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あらすじ小説情報本文 紘斗 は気怠そうにベットに横たわっている 英里奈 を横目で見やる。 ――英里奈に坊主にしてもらうといつもこうなる。 夏の県大会予選で敗れ甲子園のない夏、三年が引退し、秋の大会に向け部活の練習は二年と一年の新チームが作られつつあった。 部活が終わり、その足でマンションの隣に住んでいる幼馴染の英里奈の家に立ち寄った。バリカンを持って「やってくれ」といつものようにお願いして、いつものように五分刈りにしてもらう。終わるとどちらからともなく求め、英里
あらすじ小説情報本文 ジャーと蛇口から水を出しシンクで洗い物をする。今日は休日で夫の真也と二人でお昼を食べた後だった。妻の三佳と真也は結婚して三ヶ月が経つ。だいぶ二人での生活に慣れて来た頃だった。 「なぁ、髪はいつ短くするんだ?」 藪から棒に夫から聞かれた。 「え?あぁそうね。今度、美容院に予約するわね。」 そう言ってはぐらかす。三佳の髪は背中を覆うくらいの長い髪である。結婚式の為とはいえ、せっかく伸ばした髪を短くするのは、なかなか抵抗があった。三ヶ月間、何かと
あらすじ小説情報本文 明彦と遠距離恋愛となって三ヶ月が経った。人員補充の為と突然の地方転勤だった。期間は決められていない。 彼と私は学生時代から東京でずっと一緒だった。これからも変わらないと思っていた。急な話で仕事を辞める訳にもいかず、付いて行かなかった。 電話やメールで連絡は取っていた。最初こそ寂しかったが、時が経てば一人の生活にも慣れ、寂しいという気持ちはだんだんと薄れていった。 一方で明彦は会えなくて寂しそうに見えた。ただ休日が合わず、東京に来てもらうのも
あらすじ小説情報本文「ねぇ勝、バリカンして?」 彼女の千香からおねだりをされる。 「また? この前から一ヶ月も経ってないぞ」 「暑くてスッキリしたいの。お願い? ね?」 上目遣いでねだってくる。いつもの事だった。 「仕方ないな。分かったよ」 準備しようと立ち上がった。 「やったー!」 ◇ 発端は半年ほど前だった。髪の量が多い千香は、いくら梳いても髪が首に張り付いて鬱陶しいと愚痴をこぼしていた。当時、千香の髪は肩下十センチくらいの長さだった。 「内側を