見出し画像

映画日誌’20-22:チア・アップ!

trailer:

introduction:

のちにエマ・ストーン主演で映画化されたドキュメンタリー映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』のザラ・ヘイズ監督が、平均年齢72歳のチアリーディング・チームの奮闘を描いたハートフルコメディ。主演は『ゴッドファーザー』シリーズ、『アニー・ホール』などで知られ、ファッション・アイコンとしても世界中から支持されるダイアン・キートン。『世界にひとつのプレイブック』などのジャッキー・ウィーバー、『マイ・インターン』などのセリア・ウェストン、『ジャッキー・ブラウン』などのパム・グリア、『セッションズ』などのリー・パールマンなど、ベテラン女優らが共演。(2019年 アメリカ)

story:

余生をのんびり過ごすため、シニアタウンに引っ越してきたマーサ。お節介焼きの隣人シェリルに「昔、チアリーダーになりたかったの」とこぼしたところ、「夢を叶えるのは今からでも遅くない」と焚き付けられ、チアリーディングクラブを結成することに。しかしオーディションに集まったのは、チア未経験者どころか、腕が上がらない、膝が痛いと身体機能が衰えた平均年齢72歳の8人だった。周囲に嘲笑されながらも、お互いを励まし合いながら特訓に励み、チアリーディング大会に出場を決めるが…。

review:

近頃量産されていて、やや食傷気味のシニア向けハートフル・コメディだ。往年の名優が出ていると、つい観に行ってしまうが、そろそろお腹いっぱいだ。本作もダイアン・キートンが出ていなかったら観なかったが、心がほっこりしたものを求めていたのだろう、つい劇場に行ってしまった。だって、きっとかわいい。ダイアン・キートンは相変わらず、お洒落で素敵。どんなに歳を重ねても、そのシワもグレイヘアも素敵。ジャッキー・ウィーバーもキュートでかわいいし、おばあちゃんたちががんばってるだけで、どこまでもかわいい。かわいいは正義。観ている間は、楽しく観た。

しかし、いつかどこかで見たようなエピソードをつなぎ合わせ、使い古されたコメディのフォーマットをなぞっていくような映画である。当然、想像を越えるような出来事は起こらない。お年寄りが青春を取り戻す紋切り型のストーリーで、どうにもこうにも、高齢女性たちの人間性に対する敬意が感じられない。登場人物が軒並み、ステレオタイプなのだ。裏を返せば、どこまでも安心して観ていられる、限りなく心臓にやさしい映画なのである。評価されるべき点はそこと、スタント無しでチアをこなした大女優たちの奮闘だろう。

日本にも「ジャパン・ポンポン」っていうおばあちゃんたちのチアリーディングチームがあってだな、創設者は最高齢85歳。ザラ・ヘイズ監督は、人生の後半になってからチアリーディングのチームを結成した女性たちの写真に着想を得た、とのことだが、検索しても元ネタが分からなかった。チアリーディングの本場アメリカには当然、グランマたちのチームはあるのだろうな。人生100年っていうし、いつ死ぬか分からないし、他人にどう見られているかなんて気にせずに、自分が楽しいと思うことを楽しんで生きていこうぜ!という実に安直なメッセージではあるが、真理でもある。

最後、日本のカルト映画ファンが喜びそうなシーンがあった。夜空に向かって、おかーーーさーーーーーんって言いたくなるやつ。不謹慎を承知で言うが、個人的にはそこが一番ツボだった・・・。

画像1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?