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あきらめない山登り ー武奈ヶ岳ー

小さいころから、やり始めたらすぐにはやめるな。やり続けなさいと、亡き父はいっていた。
私「まぁ、そんなものなのかな」
と理由もよく分からず習い事は続けていた。水泳、少林寺拳法、ボーイスカウト。その結果水泳はスポーツのなかで一番嫌いな種目となり、ケンカは体の大きさに比例してたいして強くならず、山は過酷な場所として嫌いになった。

結婚してからカメラを始めたこともあって嫌いな山に登り始めたが、そんな嫌いな山でも雪山は気に入っている。その非日常的な、このさい乱暴に言うならば白と黒のコントラストはトラウトとなった山を持ってしてもあまりある美しさだと思う。

もう季節的に終わりな雪山目指して武奈ヶ岳登山の登り初めから雪は積もっていた。でも季節は二月下旬、麓の雪はジュクっと解け始めている。去年登ったさいはスイスイと進んだ道もなんだか今年は足取りが重い。それでも登りの半分くらいからフワフワと淡雪がまっている。風はなくひんやりとした空気は気持ちいい。
「目をとじて周りの音に耳を澄ますと気持ちいいな」
と感じていたら、後ろの嫁さんが御殿山手前(目的地手前1km)で、
「武奈ヶ岳はもういいかな」
とつぶやいた。
オッケー!戸惑うそぶりは見せず、そういう時の受け答えは心得ている。無理強いをするんじゃなく、答えは「イエス」だ。とくに登山において気の向かないことはしなくていい。
そういうわけで途中の御殿山まで登って引き返した。

去年の冬山竜ヶ岳登山では猛吹雪のため途中撤退したが、こういう撤退の仕方もあるのだ。あきらめずに目的地までつづけることが正解ではない。
選択する理由は、結果が同じであっても様々なのだ。

それでも帰りに立ち寄る銭湯の気持ちよさは変わらない。

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