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『あんぱんまん』

 今では誰もが知っている『アンパンマン』ですが、原作では『あんぱんまん』でした。
 今日はこの『あんぱんまん』を使って、聖書の話をわかりやすくしてみます。聖書箇所は、マタイによる福音書13章10節からの「たとえを用いて話す理由」です。この箇所には、イザヤの預言の言葉が引用されているのですが、以下に転載します。

『あなたたちは聞くには聞くが、決して理解せず、見るには見るが、決して認めない。この民の心は鈍り、耳は遠くなり、目は閉じてしまった。こうして、彼らは目で見ることなく、耳で聞くことなく、心で理解せず、悔い改めない。わたしは彼らをいやさない。』

 この言葉は、弟子達がイエスに、なぜたとえ話を使って教えを伝えるのかという質問をしたことから始まっています。

 さて、『あんぱんまん』の話に戻りますが、『あんぱんまん』を出版した当初、大人達の評価はさんざんなものでした。NHK出版から出された本にはこう書かれています。
 「出版社からは「やなせさん、こんな本はこれっきりにしてください」と言われるし、幼稚園の先生からは「顔を食べさせるなんて残酷です」と怒られ、あげくの果てに絵本評論家から「こんなくだらない絵本は図書館に置くべきでない。現代の子どもはこの絵本を読んでも少しも面白がらないはずだ」と書かれ・・・」

 しかし、肝心の子ども達の評価が違っていたというのは、今の状況を知っていればおわかりかと思います。いかに大人達が、自分たちの先入観や思い込み、偏見に囚われているかということではないでしょうか。あんがい子ども達の方が本質が見えている、そういう風に考えることも出来るのではないでしょうか。大人は自分の中にある先入観や思い込み、偏見に囚われていることに気づきにくいものです。かくいう私もきっとその一人でしょう。だからこそ、常に私たちは今日の聖書の言葉、「あなたたちは聞くには聞くが、決して理解せず、見るには見るが、決して認めない」に気をつけなければいけないのではないでしょうか。私は今、中高生を相手にしていますが、大人の入り口にいる彼らも、この話を聞いて、気をつけようと思うようです。参考までに。

(『NHK知るを楽しむー人生の歩き方 やなせたかし 正義の味方はカッコ悪い!』12ページより)

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