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わたしがママ振袖を着る理由

ママ振袖だなんて恥ずかしい!って思う人に読んでほしい。わたしも最初は照れたもん。

22歳。

まもなく成人式を迎えて2年が経つ。また振袖に身を包む機会ができた。卒業式だ。

まだまだ先のことかと思っていたが、意外にも半年を切っている。振袖は成人式と同じものだし、袴だけレンタルすればいいかと思っていた。しかし、そううかうかしてはいられない時期まできてしまったので、先日やっとのことでレンタル袴を予約した。

そもそも『振袖は成人式と同じもの』である理由は、母が成人式を迎えた時に購入したという振袖を私も着たいと思い、譲り受けたからである。母も祖母も「あんた本当にそんなんでいいの?」「流行りのものをレンタルしてもいいんだよ。」と古いからって、他を進めてきたりもした。しかし私にはその『そんなん』がよかったのである。


母の振袖を子供が成人式で着ることを『ママ振袖』と言い、ママ振袖のメリットを「きもの やまなか」さんは以下のように挙げている。

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● 新たに着物を買わなくていいので お値打ちに済む。
● お友達の振袖とカブる可能性が ほとんどない。
● 親子3代で 成人式の思い出を共有できる。

など たくさんの良い点がありますが、その中でも大きなメリットとして「成人式以外で何度も着ることができる」という点が挙げられます。

参照;https://yamanaka-kimono.com/renewal/171229/
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母の振袖は、母の実家の押入れに丁寧にしまってあった。独特の、おばあちゃんちの匂いがした。紫の風呂敷を解き、硬い和紙をめくると全く色あせていない美しい振袖がそこにあった。祖母はこのままじゃぁ良くないね、と天日干しをしてくれた。

「この振袖はじいじが買ってくれた良い物なのよ。あなたが来てくれたら私もじいじも嬉しいわ」と祖母は言った。

共働きの両親に代わって、保育園・小学校と私の帰りを家で待っていてくれたのは祖母だ。毎日、おかえりとおやつを用意して待っていてくれた。几帳面で他人想いの祖母が喜んでくれることが私も嬉しい。幼少の頃沢山お世話になった祖母に(もちろん今も大変お世話になっているのだが)、成人式という大人の第一歩の場で、少しでも愛を大きく渡したかった。

こうして文字にしたり、振り返ったりすると平気で書けるものだが、面と向かって感謝や愛を伝えるのはどうしてもこっぱずかしい。「ありがとう」を伝えるにも家族を目の前にすると何だか伝えることが難しい。ママ振袖を着ることは、不器用で思春期引きずりの私の下手くそな愛情表現であったのだ。

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古っぽくなりすぎないように、豪華になりすぎないようにと母が小物を選んでアレンジしてくれた。帯はかなり派手で豪華だったけれど、帯と着物が離れ離れになってしまうのは何だか寂しかったし、何より気に入ったからそのまま使った。

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成人式の打ち合わせ、前撮りの日、先日の袴合わせの日。少し照れくさかったけれど、全部の日に母と祖母と3人で行った。お世辞かもしれないけれど、沢山の人に良いお着物だねって褒めていただいた。

母の着た振袖、祖母の想いがつまった振袖。親子三代で成人式の思い出を共有できることが素直に嬉しかった。


ママ振袖だなんて恥ずかしいって思う人みんなに聞いてほしい。恥ずかしいって思うってことは、家族への愛情表現下手くそでしょ、私と同じでしょって(笑)

ママ振袖は言葉にしなくていい愛情表現。言葉じゃないけれど、めちゃくちゃあったかい思い出ができた。

卒業式も楽しみだ。

ありがたいことにママ振袖があって、丁寧に保管されている環境にいた私だけれど、同じチャンスがある人にはぜひ着てほしいなと思う。今を逃したら、一生出来ない愛の伝え方なのだから。

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