結局こんな感じに


塗装は往年の川崎市電へのオマージュ

 川崎LRT『HyKaLi』の00形救援車は結局こんな感じに
 もともとは水素でちゃんと電車動くのかよ、ということを確認するための確認試験車として登場。とりあえず水素なんていう物騒なもんを積んで試験走行するので、運転台と機器室は分かれた構造となっている。とはいえ間に挟まるのはt2.4の鉄板2枚だけなんだけど
 走行機器はどこぞの鉄道会社からちょっぱってきたNK-11台車。かつては山陽電気軌道の700番台なんかが履いていたと記憶してますがまあ、そんなありふれた日車製の台車です。スイングハンガ式でそれなりに揺れますが、実証試験においては振動下においても水素燃料に危険がないかも知りたいので好都合というものでしょう。ボルスタアンカ? ねーよそんなの
 で、水素タンクが何らかの理由で高温になってしまうと大変危険なので、一定の温度を超えたら大気に放出します。その際側面のルーバーから一斉にぼわっと水素を出すわけですね
 足回りは既製品でまとめています。モータは東洋電機謹製TDK-6307。インバータが三相440Vを吐き出すので出力は60kw×2。これをギアリング6.55で回します。駆動方式はTDでいいでしょう
 車輪径がΦ=660mmなのにギアリングがずいぶん深いなと思いますが、まあこれはそんなに速度を出す電車でもありませんし、ついでに言うとモータが東洋電機なので高い定格回転を深いギアリングでパワーに変えていると思ってください。ちなみにブレーメン型LRVのギアリングはもっと深い6.789です

取ってつけたような2エンドの運転台

 で、00形は実証試験だけが目的の電車ですから運転台は片方にしかありませんでした。帰りは非常ブレーキボタンを持った係員がデッキに立ってフライ旗で誘導しながら帰るわけです
 機器室はパレット輸送の貨車を思わせるようなでかいドアがどてっぱらについていますが、これは機器類をとっかえひっかえする際に重機で出し入れするためです。実証試験ですからそりゃあもういろんな機器を積むわけですから、開口部はある程度でかいほうがいいってもんです
 で、この機器室に水素タンク、改質装置、バッテリ、コントなんぞを積んで床下にはコンプと空気ダメがついております。ブレーメン型電車は基本エアレスですが、こちらは足回りが従来と同様の機構なので空制を常用します
 塗装はお遊びで川崎市電のカラーリングを流用。営業電車にも1編成くらいそんなのがあってもいいかもしれませんね
 で、実証試験が終わって新潟から営業用の電車がズンドコズンドコやってくるとこいつの役目は終わりです。しかしそれなりに新しい機器もいくらか積んでるので廃車にするのはちいとばかしもったいない。そこで開業後は救援車として活用しようということで、2エンド側にとって付けたような運転台を取り付けました。試験機器などはもう積まないので1tくらいなら何か適当に荷物も積めますので、修理機器を積んで救援に行く機会が(あっては困りますが)あるかもしれません
 まあ、そんな感じの00形実証試験車でした