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断髪小説『バリカンと彼女』

あらすじ

彼女の千香ちかはバリカンを気に入っている。いつものようにお願いされて、だんだんエスカレートしていく。

小説情報

文字数  :4,780文字
断髪レベル:★★★★★
キーワード: 社会人カップル、アンダーカット
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本文

「ねぇまさる、バリカンして?」

 彼女の千香ちかからおねだりをされる。

「また? この前から一ヶ月も経ってないぞ」
「暑くてスッキリしたいの。お願い? ね?」

 上目遣いでねだってくる。いつもの事だった。

「仕方ないな。分かったよ」

 準備しようと立ち上がった。

「やったー!」



 発端は半年ほど前だった。髪の量が多い千香は、いくらいても髪が首に張り付いて鬱陶うっとおしいと愚痴をこぼしていた。当時、千香の髪は肩下十センチくらいの長さだった。

「内側を刈り上げたら?」

 ほんのささいな冗談のつもりだった。

「それいいね! バリカン面白そう!」

 予想外だった。千香が乗り気になった。軽く言ったことを反省したが、楽しそうだったので、まぁいいかと気楽に考えてしまったのが全ての始まりだった。

 その翌日、千香はご機嫌で帰ってきた。

「バリカンを買ってきたー!」

 千香は早速箱を開けて動かそうとしていた。電源を入れると『ビィーン』と大きな音がした。

「わっわっ!」

 大きな音と振動に驚いたのか、バリカンをお手玉しそうな様子だった。初めてだったのだろう。危なっかしい手つきに見かねて、思わず「貸して」と言っていた。野球部時代に何度も使ったことがあったので慣れている。千香はなんの抵抗もなくバリカンを渡してきた。

「ねねっ、勝が刈り上げてくれる?」
「分かったよ」

 わざわざ買ってきてしまったのだ。やるしかないだろう。

 適当に長めのアタッチメントをつける。千香の髪を耳たぶのあたりでラインを引くように上下に分けて、下だけを残して、髪を家にあったゴムや髪留めで止めた。

「刈るぞ」
「うん! やっちゃって!」

 襟足からバリカンを入れる。パサっと抵抗なく十数センチ程の髪が落ちてくる。

「わわっ。なんか楽しいね」

 千香は楽しそうだ。下側の髪を刈り終えて、まとめていた髪をほどいた。

「どう?」

 千香が刈り上げだ部分を触っている。

「たしかに首に当たる部分が減ったかも! これいいね!」

 満足そうな様子だった。



 それから一ヶ月と間隔を開けず、何度もバリカンをおねだりされた。その度にバリカンで刈り上げる範囲も徐々に広がり、アタッチメントの長さも九ミリ、六ミリ、三ミリと、どんどん短いのを所望しょもうされるようになっていった。

 今では鼻の高さまで三ミリで刈り上げるようになっていた。そして、もともと肩下まで伸びていた髪は肩の上まで彼女自ら切りだす始末だ。

「おいおい、かなり髪がガタガタだぞ。揃えてやるからハサミを貸して」
「首をスッキリ出したい」

 そう言われ、あごラインで揃えるようになった。



 現在に戻る。準備ができ、千香を椅子に座らせる。

「今日は前よりももっと上まで刈り上げたい!」
「は? 今でも十分だろう」
「でも重たいからもっと軽くしたい!」

 こうなると千香は頑固なので折れない。

「わかったわかった。どこまで刈り上げたいんだ?」
「んー、じゃあこの辺かな」

 こめかみの辺りを指さした。

「そんなに? 頭のほとんどが刈り上げじゃん。流石に周りにバレるだろう?」
「もう友達も職場の人達も知ってるよー。すごいねーって言われる」

――バレてるのかよ

 こっそり胸中でつぶやく。

「耳周りをスッキリしたいの。いいでしょー?」

 また上目遣いに言ってくる。

――こいつ、俺に上目遣いでおねだりすれば聞いてくれると思ってるな……

 わかっていても逆らえない勝であった。



 こめかみの高さで髪をブロッキングしていく。早く早くと言わんばかりにこちらにうなじを差し出している。

「じゃあ刈っていくからな」

 なかばやけくそな心地で千香の頭にバリカンを入れる。ザリザリと音を立てて、髪を勢いよく刈っていく。

「あー、すごい気持ちいいー」

 バリカンの感触を堪能たんのうしているようだ。確かに気持ちいいくらい、バサバサと勢いよく髪が落ちていく。

「あっ……そこっ」

 バリカンで感じてるらしい。

――ほんとすごい髪の量だな。刈りがいがあるよな

 自分も千香の髪を刈るのに夢中になる。こめかみまでの髪を短くしていく。その度にバサバサと髪が落ちてくるのは中々爽快そうかいだった。

 耳の上を刈り上げる。新鮮だったのか「なにこれ、めっちゃ涼しい。」と言っていた。こめかみより下の髪をすっかり刈り終えていた。

「こんなもんか?」

 千香はどこか物足りなさそうな顔をしているように見えた。

――これはもっとってねだってくるな。でもこれ以上は……

 さすがに抵抗感があった。

「もっと刈りたい」

 案の定、千香がそう言い出した。

「もっとって、あとはアタッチメントを無くすか坊主だぞ」
「物足りないの。坊主はやりすぎな気がするから、短くして」
「まじかよ。一番短いやつだそ。青々するんだぞ」

 こめかみ付近に痛みを感じる。警告しても無意味だろうが、一応伝えた。  

「お願い。やって」
「はいはい、分かったよ」

 またしても降参するしかなかった。



 バリカンのアタッチメントを外す。

「クリクリに刈るからな」
「うん!」

 さっき刈り上げだ場所に改めてバリカンを入れる。短く刈った髪がさらに短くなっていく。

「ほんとバリカン気持ちいい。もっとやってー」

――ほんとバリカンのとりこだな。最終的には坊主にしかねないな

 千香の頭にジージーとバリカンを入れていく。ただでさえ短くて地肌が透けて見えていたのに、さらに青々としてくる。

――俺でもこんな短く刈ったことないぞ

「あっ……ほんとバリカン気持ちいい……んっ」

 千香の声音から、たぶんアソコが濡れているだろうと想像した。



 これ以上はバリカンで刈りようがなくなって、髪を止めていた髪留めを外す。勢いよく髪がスルリと降りてきた。見た目からもかなりボリュームが少なくなった事が分かる。

「すっきりしたか?」

 千香が頭をフルフルと左右に振る。

「うん。すごく軽い!あっでも…」

――まだあるのか?

「髪を短くしたい。すぐに首筋に当たって鬱陶しい」
「これ以上短く切ると刈り上げが見えるけど良いのか?」
「うん。自分からはどうせ見えないし、やってみたい」

――会社の人間にはバレてるって言ってたから、まぁいいのか

「わかったよ。耳たぶくらいか?」
「耳にかからなくしたい」
「はぁ? それっておかっぱどころか坊ちゃん刈りじゃん」
「あ、そういうんだ。俯くと髪が前に落ちてきて邪魔な時があるんだよね」
「ゴムとかピンとかで止めればいいじゃん」
「ふとした時に鬱陶しいの」

――はぁ……。自分でやると言い出しそうだな

「自分で切るからいいよ」

――ほらやっぱりな。はぁ。彼女が坊ちゃん刈りかぁ

 長い付き合いなので髪型くらいで別れるつもりはないが、胸中は穏やかではなかった。いっそ坊主の方がマシじゃないかと思う。周りの知り合いにもどう思われるか心配になってきた。

――一度坊ちゃん刈りにして、坊主にするように誘導してみるか。そうすればカツラを被せることもできる

 不意にそんな考えが浮かんだ。

「わかったよ。自分で切ったらガタガタになるから俺がやるよ」
「ありがとう! 勝は頼りになるね!」

 髪をくしで一通りとかし、耳の上でハサミを閉じる。少なくなった髪は簡単にストンと落ちていく。真っ直ぐ真横にハサミを動かしていく。地肌にハサミが直接当たるのか時折、千香が「んっ」と声を上げている。

――これだけ刈り上げが露出すれば、かなり涼しいだろうな

 そんなことを考えながら切り進めていった。溜息を吐くのはもう飽きていた。

「うわぁ、すごく涼しくてスッキリするねー!」

――どうせなら前髪も短くしてみるか。どうせ坊主にするしな

 ここまで短くしてしまうと、モヤモヤした感情も通り越して、千香の髪で遊んでもいいかと思えてきた。これだけ振り回されたのだ。楽しんだ者勝ちだろう。

「なぁ、千香。前髪も切らないか?」
「え?」
「よく目に当たっていじってるだろう? 短くすれば楽にならないか?」
「それもそうかな」

――よし、かかった

「じゃあ切るよ」

 千香の気が変わらないうちに、おもむろに額の真ん中でハサミをジョキジョキと勢いよく入れた。

「え!? やだ、短すぎない? やだー幼い」

 後ろはどれだけ短くても気にならないけど、前髪はそうではないらしい。もはや俺には意味が分からない。

「これくらいの方が顔がはっきり見えていいよ。もう少し短い方がいいな」
「えっ?ちょっ……」

 千香がいい終わらないうちに生え際の少し下で、かろうじて立たないくらいの長さでジョキジョキ切っていった。

「うん。いい感じ」

 すっかりおでこ全体が見えるようになっていた。

――前髪が短いとこんな感じになるんだな

 千香の変化をまじまじと観察した。

「ねぇ、いくらなんでも短すぎない?」
「そうかな?」

――後頭部の五厘刈りの方がどうかと思う

 そう思ったが口にはしないでおいた。千香は鏡で前髪が気になるのかずっと触っている。

――さて、坊主にするように仕向けるか

「なぁ、千香。バリカンを気に入っているよな?」
「うん。すごく気持ちいいよ」
「昔、野球部だった時のことを思い出したんだけどさ」
「うん?」
「結構みんなでバリカンで刈りあってたんだ。その時にな、額から頭の上を通る瞬間が一番クるよなって話してた」
「へぇ。そうなんだ」

 千香が興味を持ったらしく、こっちを向いた。

「なぁ、千香も感じてみないか?ここがバリカンを通る瞬間。今までとは比べ物にならないくらい気持ちいいぞ」

 頭のてっぺんをトントンと指さして、囁いた。自分は特に感じるとかはないが、そう言う部員もいたのは確かだった。

「……。でも坊主になるよね?」
「まぁ、そうだな。坊主は嫌?」
「うん。少し」

――ここまで刈り上げておいて、坊主に抵抗があるとはな

「そっか、残念だな。千香に気持ちいい思いをして欲しかったんだけどな。でも坊主だとカツラをかぶりやすいかもな」
「あ、たしかに!」
「だろ? カツラならいろんな髪型も試せるかもな」
「それいいアイデア! 坊主にしてみる!」

――ちょ、ちょろい。まぁでもこれで坊ちゃん刈りじゃなくせるな

 表情には出さず、胸を撫で下ろす。

「じゃあやるぞ」

 前髪をそっとかきあげる。額にバリカンを近づける。流石に怖いのか千香はギュッと目をつむっていた。

 ジジジと音を立てながらバリカンが額から入れていく。ちょうど分け目へ、ゆっくりと額から頭の上へと動かす。髪がバリカンに押し出されるように、無くなっていく。

「んっ……んんっー」

――ほんとバリカンに弱いよな

 自分とする時よりも感じているのではないだろうか。

 つむじを通り越してバリカンを頭から離す。恐る恐る千香は目を開ける。一筋の青々しい畔道あぜみちができているのを見るとハッとした顔をしたが、さっきのバリカンの感触を思い出したのか、すぐに恍惚こうこつとした顔をした。

「ぜんぜん違うね……」
「だろ? 続けるな」

 さっきできた青い筋のすぐ横を同じようにゆっくりとバリカンで刈っていく。

「んんっ……すごいっ」

 何度も頭の上へ繰り返しバリカンを滑らせる。バリカンの振動を感じるたびに千香はあえぎ声のようなものを出していた。



 髪が全てなくなり青々とした坊主頭になった。千香は恍惚とした顔をしてほほが上気している。おもむろに千香の下着へと手を忍ばせる。

「ちょっ……まさるっ」

――下着もぐしょぐしょだな

 今度、バリカンを使ったプレイでもした方がいいのかと考えさせられるような状態だ。バスルームに連れ込み千香を貫いた。千香は「もっと」と何度もねだっていた。

後書き

八月最後の更新です。楽しんで頂けましたら幸いです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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