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短編小説

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読み物。君と僕の日々の物語。 どこからでもいけますが、古い方から順番がおすすめです。
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#青春

『ストレス』

「鉛筆置いてー。答案集めてー。」 チャイムと同時に、 安堵と不安のため息と 筆記用具の転がる音が広がる。 中間2日目、残り1教科。 ピリピリとした教室に、 疲れが見え始めた10分休み。 「あー!あそこ"Be careful"だ!  絶対間違えた!」 いつも明るいあいつが頭を抱えて嘆くと、 周りの席で何人かが笑い声をあげていた。 「テストもうやだー!ストレスフル!  ふるふるふるふる ストレスフル!」 「お前どうせ、ストレスフルも  書けないだろー。」 「うるせー!」

『遠くて近い旧校舎の話』

朝練が終わり、先輩達が引き上げていくのを見送ってから、ようやく私達はそれぞれの教室へ向かうことができる。 "しきたり"とは、実に不可解且つ不便なものだと思う。 これを"伝統"とは呼びたくないなと、心の中でへの字口をしながら、 「あと10分だ!急ごっ!」 「あー、朝自習配るの遅れるー怒られるー」 「まだ間に合うよー、そっちのクラス近いじゃん!」 「ちょっと!シューズの袋、うちのカバンに  引っかかってる!と、取ってー!」 それぞれの事情がこぼれ落ちるのを耳にしつつ、体育館