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平日

頭に浮かぶのはなにを食べるかである。休日の始まりはほぼこんな目覚めで大抵の場合はスシローを選択するのだがいかんせん一昨日も行ったのでちょっと寿司休みしてやろうカラダにも寿司を与えすぎているからな、とやめた。

花粉症の診断を受けたわけじゃないけどまぁこれは間違いなくそうでしょうという目覚めてすぐに感じるものがある。黄砂がやばいとの情報もあったので抗ヒスタミン薬をパチっとして飲む。たぶん2時間程度で効く。自己免疫は最強の味方であるが絶対に倒せない最強の敵でもある。難儀な。

パン、菓子パン惣菜パン類の得意な店は庶民的な近所のパン屋だ。まぁこれもだいぶ減ってしまったが。ハード系がよいとの御信託ありらしき店で購入するも気づけばガーリックフランス、ベーコンエピ、チーズプールとすべてハードだ。顎と口を思う。

天気がいいから外で食べるつもりで行きがけにブックオフへ寄る。¥100コーナだ。梨木香歩の家守奇譚が何冊も並んでいたので手にとる。しかしいつ行っても辛気臭ぇところだ。気が滅入る。スーツを着た身なりの整っている客がいる。なんとも場違いな感じで目も虚ろだ。あれはきっとサボリーマンだ。それはいい。爪を噛んでいる。自分も何かしらあるだろうし難癖つけたくないんだが、あの爪を噛むときの表情というかなんとも言えない雰囲気を発するのはなんだ。一心不乱にやるよねあれ。猫がやわらかいものを踏み踏みするときと同じような表情してるよ。猫はいいけど人間てめぇはダメだ。つーかそれを人に見せんなや。みっともないのもあるけど怖さを感じてしまう。

川沿いは桜の名所で人出も多く落ち着かないから駅周辺を離れる。そういえばビーサン履きの薄着だが汗ばむくらいの陽気である。いい天気だ。ベンチは日陰もなく直射日光があたるのだけれどこれが苦でもなく背に受ける太陽が心地よい。こんなにいい塩梅の日って一年のうち何日あるのか。そんな日に休みでこうしていられるなんて幸せ者だ。目に空を写すたびカァーッ!!いい天気じぁ!!と言った。心で。

家守奇譚はおもしろい。むかし何かでオススメされて読んだがいまだおもしろい。もやもやした霧を感じる。だがすっきりとしている。作品に没頭すると結界へ踏み入ってしまったような体験をさせられる。草木のいきれと異界の妖気がたちこめる。しかしさわやかだ。ふぁっと紙面から顔あげるとまたあぁいい天気だなぁと思う。何度も何度そうして顔をあげる。向こう岸でスケーターたちのカタン、カタン、という音が聞こえる。橋の下からサックスの練習が聞こえる。見えないけどたぶん男性だろうね。目の前をジェットスキーがゆく。速い。あれってプシャーっと水を出しながら走るからクジラみたいだねって思ったけど全然違うね。ゴウンゴウンと高速道路の地響きが聞こえる。桜の枝が揺れている。

本を読み終えると日差しは残っているもののやっぱまだ寒いわねと独りごちてピンクの桃の看板をめざすのであった。さ、餃子餃子。

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