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小売業など、旨味の少ない事業を美味しい事業にする方法

2010年にホリエモンこと堀江貴文さんが語った「起業してほぼ確実に成功する方法」。

”私は起業するに当たって、自分の好きな商売ではなく確実に上手くいく商売から始めたほうがいいと言っている。”と述べた堀江さんが語った、うまくいく商売とは

  • 在庫を持たない

  • 粗利が高い

  • 初期投資が低い

  • 定期的に一定額の収入が入ってくる

SNS上で何度も話題になったことがあり、この4つの条件については既にご存じの方が多いことでしょう。実際、この条件に従った事業というのは美味しいビジネスである確率が高いです。

じゃあ、ホリエモン条件を満たさない事業はダメなのか?

では、ホリエモン条件を満たさない事業はダメなのか?

当然、そんなことはありません。持たざる者が始めるならホリエモン条件を満たすような商売を始めた方が良いでしょうが、すでに地位を確立していたりする場合はこの条件を満たさずとも利益を出すことができます。

では、"持たざる者が"ホリエモン条件を満たさない事業を始めたら詰みなのか?

これまた、そんなことはありません。ホリエモン条件を満たさない代表例、小売業を始める場合でも打破する方法は確実に存在します。

今回の記事は「従来のビジネスモデル的には美味しくない事業の状況を打破する方法」を解説していきたいと思います。

読者からのリクエスト

今回の記事は、スモールビジネス大全公式LINEに寄せられたリクエストをもとに執筆を決めました。

最近入会しました。大学院生です。
~~
(中略)
~~
生意気ですが、記事リクエストです。
家業が酒屋で、将来的には継ぐことを考えています。しかし、小売は在庫を大量に抱えたり、利益率も低かったりとなかなか厳しいのも現状です。
これを打開できるような記事の執筆お待ちしています!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

購読者限定LINEでのリクエスト

美味しくない事業について

「従来のビジネスモデル的には美味しくない事業の状況を打破する方法」を解説する前に、美味しくない事業の条件を整理しましょう。

ホリエモン条件(美味しい事業)が次の4条件を満たすもの

  • 在庫を持たない

  • 利益率が高い

  • 初期投資が低い(資本ゼロあるいは小資本で始められる)

  • 定期的に一定額の収入が入ってくる

つまり、美味しくない事業は、

  • 在庫を持つ

  • 利益率が低い

  • 初期投資が高額

  • 定期的な収入がない

この4条件を満たすもので良さそうです。こうして書いてみると確かに「うわぁ、厳しいなぁ」と思っちゃいますもん。まごうことなき、美味しくない事業でしょう。

記事リクエストをくれた読者の方は家業が「酒屋の小売業」とのことでしたね。

”小売は在庫を大量に抱えたり、利益率も低かったりとなかなか厳しいのも現状”と言っているので、おそらく美味しくない事業だと思っているのでしょう。実際、直感的にも美味しくなさそうです。

なので、今回のnoteは酒屋の小売業を例に「従来のビジネスモデル的には美味しくない事業の状況を打破する方法」を考えていきましょう。

酒屋の小売業は本当に美味しくない事業なのか?

在庫は必要ですし、店舗も必要で初期投資もそこそこ要りそうですね。来店するお客さんに依存していると、定期的な収入もなさそうです。

あとは"粗利率が低い"を満たせば美味しくない事業間違いなし。

うん。やっぱり美味しくなさそう。

ただ、いきなり”酒屋の小売業”の困難を打破する方法について解説しても皆さんの知的好奇心は満たされませんよね?

なので、せっかくですから酒屋の小売業についてもう少しだけ詳しくなっておきましょう。

株式会社カクヤスグループの決算資料から分かる「酒類事業」

詳しくなろうと思ったら、本を読む、業界紙を読む、現場の人に話を聞く、などなどありますが、一番手っ取り早いのが上場企業が出しているIR資料を読むことですね。

株式会社カクヤスグループの2023年3月期決算補足説明資料を参考にしながら「酒類事業」についてさらっと勉強していきましょう。

どのような売上区分があるか?

まず、どのような売上区分があるか?

株式会社カクヤスグループの2023年3月期決算補足説明資料より引用

ざっくり、

  • toB

    • 飲食店向け

    • 卸販売

  • toC(家庭用)

    • 宅配

    • 店頭

何一つとして想像を超えませんね。「そうだろうなぁ」の極みです。

利益構造(PL)はどうなっている?

株式会社カクヤスグループの2023年3月期決算補足説明資料より筆者作成

この資料を見ると売上総利益(粗利率)が2022年3月期で21.31%、2023年3月期で21.79%。

販管費が占める割合が2022年3月期で25.20%、2023年3月期で21.10%。

営業利益率に至っては2022年3月期でマイナス、2023年3月期で0.70%(!!)。

うん、確実に美味しいビジネスではなさそうですよね。

toB, toCの売上構成比は?

株式会社カクヤスグループの2023年3月期決算補足説明資料より引用

toB(飲食店向け)が約50%~67%、toC(家庭向け)が約30~45%。カクヤスと言えば配達が強いイメージですし、普通の酒屋であればもう少し宅配の割合が下がる気がしますね。

コスト構造は?

株式会社カクヤスグループの2023年3月期決算補足説明資料より引用

販管費に含まれるものや、増加したもの、減少したものの説明がありますが、超イメージ通りで「え!こんなコストがあるの?」みたいなものはありませんでした(もっと詳細で見るとあるのかもしれませんが)。

超イメージ通りなのが「酒類事業」

カクヤスと同じく上場している「株式会社やまや」のIR資料も調べました。

株式会社やまや 2023年3月期 決算説明会資料より引用

上記画像の「酒販事業」のセグメントを見たら分かるようにカクヤスよりも販管費が抑えられており、結果として営業利益率も高い水準(といっても3%台)となっています。

しかし、「カクヤス」と「やまや」はどちらもイメージ通りの事業構造をしていますね。

ここからは、スモビジ規模の酒の小売店だからこそできる「従来のビジネスモデル的には美味しくない事業の状況を打破する方法」を考えていきます。

売上高1,000億円を超える大企業ですら、型にはまった事業構造をして居るのにスモビジ規模の酒の小売店が”美味しい事業”になることができるのか?

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