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心で感じるな、耳で感じろ。~8.3 RADWIMPS ANTI ANTI GENERATIONにそえて~(前編)

2019年8月3日、縁あって地元の友達にRADWIMPSのライブに同行させてもらった。

ライブ当日の一週間前には必死に予習をした。RADWIMPSを聴きまくった。しかしそれまでは、RADWIMPSをあまり聴いてこなかった。むしろ意識して聴こうとしなかったことえ、わざと避けてきたことさえあった。



僕の音楽の原点は、2015年、当時15歳のちょうど今の時期ぐらいに聴いたBUMP OF CHICKENのオンリーロンリーグローリー。そこから割と最近になってミスチルやいきものがかりといった様々なアーティストも聴くようになったが、それまでの中学三年生後半からの約一年半、僕は文字通りBUMP漬けの毎日を送っていた。
暇さえあればBUMPの曲を口ずさんでいた。高校に入学し、友達もいなかった僕は、授業中や休憩中のちょっとした時間を見つけては教科書やノートにびっしりとBUMPの歌詞を書き連ねた。登下校で聴くのはもちろんBUMP。雨の日は、イヤホンを耳に差しながら傘をギターに見立ててギターソロを弾いていた。特に、「セントエルモの火」を弾くのが痛快だった。端から見ればただのイタいヤツだ。それぐらいBUMP OF CHICKENに熱中していた。特に高校一年のとき。初めての高校生活、積み重なる課題、慣れない部活、中学時代とは比べ物にならない学校までの通学路、寝てもろくに疲れも取れず、食らい付くように毎日を生きていた僕を、唯一支えてくれたのがBUMP OF CHICKENだった。

僕がそんなBUMP漬けの日々を送っていたまさにその最中、とある映画が大ヒットした。「君の名は。」だ。当時の僕は映画というものに全く興味がなかったが、それでもビックリした。クラスメイトほぼ全員が観に行っていたのである。みんな教室で君の名は。の話をしている。「おいー!ネタバレすんなよー!」という男の叫び声があちこちで聞こえてきたりもした。三回以上観に行った人もいた。本当にフィーバーだった。
映画に興味のない僕でも、一度予定が空いた日に観に行こうと決意した。でも結局行かなかった。僕には、君の名は。のフィーバーの中で少しだけ気にかかる存在がいた。それこそがRADWIMPSだ。

その当時、ネットの掲示板を見ると、「BUMPとRADはライバル」「RADがBUMPを越えた」「前前前世がBUMPにしか聴こえない」と、BUMP OF CHICKENを比較対象に語られる記事が多くあった。僕はそれまで、RADWIMPSを知らなかった。曲はおろか、名前も聞いたことがなかった。小学生ぐらいの僕でも、BUMP OF CHICKENというバンドがいて、天体観測という曲があることぐらいは知っていた。でもRADWIMPSは本当に君の名は。フィーバーで知ったのが初耳だった。本当にBUMP OF CHICKENしか頼れる存在がいなかった当時の僕は、突如として現れたBUMPのライバルに、ただならぬ恐怖感と嫌悪感を覚えた。

そこからしばらく、RADWIMPSが嫌いな時期があった。カラオケで履歴を見て、BUMPがなくてRADがあればとても悔しかった。抗うように三時間BUMPをぶっ通しで歌ったりした。出来るだけ前前前世を、なんでもないやを、スパークルを聴かないように過ごした。君の名は。を観に行こうと誘われたこともあったがもちろん断った。何よりも「BUMP OF CHICKEN」という絶対的な存在が脅かされるのが怖かった。そんな存在に触れたいとも思えなかった。

そんな僕も、高校二年生の途中ぐらいから少しずつRADに興味を示すようになった。いつまでも嫌っているのも億劫に感じた。その当時の新曲「サイハテアイニ」に関しては何となく好きだった。RADWIMPSのメンバーがBUMP OF CHICKENのファンだということを知った。とても親近感が湧いた。
そして何より一番大きかったのは、高3で出会った友達Tくん。彼はBUMP OF CHICKENとRADWIMPSのファンだった。中学、高校と過ごしてきた中で、僕の周りにはBUMPファンが全くいなかった。やっと、学校でBUMPのよさを語り合える友達が出来た。その友達と毎日のようにBUMPの話をして、時々RADWIMPSの話も聞いた。どんどんと仲良くなっていった。カラオケに行くと、TくんはBUMPの曲を何曲か歌ったあとずっとRADを歌った。RADWIMPSを徐々に受け入れ始めていた。


そしてある日、Tくんが持っているRADのアルバムを、全部貸してくれることになった。

ファーストアルバム「RADWIMPS」と、「アルトコロニーの定理」以外の全てのアルバムを貸してもらった。パソコンに取り込みWALKMANに入れ、ざっと聴いてみた。正直、あまりピンとこなかった。所々クセになる曲はあったが、RADWIMPSというアーティスト全体を好きになるには至らなかった。やはりRADを意識的に嫌っていた時代の記憶がまだあった。そこから、またしばらくRADWIMPSから離れた生活が始まった。



高校卒業間近、Tくんが突如僕に行ってきた。「RADWIMPSのライブ行こうよ。」
ちょうどその時の僕は、Mr.Childrenのライブのチケットが当たった直後だった。ミスチルのライブに行くんなら、ついでにRADも見てみようかという、正直言って生半可なノリで首を縦に振った。

そして僕は大学に進み、慌ただしい毎日を送っていた。そして気が付けばライブ当日まで一週間を切っていた。これはまずい。RADの曲何一つ知らない。君の名はフィーバーで散々聴かされた前前前世やスパークルぐらいしか歌詞を知らない。流石に焦った僕は、急いでRADWIMPSの予習を始めた。とりあえずライブで演奏されそうな有名な曲を漁った。おしゃかしゃま、君と羊と青、DADA、ふたりごと、そして最新アルバムの曲。何度もリピートさせた。そして、ライブ当日までには「ほとんど歌詞も題名も知らないけど、とりあえず全ての曲を一度は齧ってて、メロディだけ聴けば何となく分かるだろう」ぐらいの所まで辿り着いた。



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