが帰ってきた。
「お、おい!あいつどこ行った?」
「それが、帰ったみたいだぜ」
「マジかよ……」
「ああ。でもよかったじゃないか。俺たちは助かったわけだし」
「そうだな。よし、じゃあ帰るか」
「おう!」
2人の冒険者が帰っていった。
残った1人が俺に声をかけてきた。
「あんちゃん大丈夫かい?」
「はい。なんとか」
「それなら良かった。ところでさっきの女はなんだったんだろうな?」
「さぁ……僕にもわからないんです」
「そっか……まぁいいや。そう言えばこのダンジョンにはやたら契約をしたがるモンスターがいるらしいから気をつけた方がいいぞ」
「そうなんですか?」
「ああ。契約をするとぴょんぴょん跳ねられるようになるらしい。だがこのダンジョンは天井が低いから頭をぶつけて死んでしまうことが多いようだ」
「へぇ……ちなみにどんなモンスターなんですか?」
「確か……ウサギだったと思うぞ」
「ウサギですか……」
まさか……な。

◆ リリス視点 ◆
くっくっくっ……。
私はぴょんぴょんと跳ねながら笑った。
私と契約したかったらもっと誠意を見せるべきなのだ。
それにしてもこのダンジョン、天井が低くて大変だ。
さっきも天井に頭をぶつけてしまった。
まったく……次からは気をつけないとな。
私だけ不自由な思いをするのは許せないので契約してやることにする。
おっと、次の獲物が来たぞ。
私はぴょんぴょん跳ねていった。

あとがき

本文は「AIのべりすと」で作成、挿絵は「Stable Diffusion」の「ACertainThing」で作成しています。

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