わるいおとなのつくりかた
潜在意識の泥濘から、顕在意識の世界へと足を踏み出す。
刹那、鼻腔を掠めるのは、いかにも体に悪そうな匂い。
幼い頃に想像した「嫌な大人」のイメージ像そのままに、都合の悪いことをアルコールで消毒しようとする癖はいつからだろうか。
時刻は午前4時。
起きるには早すぎるが、再び意識を手放すことは難しくなってしまった。
酩酊した挙句、半分寝ぼけている頭に浮かんできたのはいつの日かの思い出だ。
忘却の彼方へ追いやったはずのあの日々の虚像が、脳裏に映し出される。
飲んで、忘れたふりをして、寝て、起きたら虚しさだけが残る。
そんな日々をつくったのは、あのときのあなたのせいだった。
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