見出し画像

今年初めてバブアーを着た話

秋は短い。

私はバブアーは秋に着るものだと思っている。

私の持っているバブアーはあずき色(ラスティック)のビューフォートで、97年製の古着だ。昨今の古着ブームが盛り上がる少し前に、高円寺の古着屋でコンディションの良いものを一万円程度で購入した。

最近セレクトショップなどで売っているモノトーンのノンオイルのカッコいいバブアーとは違い、バリバリのオイルドクロス。

単体で見ると、お世辞にもカッコいいとは言えないし、野暮ったい印象さえある。

ライナーを付けると真冬でも着ることはできるが、着膨れた印象になるので、付けたくない。

色目の印象やライナーを付けないこだわりなどから、必然的に着る時期は限られる。

夏が終わって上着を着るようになり、ジャケットのみでは寒いなと感じる時期に始まり、ジャケットの上にバブアーを羽織るだけでは寒いなと感じる時期まで。

最近は、真夏日が9月の後半まで観測され、少し涼しくなったな、と思ったらあっという間に真冬の寒さがやってくる。

そうした気候の日本に、上記のような都合の良い日が年に何日あるだろうか。

ぼんやりしているとバブアーを着る時期は終わってしまう。

また、バブアーはオイル臭さからクローゼットで孤立しがちであり、置き場を忘れて発見されないまま着用時期を逃す年さえある。実際去年は発見が遅れてしまい、一度も着ていない。

だから、今年こそは忘れずにバブアーを着よう、と思い立ち、9月の終わりにクローゼットの奥から引っ張り出しておいた。

そして昨日、まだ少し暑いかな、と思いつつ、薄手のニットの上に羽織ってみた。

オイルが劣化して、ほんのりクレヨンのような独特な臭いがする。

特にカッコいいわけではないが、着ていてなんだか気分が良くなる。自然とテンションが上がる。

面倒が多い服だが、やはり私はこのバブアーが好きで、今後も手放さないだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?