戦いのなんとなく感覚④

第4弾は玉のポテンシャルについて語っていきたいと思う。

おそらく将棋を指したことはおろか、対局の様子を見たことすらないという人でさえ知ってるであろう日本人の常識。それは「将棋とは自分の玉を取られたら負けのゲームである」ということを。

故に将棋の歴史はいかに玉を守る囲いを作るかで発展してきた側面がある。矢倉や美濃よりも堅い穴熊が採用されるようになり、居飛車穴熊が振り飛車側の角に直通しているのを避けるためトーチカ(ミレニアム囲い)を開発したりしてきた。

つまり「玉」というものは大切な駒であり、丁重に扱ってあげないといけないということが世間の常識である。

しかし私の将棋を知っている人は感じるだろうが、私の使う玉は非常に稼働率が高い。なんなら一番働いている駒かもしれない。

なぜ大切であるはずの駒を酷使するのかと言うと、初期状態において玉は最も強い駒だからである。通常強いとされる飛車では斜め方向からの攻めには無力で、最も隙の少ない金でさえ斜め後方は無防備である。その点玉は全方向に対して隙のない、唯一の駒なのである。

銀はまっすぐ、金は斜めに動かすとすぐには元のマスに戻れないが、玉であればどの方向に動かしても次の手番で元に戻せる。そのためいろんな駒で取れる「焦点の歩」などは玉で取るのが意外とありだったりするのだ。

いかがだっただろうか?これを機に玉の評価を改めて頂けると幸いである。

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