見出し画像

なぜ消えた?オリックスの株主優待

日本から株主優待がなくなるかもしれません…。

2022年5月11日。

オリックスが株主優待を廃止することを発表しました。

野球でお馴染みのオリックスは、株主優待の人気ランキングNo.1。

・サザエやアワビなどの海鮮
・近江牛をはじめとした国産牛
・さらには、チンアナゴやオオサンショウウオのぬいぐるみ

等々…、幅広いラインナップを展開。
商品が好きに選べる自由さから人気を博していました。

そんなオリックスが優待廃止を発表。

「がっかりすぎて言葉が出ない」

Yahooニュースのコメント欄にはこんなコメントも投稿されています。

オリックスだけではありません。

その少し前の2022年2月14日。

この時には、JTが株主優待の停止を発表。

JT(日本たばこ産業)は、株主優待の人気ランキングNo.3。

たばこで有名なJTは、レトルトカレーやカップラーメンも販売していて、株主優待にも含まれています。

株主優待生活で有名な桐谷さんは、
「年2500円相当の品をカタログから選べるので、私はレトルトのお米やカップラーメンをもらっています。」
とコメント。

2021年には、1200以上もある優待株から特にオススメ2銘柄のうちの1つとして選んでいました。

そんな日本で、人気TOP3のうち2社が株主優待を廃止してしまったのです。

なぜでしょうか?

・株主優待のコストが重くなってきたからでしょうか?
・株主優待がなくても、株を買ってもらえると考えたからでしょうか?
・それとも、株主優待の人気が落ちてきたからでしょうか?

どれも、違います。

実は2社とも‟全く同じ別の理由”で株主優待の廃止を行ったのです。

その理由の1つは、『株主の待遇を平等にするため』

日本で人気の株主優待。

全ての優待株が該当するわけではありませんが、実は株主間の不平等を招いているという批判がありました。

それが、‟株を持てば持つほど、優待の利回りが下がる”というものです。

「株を持っている」

これは簡単に言えば、その会社を応援しているということ。

応援しているということですから、株を持てば持つほど、文字通り優遇されるイメージがありませんか?

しかし、実際はその逆です。

株を持てば持つほど、利回りが下がってしまうことがあるのです。

下のJTの公式サイトの一部をご覧下さい。

これはJTの株主優待の内容です。

株の保有数が増えれば、得られる株主優待の相当額が上がっています。

真っ当な気がします。

しかし、よくよく見てみると…、‟優待の利回りが下がっている”のです。

下のグラフをご覧下さい。

これは、1株あたりの優待相当額、つまり優待の利回りを表しています。

保有株数が増えるほど、1株あたりの優待相当額が下がっていることが分かります。

これは日常生活で言えば、‟同じ商品を買えば買うほどポイント還元率が下がる”ような状態です。

普通ならポイント還元率が上がることはあっても、下がることはないですよね。

これにより、特に大きな単位で株を保有する機関投資家や多くの株を購入して企業を応援したい投資家は、その分、冷たい扱いを受けていました。

それを重く受け止めたオリックスとJTが、不平等を無くすために行ったこと…。

それが、株主優待の廃止だったのです。

個人投資家なら優待株を買うべき?

では、個人の投資家は優待株を少しだけ持っておくとお得なのでしょうか?

確かに、保有株数が少なければ不平等な扱いを受けることはありません。

但し、1つだけ注意点があります。

それは、‟これから株主優待を廃止する企業が続々と増えてくれるかもしれない”ということです。

実際に、先に紹介したオリックスとJTの他に、今年5月を最後にマルハニチロを含む8社が株主優待の廃止を行っています。

これは過去2年間と比べて1.4倍のペースです。

その一部をご紹介すると…、

5月9日:マルハニチロ
5月10日:テクノオーツ
5月11日:カワタ
5月12日:東京特殊電線
5月13日:イントランス

と連日、優待廃止が行われています。

これらの企業は2021年以前に廃止を決めていたので、オリックスやJTが優待廃止行った2022年以降、さらに多くの企業が続けて廃止をするかもしれません。

ですので、もし優待株への投資を検討されている場合は、

優待廃止の予定がないか
・優待廃止のリスクが低いか


この2つをチェックした上で国内株式投資をされると良いかと思います。

尚、あくまで傾向ですが、QUOカードが優待特典になっている銘柄は廃止になる可能性が高いです。

というのも、自社の商品券の場合、使われることで売上に貢献。
それにより間接的に全株主に還元できると見做すことができます。
そのため、‟不平等にはあたらない”という言い分が出来ます。

一方、QUOカードの場合、他社商品の購入に使われた場合、売上貢献はゼロ。
他の株主に還元されるとは言えません。
したがって‟不平等のインパクトが強い”と見做されます。

そのため、特にQUOカードで株主優待を行っている企業には注意をしておくと良いかもしれません。

良い投資を!

P.S.
廃止のリスクが低い優待株を探すのは骨が折れそう…。

もしそう思われたら、株主優待の代わりに株価上昇であなたに還元してくれることが期待できる成長株への投資を検討してみては如何でしょうか?

もちろん投資ですので、成長株にも株価下落のリスクはあります。

→株価上昇が期待できる成長株をチェック(有料記事)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?