そこにクルマがあればいい


クハ205とクハ207。この半端な鉄コレを見ているだけで架空鉄道は楽しめます

 手持ちの鉄コレで、半端な2両がありました。クハ205とクハ207です
 当然これだけでは編成として成立しませんので、これを架空鉄道の車両にしたいなと考えます。クハ207+クハ205の2両つなぎで、どちらかの車両を電装するという設定でいいでしょう。しかし2両しかない207系の先頭車をなぜ譲受するのか? そこは考えたいところですよね
 とりあえず「ラッシュ時に増結車両をつなぐことを想定」というのはどうでしょう。
 『鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準』の第75条には、「列車の最前部または最後部となる車両」には1つの貫通路が必要とあります。つまり、先頭車は妻面に貫通路があれば先頭は非貫通でいい。貫通扉なんて冬場は隙間風がひゅうひゅう入ってきますので、職場環境の向上を鑑みても非貫通に越したことはありません
 しかしクハ207には非常扉がついている。これを合理化するには「列車の最前部または最後部にならないケースがある」とすればいいわけです。つまりクハ207の前に増結車が連なる、というわけですね

なんともいびつですが、つまりこういう増結が発生するケースがあるという設定にすればクハ207を購入した理由が成立します

 ここで賢明な読者はこう思うかもしれません
 「新幹線とか西武30000系とか、非貫通で普通に連結してるじゃん」と
 なのでもう少し理由を深めなくてはなりません。この架空車両が走る鉄道はワンマン運転を実施している、というのはどうでしょう
 ワンマン運転の場合、解釈基準が少し変わってきます。先ほどの75条の解釈基準の場合、但し書きとして「○特別な措置を講じた車両(備考2)」がついているんですね。この備考2を参照すると「「特別な措置を講じた車両」とは、車両2両以上で組成された列車を連結して組成された旅客列車で次のいずれかの措置を講じた場合の当該連結部の車両をいう
・連結された列車ごとに、それぞれ非常の場合に旅客を誘導して退避させるための係員(以下、保安係員という)が乗務する場合
・連結された列車のいずれかに保安係員を乗務させるとともに、当該旅客列車を組成する全ての車両の非常通報装置に旅客と保安係員との間で通話できる機能を設けた場合。
」とあります
 つまり、非貫通同士で連結した場合、それぞれの編成に保安要員がいる(ミニ新幹線+フル新幹線)、もしくはどちらかに保安要員がいて、保安要員がいない車両から保安要員に連絡ができる装置がついている(西武30000系)ことを「特別な措置を講じた車両」と定義しているわけです
 なので増結車をつないだ3両つなぎでワンマン運転をしたい場合は、運転中の運転士は保安要員たりえませんので貫通路で基本編成と増結編成をつなげなくてはいけないわけです。つまりこの架空路線では、日中は2両つなぎ、ラッシュ時は増結車をつないだ3両つなぎでワンマン運転を行う鉄道に使われているとすれば、片側がクハ207になる理由が成立する、というわけです
 おそらくこの鉄道ではクハ207・クハ206・クハ205・クハ204の4両を譲受して、片側貫通路の2編成を導入したのでしょう。解釈基準では貫通幌の設置までは要求されていませんので、幌受けなどを付ける必要はありませんが、通路として使われるよ~とアピールするために、扉の横に真鍮線で手すりでもつけておくといいかもしれません
 そして足回りはどうするか。地方民鉄の山岳線ならギアリング7.07でトルク型の140kwモータ4基吊って1C2M制御2群、1M1Tかなーとか、パンタは雪国ならM車に2基のせるのもいいなーとかまあ、そんなことを考えて楽しんでもいいでしょう
 ……とまあ、車両を眺めているだけでこんなことを考えて楽しむのも、俺の中では架空鉄道の楽しみ方なんですよね。車両を軸に走ってる沿線風景を展開する。それもまた楽しいものです