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映画日誌’20-13:黒い司法 0%からの奇跡

trailer:

introduction:

冤罪の死刑囚たちのために奮闘する弁護士ブライアン・スティーブンソンが、2014年に発表したノンフィクション『黒い司法 死刑大国アメリカの冤罪と闘う』を原作にした人間ドラマ。『ショート・ターム』などのデスティン・ダニエル・クレットンが監督を務めた。『クリード』シリーズなどのマイケル・B・ジョーダンがブライアンを演じるほか、『Ray/レイ』『ジャンゴ 繋がれざる者』などのオスカー俳優ジェイミー・フォックス、『ショート・ターム』『ルーム』などのブリー・ラーソンらが出演している。(2019年 アメリカ)

story:

黒人への差別が根強い1980年代のアメリカ・アラバマ州。ハーバード大学のロースクールを卒業し、弁護士資格を取得したブライアン・スティーブンソンは、いくつもの好待遇のオファーを退け、同州で受刑者の人権擁護活動に励むエバ・アンスリーの協力を得て小さな事務所を設立する。冤罪で死刑判決を受けた黒人の被告人ウォルターらの無罪を勝ち取るべく立ち上がったブライアンだったが、仕組まれた証言、白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の差別と不正が彼の前に立ちはだかり...

review:

デスティン・ダニエル・クレットン監督が撮った『ショート・ターム』も本当に素晴らしい作品だったので、本作も期待し過ぎるほど期待して観たが、やはり素晴らしかった。とにかく端正で無駄がない。構図やカットのひとつひとつが美しく象徴的。過剰にドラマチックに描くことをせず、心の揺れや感情のひだを緻密に描き、それは観る者の胸の奥深くに語りかける。脚本も佳いし、マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックスら役者も素晴らしい。どうでもいいけどジェイミー・フォックスが51歳になってて驚いた。あと、トム・クルーズの元嫁と別れたらしいよ。知らんけど。映画としてクオリティが高いだけでなく、貧困者や黒人に対する偏見に立ち向かうブライアン・スティーブンソンの姿に心を打たれる。貧しい黒人集落で生まれ、身を以て人種差別を経験したブライアンは、ハーバードのロースクール時代に司法修習生として死刑囚の支援をしたことがきっかけで「イコール・ジャスティス・イニシアチブ(EJI)」を立ち上げる。周囲からの反対や妨害、自らも謂れなき差別を受けながら、不当な扱いを受ける黒人死刑囚のために奮闘するブライアンの絶望と希望、そして信念が、デスティン・ダニエル・クレットン監督の確かな手腕によって、一層際立つものとなっている。トートロジー。出てくる白人が軒並みクソでちょっと極端な気もしたが(少しだけ救いがあるものの)、もしかしなくてもこれが現実なのだろうし、1990年頃の話だと思うと寒気がする。黒人の冤罪事件は無くならないし、白人警察官は丸腰の黒人を射殺する。なぜ黒人が「俺たちは生来有罪なんだ」と嘆かなくてはいけないのか。やはり、マーティン・ルーサー・キングが暗殺された1968年から何にも変わっていないのだ。実に見応えのある作品であった。てか、こんな良作、もっと話題になってもよくない!!!???って私は思うのだが、日本での上映館が少なくて悲しい・・・。

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