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#株式市場乱高下(8月10日号外)

今回の株価乱高下
エックスにもポストしましたがここで詳しく述べたいと思います。

まず背景整理


日銀の超長期極低金利策により円キャリートレード(安い円を利用して金融商品の利ザヤを稼ぐトレード手法)が数十兆円規模にまで拡大
②円キャリーによる円安が進行(円を売って他通貨を買う)
③円キャリーによる資金が米国金融市場に流入
④円安により他通貨換算ベースでの株式価格が割安になり海外の資金が東京市場に流入
⑤新NISA導入により日本の投資参加者のすそ野が拡大
⑥市場参加者の信用取引割合が意外に高い?
⑦米国インフレ抑制高金利策長期化による米国経済の停滞、減退の懸念

次に時系列整理


7月31日
日銀政策金利0.25%へ変更
ドル円は152~150円でやや円高に移行
東京株式市場は約600円の上昇
米国ADP雇用統計、4-6月雇用コスト指数
ともに悪化の発表
米国株式は9月利下げ観測が強まり大幅上昇(1日午前)
8月1日
ドル円は148円で円高が進行
東京市場は1200円安
米国ISM製造業指数やや悪化の発表
景気減速懸念で米国株式は下げ(2日午前)
8月2日
ドル円は149円でやや円安に移行
東京市場は2000円安
米国失業率は予想以上の悪化、他統計も悪化の発表
景気減速懸念で米国株式は大幅下落(3日午前)
8月5日
ドル円は146円から141円で円高へ急上昇
東京市場は4500円安の大幅下落
米国IMS非製造業景況指数はやや好転で発表
景気減速懸念後退で米国株式は上昇(6日午前)
8月6日
ドル円は145円で円安に移行
東京市場は3200円高の大幅上昇
 

考察


上記のように日銀の金利政策は株式市場にはほぼ影響はなく(数字が小さいから当たり前)、米国の景気後退の有無、金利変化のタイミングが主要因になっています。
日銀政策金利0.25%発表直後は逆に円安にふれたほど的外れ)
また信用取引割合が意外に高く、急速な下落で追証、ロスカットが発生、新NISA参入組の狼狽売りもあったと推測します。

今後の見通し


現在のドル円為替相場は引き続き円安ドル高が異常値※で円キャリートレードが巻き戻したとはいえ依然機能していると推測します。また東京株式市場参加者の7割が海外資金ということなので為替レートの変化に敏感です。
つまり、米国景気後退の有無、金利変化の時期などの受け取られ方に、不測の変化があれば再び株式が乱高下する可能性が高い と思っています。
 
※円安ドル高の異常値
為替レート
購買力平価(PPP)であれば1ドル110円前後
実質実効為替レートベースであれば120~130円程度
日米金利差連動ベースのトレンドでは現状130円~140円程度と考えており、現在の140円台後半値は異常値で円キャリートレードの影響だと思います。
ちなみに今の円安を、実質実効為替レート変化要因として経常収支の悪化、デジタル赤字と言う識者がいますが、デジタル赤字は年数兆円、インバウンド黒字は今年これを埋め合わせるぐらいの実績が予想できますので根拠になりません。またNISA資金の海外流出がありますが、これはリターン目的の投資でありいずれ国内に還流します。
そもそも円安支持者はなにを根拠に「良い円安」と言っているのかわかりません。
国内産業はすでに空洞化がすすみ、少子化高齢化で働き手も不足しています。円安で海外から人を雇うことも無理です。どこでどうやって生産するのでしょうか。「輸出型産業が儲かるから」と言っているようですが、本社会計機能が国内にある企業の、会計上の数字が円換算ベースで大きくなるだけで、当該企業の在外事業所での財貨は日本国内に回帰せず、現地通貨貯留になっているようです。(日銀統計資料)
賃金引上げも春闘満額回答を誇示する企業がありますが、それでもなお内部留保が増大しているようなので分配率が適切なのか、労働組合もがんばっていただきたいです。
また生産拠点の国内回帰は現 在外事業所の撤退となり、輸出先国、生産拠点国との調整が必要でおいそれとはできないはずですし、この先円高にならない保証もありませんので実現性は低いと思います。

結局、少子化高齢化の老経済大国は豊富なストックを活用して投資収入を得、海外からの労働力確保のため自国通貨の購買力を強くすることが最適解だと思っています(強い円)。

その他


中央銀行は通貨の番人のはず。
主要通貨である自国通貨の円がひと月で10数%変動するのは機能不全と思われても仕方がないと感じます。
巨額円キャリー取引を招いた前総裁の責任は重いと思います。
仮に政府からの圧力があったのであれば、日銀の独立性について再度認識していただきたいし、政権与党は交代させる必要があります

※以下追記(8/11)
#8編の 「投資の見立て」記述のとおりの展開になりましたので
待機していた円資金の一部で
・医薬品系高配当銘柄
・通信系高配当銘柄
それぞれを5、6日の安値で拾うことができました。(6日は多分追証売り。ラッキーでした)
ドル円も一時142円でしたので米国長期債ETFを少しまとめて買いました。


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