型ハズレは、型を知る者にこそ。

綺麗でいたいと思う。
綺麗な仕事をしたいとも思う。
でも正直、そんな自分を疑うときもある。
心から愛おしいと感じるのは、ちょっと変てこで、いびつなもの。

それは例えてみたら、
幼な子が組み立てるレゴブロックとか。
ユニゾンの中で際立つ、誰かのビブラート。
フリーハンドでざっくりまとめられたノート。
こんな予定調和からはみ出た代物たちのライブ感が好きで好きで、たまらない。

今、シンデレラフィットという概念がSNS上一部界隈で人気だ。そうだよね、ピタッとハマればそれは気持ちいい。
一方で、シンデレラ以外その他多勢の女性たちは幸せになれないのだろうかと思いを馳せる。
次々と履かせていく使命を担った家来は、ハマらなかった女性になんと声をかけたんだろう。
「残念でした」。
たかが靴一足ハマらなかったくらいで。
そもそもあの靴はガラス製で危険がいっぱいだ。

唐突にふりかかる不当なできごと(暴力ともいえる)に対しては、どう振る舞えばいいんだろう。
一度ゆがんだものは、もう決して前には戻れない。
何かを経験すれば、それを経験する前の自分ではない。
でも人ってみんな逞しくて、結局のところ、そんなゆがみが重なって自ずと整っていくのだけど。
だからこそ、ゆがんでいく自分もその人も受け容れていけたらいい。

と、久しぶりに作ったドロップクッキーを眺めながら思った。
ドロップクッキーのおもしろいところは、
同じ生地から作られるのに、それぞれ違ういびつさをもって焼き上がってくること。
娘と一緒に、一から作って仕上がりを見届けた。
猫みたいだロケットみたいだ、なんだこれ変なかたちって、小さな娘はよく笑った。
猫もロケットも変なかたちも、ぜんぶ美味しいって、それはそれは喜んでいた。

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※ドロップクッキー とは。
やわらかいタネを、型を取らずにそのまんま焼いたもの。どんな形になるかは、焼き上げてからのお楽しみ🍪

それでも型は、持っている🍪🦎☕️🦩…

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