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春待ちMarch展

1年前の今日に思いを馳せる。

2019年3月2日、この日は自分にとって初となる写真展がスタートした日。タイトルは「春待ちMarch展」。開催時期が3月ということもあり、岩手の長い冬を越え、春を待ち侘びる思いや四季が移ろい行く美しさへの思いを込めてこのタイトルにした。よく一緒に写真を撮りに行くふたりと手掛けた写真展。以前、所属していたカメラグループの写真展に参加させてもらったことはあったけれど、自分がイメージするものを一から作りあげる写真展は初めてだった。展示期間は約1か月。今でもこの写真展のことを何度も思い出すくらい、自分にとっては宝物のような時間だった。1年という月日が経ってしまったけれど、写真展に対する思いを残しておきたいと思い、今更ながらこの記事を書いています。

会場は岩手県盛岡市鉈屋町にある、もりおか町家物語館の一角にあるカフェDOMAという喫茶店。ここでは定期的に美術作品などの展示が行われていて、写真の展示は初めてとのことだった。町家の風情を残す建物で、どこか懐かしさが残るような落ち着いた雰囲気が漂う喫茶店だった。

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「春待ちMarch展」というタイトルだけあって、春を待ち望む思いをメインに、四季を感じさせる写真がテーマだった。季節ごとにそれぞれがこれまで撮り溜めた写真を集めて展示した。

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他には、個人展示スペースを設け、それぞれが思い思いに展示をした。ここに関しては打ち合わせは特になかったけれど、内容が被ることもなく、互いの個性が出ていてすごく面白かった。それぞれの良さが表れていたと思う。

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わたしは、フィルム写真のみに絞り、展示をした。フィルムカメラを始めて約2年が経ち、ひとつの区切りとして写真展に臨み、個人展示のテーマは「ありふれた日常の何気ない瞬間を宝物に」とし、決して特別ではない、でも自分にとって大切な瞬間を切り取った写真を選んだ。自分の思いを言葉にし、それと共に自分の世界を表現した。

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他には、ポストカードを作成して販売した。誰も買ってくれなかったらどうしようと不安に思ったりもしたけれど、心優しい方が購入してくれた。手に渡ったポストカードを見て、写真展のことを少しでも思い出してもらう瞬間があればそれ以上嬉しいことはないなと思う。

そして、誰でも書き込めるノートをおいた。感想だったり、イラストだったり。一方的に見てもらって、こちらの思いを伝えるだけではなくて、感じたことや思いを残してもらって、何か交流できたらと思った。思っていた以上に感想を書いてくれた人がいて感動したのを覚えています。ノートを通して、もらった言葉はすべて宝物です。

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準備に費やした時間。大変な作業だったけど、それすらも楽しかった。

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遊びにきてくれた人々。カフェDOMAで過ごした時間。

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写真展がもたらしてくれた、人との出会い。写真展はもう過去になってしまったけど、今のわたしを支えるとても大切なものたち。

会場を見つけてくれたのも、写真展のメンバーとしてわたしを誘ってくれたのもMisaちゃんとTatsuyaさんだった。ふたりとは撮りたい写真や流れる空気が似ていて、よく一緒に写真を撮っているメンバーだった。おかげで、わたしも不安にならず写真展に参加できた。

今だから言えることかもしれないけど、多分ひとりなら写真展をやろうなんて思わなかった。自分が撮る写真に自信がなかったし、自分が写真展を開いて誰かに見てもらいたいと思うなんて烏滸がましいとも思っていた。誰がわたしの写真を見に来てくれるの、と。実際写真展をやってみて、得たものは語り尽くせないくらいたくさんあった。そんな機会を与えてくれて、素晴らしい経験をさせてくれたのは紛れもなくふたりで、今でも感謝している。

写真展をやっていた時期、ちょうどわたしはデジタルカメラで写真を撮り始めて3年、フィルムカメラを始めて2年だった。わたしにとって、この写真展はひとつの区切りでもあった。写真展の準備をしながら、自分にとって写真を撮る意味は何か、どんな写真を撮りたいか、改めて気付くことができた。何より、自分の写真を少し好きになれたことが大きい。SNSの世界には、本当に素敵な写真で溢れている。それらを見ていると、自分が撮る写真は誰にでも撮れるありふれた写真だなあとよく思う。でも、写真展をやってからは「ありふれた写真でもいい、自分にとって特別ならそれでいい」と思えるようになった。それに気付けて良かった。これからも、誰かのためではなく、自分のために写真を撮り続けていきたいなあ。

そして、今はまだ次の写真展については全く考えていない。いつか写真展をやるときは、あの頃よりもっとずっと素敵な写真を撮って、自信を持って自分の写真を好きだと言えたらいいなと思う。



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