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#13 ヨーロッパ研修記 〜古都ゲントの街とDok Brewing〜

 ゲントという街がとても好きになった。

 ブリュッセルからも近く、日帰りで観光する人も多い街だが、中世ヨーロッパの街並みを残すその美しさと、街と人の落ち着きが気に入り、結局3泊の滞在することになった。滞在中は、ゲントをベースにして、マイクロサイダリーであるPomesk(サイダリーに関してはこちら)を訪れたり、多少の疲れもあったゆえ、静かな街並みを楽しんだりと、ひさしぶりに穏やかに過ごすことができた。

 研修の文脈でいえば、今年のBXLにも参加していたDok Brewingというゲントにある数少ないブルワリーがあることを知っていて、そこを訪れたかった。
 ありがたいことに今回の研修に際して、さまざまなアドバイスをしてくださったDIG THE LINEの本間さんに取り計らっていただき、オーナーのDimitriさんとKoenさんが丁寧に案内してくださった。(訪れるまで知らなかったのだが、Dok Brewingのビールはこの秋からDIG THE LINEさんが輸入を開始する。)

 ブルワリーは、古都ゲントの中心部からは少し離れた場所にある。この辺りは古都の街並みというより、新たに再開発が進むエリアで、Dok Brewingが入る建物は元々あった巨大な倉庫か工場と思われる建物をリノベーションしたところにある。なお、この場所にはブルワリー以外にもイタリアンやハンバーガーのレストランも同居していて、僕がいた間も次々と人が訪れていた。

 Dok Brewingは数年前にDimitriさんたちを中心にこのゲントの街でクラフトビールをつくりたい仲間たちが集まり、醸造スクールに通い、ゼロからスタートしたブルワリーだ。定番は13 PilsnerとAmerican Pale Aleの2種だが、タップには約30種のビールがつながっており、スタイルやレシピを次々と変えながら実験的に醸造をつづけている。
 定番以外にも、セゾン、トリペル、ゴーゼ、ポーター、IPAやサワー、そしてノンアルまで醸造しているが、いずれもがクラシックとモダンが高いレベルで融合、バランスしていて、その味わいにかなり驚いた。(またUytezというゲントの昔ながらのレシピを掘り起こして醸造していたりもする。新旧を驚くほどうまくミックスしている。)

 またDok Brewingを訪れる前日には、EDEL ROTという市内で人気のワインレストランを訪れ、Riesling IPAというレストランとのコラボビールを飲んだのだが、ワインのアプローチを試みたりと、新しく、実験的な取り組みやアップデートを繰り返している。
 なお僕がレストランで飲んだビールは去年の仕込みのもの。なんと訪問の3日前にコラボビールの2023年バージョンがカンニングされたばかりで、それも飲ませてもらったが、その鮮度もあってホップとリースリングのフレッシュさを感じられる抜群に美味しいビールだった。

EDEL ROTで飲んだリースリングIPA
缶に詰められたばかりのリースリングIPA

 ブルワリーの雰囲気やラベルだけをみると一見今っぽいブルワリーの一つかと思いきや、全く違う。新しいブルワリーであることは確かだが、ビールの品質の高さ、彼らのビール作りのコンセプト(クラシックをリスペクトしつつ、モダンにアップデートする)、レシピを変えながら実験的なアプローチを繰り返すスタンスにも、とて大きな感銘を受けたし、ブリュッセルでもいくつかの新しいブルワリーを訪れたが、ビールの品質で言うと圧倒的に高い印象を持った。

 ベルギービールというとそのクラシックな味わいを想像する人が少なくないと思うが、Dok Brewingは既存のスタイルをリスペクトしつつ、見事にDok Brewingなりにアップデートした全く新しいベルギーのクラフトブルワリーだと思う。

salo Owner & Director
青山 弘幸
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