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映画日誌’21-03:天空の結婚式

trailer:

introduction:

イタリア有数の観光地チヴィタ・ディ・バニョレージョ(天空の村)を舞台に、ゲイカップルの結婚式をめぐる騒動を描いたコメディ。ニューヨークのオフ・ブロードウェイで上演されたヒット舞台「My Big Gay Italian Wedding」を、イタリアのアレッサンドロ・ジェノヴェージ監督が映画化した。主演はNetflix作品『リッチョーネの日差しの下で』などのクリスティアーノ・カッカモ、『TAXi ダイヤモンド・ミッション』などのサルヴァトーレ・エスポジト。イタリアで絶大な人気を集める実在のウェディング・プランナー、エンツォ・ミッチョが本人役で出演している。(2018年 イタリア)

story:

ベルリンに暮らす役者のアントニオは、恋人で役者仲間のパオロにプロポーズし、2人は結婚を決意する。しかし問題は互いの両親に結婚の承諾を得ること。すでにカミングアウトしているパオロは母親と疎遠になっており、一方のアントニオは両親に何も話せていなかった。アントニオはカミングアウトと同時に結婚の意志を両親に伝えるため、イタリアの観光地で村長を務める父と母のもとへパオロを連れて行くが...

review:

この映画の見どころ、アントニオがイケメン。「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」の絶景。以上。って言いたいところだが、観るんじゃなかった、とまでは思っていないので、少々良いところもあったはずだろう。もう少し掘り下げてみようかな? 

2016年、イタリアの下院議会で同性カップルの結婚に準ずる権利を認める「シビル・ユニオン」法が可決されたことを受けて、ニューヨークのオフ・ブロードウェイでロングラン上演された大ヒット舞台「My Big Gay Italian Wedding」を映画化したものだ。冒頭、笑顔が爽やかなイケメン(アントニオ)が愛する人との出会いからこれまでを回想し、プロポーズするまでのシークエンスが心地好い。指輪を渡された相手が熊のぬいぐるみ系男子なのもほっこりする。

この作品の舞台となっているのは、崖の上にそびえる「天空の村」だ。イタリア、ラツィオ州に位置する分離集落「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」は、『天空の城ラピュタ』のモデルともいわれている。その歴史はローマ帝国よりも古く、2500年以上前にイタリア中部の先住民エトルリア人によってつくられた都市であるが、雨風や自然災害による台地辺縁部の侵食、崩落によって風化が進んでおり、「死にゆく町」(il paese che muore)とも言われているそうだ。300メートルほどの長さの狭く急な橋を渡る以外に集落へ行く方法がないものの、イタリアの「最も美しい村」にも選出された観光名所でもある。その絶景を観光気分で拝めるのはお得だ。

アントニオの父はこの村の村長を努めている。村を立て直すために観光客も移民も受け入れようと議会で訴えるリベラル派だ。でも、息子がゲイである事実は受け入れられない。一方、母アンナは息子たちを受け入れ、チヴィタ・ディ・バニョレージョでの盛大な結婚式を画策する。そして彼らは結婚式を迎えるにあたり、熊のぬいぐるみ系男子パオロの母を説得しに行ったり、かと思えば、アントニオの元カノが絡んできたり。

そのドタバタ劇を、女装趣味で情緒不安定なドナートをはじめ変人だらけの登場人物たちが彩る・・・というものだが、ざ、雑〜!!!脚本や構成が雑だし、人間関係の描き方も雑だし、特に終盤のプロットはひどいものがある。もとになった舞台を凝縮したのか希釈したのか分からないけど、もうちょっとどうにかならなかったものか。と思うものの、要するにB級コメディなのである。あまり深く考えてはいけない。たぶん。

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