認知が甘いという話

友人のタトゥー率、驚くほど高くはないけどものすごく低くもない。


私は擦りむいただけでシャワーが憂鬱になるクチだからタトゥーだなんてとんでもない話だけど、入れている人は何がきっかけだったのだろうか。
特に理由なんてなくて、単純に格好いいからというだけかもしれない。だけどタトゥーは基本一生消えないし(消すほうが痛いと言うよね)、そもそも入れるほうも入れられるほうも作業自体が相当なおおしごとっぽいし、「なんか格好いいからやっちゃったえへへ」みたいな軽いテンションでできるものではないような気もするのだ。いや痛みに強い人は案外そんなもんなのかな。


からだ全体を使ったアートのような感じで全身に入れている人もいるし、ワンポイントで入れている人もいる。
全身に入れている人に対しては、痛くないのかとかどうして入れようと思ったのかとか聞くことすら無粋な気がする。一生理解できない感覚だけど、もう生活の一部なんだろうな。
そういうのってイキってやっているのだと昔は思っていたけど、今ではそういう次元の話ではないことがなんとなく分かる。

とはいえ露出の多い夏場に知り合わない限り、友人がタトゥーをしていることなんて知るきっかけがない。


以前買い物をしていたら偶然友人「らしき」人が私服でいるのを見かけた。
声をかけようと思ったのだが、普段制服で隠れている彼(「らしき」人)のふくらはぎには思いっきりタトゥーが入っていたから私は混乱した。あれ???私が思っているあなたで合ってますよね?????顔、合ってるはず、だけど、あれ???????????????どうして急に自信がなくなってくるんだ????????????????????


違うわけがないと98%くらいは思っていたが、
万が一の2%を思い、私は向こうから声をかけてくるのを待つことにした。


ところが驚いたことに、
謎の緊張が走るほどの至近距離ですれ違ったにも関わらず彼は声をかけてこなかった。なんならうっすら目が合った気さえするのに。


そして気が付く。


私、髪色が違うんだ。


2年以上にわたり金髪だった私だが、その日は久方ぶりに色を暗くしての美容院帰りだった。だから案外分からなかったのではないか?まさか黒髪で現れるとは思っていないから。


そう考えると人というのは、相手を認識する能力が結構ざっくりしているんじゃないかという気がする。
たぶん、雰囲気に過ぎないのだ。髪の色とか、制服とか、そういうパッと見のおおざっぱな「全体像」みたいなものでその人のことをインプットしているのだと思う。だから急に虫眼鏡で細かいところに寄ってしまうとその人が認知できないし、一か所でもガラッと「全体像」の印象を変えるような変化があると簡単に素通りだってしてしまうのだろう。

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