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名前の由来を題材とした宗教科の授業例(聖マリア小学校)

この記事では、名前の由来を題材とした宗教科の授業例をご紹介します。

◆授業のねらい
①イエス・キリストの誕生について学ぶ。
→イエスの誕生の出来事について復習する。また、イエスの誕生は皆(ヨセフ・マリアや羊飼い、博士達)が心待ちにしていたことであり、「イエス」という名前には「神は救い/神は救う」という意味があることを学ぶ。
②自己肯定感を涵養し、家族からの愛を実感する。
→自分が生まれた日の出来事と名前の由来を調べることで、自分の誕生は家族や周囲の人々にとってどんな出来事であったのか、また自分の名前の由来を知る。イエスの誕生同様、自分の誕生も家族や周囲の人々にとって大切な出来事であることを実感する。
③クラスメイトのことをより深く知り、クラスメイトも自分と同じように大切な存在であることを再確認する。
→クラスの友達の生まれた日の出来事と名前の由来を知り、友達も自分のように家族や周囲の人々から愛され、大切にされている存在なのだと再確認する。

◆授業展開(小学校2年生対象:2時間設定)
対象学年について
1年生時にクリスマスの出来事や羊飼い・博士が馬小屋に来た意味等を既習済み。

授業前
本単元を行うにあたり、事前に担任と授業内容について確認を行った(家庭環境で配慮が必要な児童はいないか、他教科と活動が重複していないか等)。

1時間目
<導入>
発問①:「待降節に入りました。待降節って何だっけ?覚えていることを教えてください。」
児童:クリスマスを待つ4週間!、クリスマスツリーを出す等…
→児童の反応を聞いた後、待降節の復習を行う。

発問②:「イエス様の生まれた日ってどんなことがありましたか?」
児童:馬小屋で生まれた、羊飼いや博士が来た、宿に泊めてもらえなかった、ヨセフ様とマリア様がベツレヘムに行った等…
→児童の反応は板書でまとめる。

発問③:「クイズ!イエス様の名前の由来は?①神様からの贈り物 ②優しい男の子 ③神様は救い」(挙手制)
→イエス(ヘブライ語:ヨシュア)は「神は救い/神は救う」という意味があることを学ぶ。また、天使がヨセフに「イエスと名付けなさい」(マタイ1:21)と夢で知らせ、ヨセフがそれを信じて名前をつけたことを知る。

<展開>
提案①:「イエス様の誕生はヨセフ様やマリア様だけではなく、貧しい人の代表だった羊飼いさんや外国人の代表の博士さん達、そして私達にとっても嬉しい出来事でしたね。イエス様は名前の由来の通り、みんなを救ってくれる方ですよね。……さて、今日はイエス様以外のある女の子の生まれた日の出来事を読んでみよう。」
→絵本「あやちゃんのうまれたひ」を読む
絵本「あやちゃんのうまれたひ」紹介
「あやちゃんはもうすぐ6才の誕生日。お母さんはあやちゃんが生まれた時のことを話してくれます。生まれる予定の日が過ぎて、お父さんもおばあちゃんもおじいちゃんも待ちきれなくなっていた、ある寒い寒い晩のこと、お腹の中で赤ちゃんの生まれる気配がして、お母さんは病院に向かい、あやちゃんを産んだのです。赤ちゃん誕生をめぐる家族の期待、喜び、感動を、しみじみと温かく描きます。」(「」は福音館書店より引用)

(読み終わった後に)
発問④:「印象に残ったところありますか?」
児童:
①みんなが準備をして、あやちゃんが生まれているのを待っていた!
②生まれた日とお母さんのカレンダーに丸していたところ(予定日)が違った!
③(夜中、家でお母さんの陣痛が始まったとき)お父さんがパジャマでウロウロしていたのが面白かった!
④どうしておばあちゃんと、お父さんは病院に行ったのに(お母さんの出産に立ち会ったのに)、おじいちゃんは家で待っていたの?
→④に関しては児童に「○○さんは、どうしておじいちゃんが家にいたと思う?」と聞くと、質問した児童は答えられなかったが、「必要な物を後で持って行くつもりだったかもよ!」などと他の児童から反応があった。

<終結>
提案②:「イエス様の生まれた日も色々あったけれど、あやちゃんの生まれた日も色々ありましたね。では、みんなの生まれた日や名前の由来について、家族や自分の生まれた日について知っている方に聞いてきて欲しいです!これは来週までの宿題です。」
→プリント配布。児童からの質問を聞く。

2時間目
<導入>
提案①:「生まれた日や名前の由来に聞いてくれましたね。今日は名前の由来をみんなに聞いていきたいと思いますが……せっかくならゲームにしよう!『お名前ビンゴ』です。」

<展開>
教師の活動:プリントを配布し、「お名前ビンゴ」の説明をする ※ルールは数字で行うビンゴと同じ

ルール:
①児童は、9マスの中心に自分の前を書く。
②児童は立ち歩いて、他の8マスに友達の名前の由来を聞いた後にその子の名前を書き、自分もその友達に自分の名前の由来を伝える。
③児童は8マス全て書き終えたら、自分の席に着く。
④(児童全員が席に着き終えたら)教師が名前を書いたくじをランダムに引き、くじに書かれた名前を呼ぶと同時に、名前の漢字表記とルビを黒板に書く(名前表記が平仮名・片仮名の場合はその通りに書く)。
⑤名前を呼ばれた児童は全体に自分の由来を答え、生まれた日はどんな日だったか短く答える。他の児童は自分のマスにその児童の名前が書いてあったら、その場所を丸する。
⑥縦・横・斜めいずれかが丸になったら、「ビンゴ!」と言う。

「⑤名前を呼ばれた児童は全体に自分の由来を答え、生まれた日はどんな日だったか短く答える」は以下のように答えるよう、事前に説明した。
「郁(かおる)は、両親が好きな元野球選手の岡崎郁さんからもらった名前。お母さんが「かおる」という名前をつけたかったらしい。私が生まれたのは予定日より2週間早くて、お父さんが仕事を早く終わらせて病院に来てくれた。」

<終結>
ビンゴを終えた後、児童に自分の名前を調べたことやビンゴを行った感想を書き、全体共有。
プリントは授業後に回収。

児童の反応(原文通り):


・かん字に いっぱい 家ぞくの 思いが つまっていた。
・楽しかったです。友だちの名前のゆらいが い外に思っているより ちがいました。
・友だちにも、いろんなゆらいがあるんだなぁと思いました。

◆使用教材
浜田桂子「あやちゃんのうまれたひ」福音館書店、1999年
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=653

◆投稿者
光塩女子学院初等科/聖セシリア小学校、女子中学校/聖マリア小学校非常勤講師・才間郁

※この記事で使用している児童の発言は聖マリア小学校の児童のもの。管理職の許可・承認済み。文中に出てくる名前とその由来は児童の氏名と由来ではなく、投稿者のもの。


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