林檎の妖精 #8

列車は、扉を開いたまま静かに止まっている。

(これは、乗れってことか・・・?)

怖い。どう考えてもおかしい・・・けど、あり得ない現象過ぎて不思議と不安は感じなかった。

(乗ってみるか・・・)

恐る恐る列車に乗り込むと、すぐに扉が閉まった。列車の中へと進んでみると、私以外にも何人か乗客がいた。

同い年くらいの男性、若い女性や子供もいる。みんなどこか不安そうだ。

(この人達はどこへ行くのだろう・・・)

乗ってしまったし、覚悟を決めて空いている席に座った。列車は走り続けている。


どのくらい時間が経っただろうか。長かったような、短かかったような・・・。途中、何度か停車したような気もするが、不思議とここは降りる所ではない、そう思って席は立たなかった。

再び停車した、扉の開く音がする。車掌の声が聞こえたが、残念ながら駅名は聞き取れなかった・・・が、どうやら終点のようだ。

周りに座っていた人も、次々に立ち上がって列車を降りていく。慌てて私も列車を降りた。

降りて辺りを見渡すと、妙に明るかった。さっきまでは日没を迎えて辺りは薄暗かったのに、昼間のような明るさだ。列車に乗っている間に、日付が変わってしまったのだろうか・・・。

←前頁 次頁→

Created by Ryohei Osawa

こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。

▼他のクリエイターさんの作品
 奇麗な声。この作品の世界観にピッタリです*^^*

HighTさんのオンラインサロンはこちら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?