見出し画像

続編:中学受験体験記

いつの続編だ。
3年前の続編です。前編の姉は高2になりました。
時々サボりながらも楽しく学校生活を送ってます。何よりです。
小さかった双子は現在小6。
今年中学受験を終えました。×2です。

子どもたちの中学受験を終えたことを自分のなかでかみ砕くには時間がかかっています。お姉ちゃんの時もそうでした。
でもいったん言葉にしないと消化しきれないようなので、思いゆくままに綴っていきます。

********************

何かの記事で見ましたが、都内の中学受験にかかるお金の平均は413万円らしいです。
重ね重ね申し上げますが、我が家は双子です。
怖いのでリアルの数字は計算しません。
どん引きする金額でると思います。

大金かけて塾に通い続けたのに、受験当日に発熱したり、ケガしたり。大きなアクシデントなく席についても緊張して普段はしないミスをする。
準備してきた力が出せないこともよく聞く中受界隈。
同じ偏差値帯の子どもが受けるので、同じ生徒で2回試験をすると半分入れ替わってしまうと言われる世界です。

大前提として中受をしようがしまいが、4月にはみんな等しく中学1年生になる。受験しなかった子も、リタイアした子も、合格した子も、志望校に届かなかった子も。みんな中学1年生です。

私は中受は親のエゴだと思っています。誰しも公立中学校へ進学する権利があるのに+αを求める時点でエゴだし、「子どもが受験を希望している」としても小学生の発言が親に影響されないわけはなく。ゆめゆめ私たちのエゴだ忘れることなかれと自分に言い聞かせていました。

中学受験の目標は家庭によってさまざまですが、付属校をNGとした我が家が望んだのは「学びの解像度を上げてほしい」です。
人生はらせんのようなもので過去に学んだことが後になって「こういうことだったのか」と繋がることがあると思っていて実際に自分もそうなんだけど、その「過去に学んだこと」の部分を中学受験の勉強と中学・高校の部分で厚くしてほしいと。別にそれがなくてもいいことは知っているけれど、学ぶのであればできるだけ正しく分かりやすく書かれている本で学んでほしいというような願いです。これも親のエゴです。

姉と双子、中学受験を2期体験して思うのは、中学受験ってほんとうに長い期間かけて準備するなと。
高校受験や大学受験って1年程度で追い込んでいくことも多いのに、中学受験は基本3年、場合によってはもっと長く。親はこころのどこかで受験を意識する日々が続きます。
親は今の努力が合否につながると意識するのに、子どもは分かってるようで分かってはいない。
マラソンランナーをサポートすることはできても、決して代わりに走ることはできないのと一緒で、勉強するのも代わりにはなれず、それでいて全くの手放しもできないのです。

成績を伸ばすには
・間違えたところを見直ししてできるようにする。
・忘れたことを再度定着させる。
・とにかく継続して勉強をし続ける。

と、シンプルなことをやり続ければどんな学校にも受かりますが、これを数年続けることのなんとなんと難しいことか。中だるみもすれば、さぼるときもあるし、体調を崩すこともある。なんせ小学生ですので。

どんな職業や会社にも大変なことがある、と多角的に見られるのに、「すばらしい教育を謳っている中学に進学してほしい」と親自身がその中学に恋する人みたいになってしまう。
中学受験本番前に何十回も受けるテストの結果が我が子の努力の成果と感じてしまい、悪かった時はずしんと重く響く。ミスに失望したり怒ってしまったり。

油断すると簡単に教育虐待の穴に陥ってしまう魔力のようなものが中学受験にはあるので、子どもたちの良さと自分たちで定めた受験の意義を見失わないように、自制と境界線を引くことを心がけ続ける日々でした。

********************

結果は二人とも第一志望は合格に至らず、それぞれの第二志望校に進学となりました。長男は男子校、次男は共学校、本人たちの希望通りの別の学校へ進学します。
もっと細かにサポートしていれば第一志望に届いたのではないかという心残りと、いやいやフルコミットしないと決めていたなかで十分な結果ではないかという納得感がごちゃまぜの感情です。
自分のことの方がむしろ割り切れるように思われ、数年間の日々に感情の「オチ」がなかなかつかない。消化が進まないような感じです。

本人たちは二人とも結果に満足しており、チャレンジして届かなかった部分は自分より頑張り続けた人がいる、と折り合いをつけているようで、だからといって自分たちも頑張らなかったわけではないし「塾は楽しかった」と。苦手科目も「〇〇先生に教えてもらって分かるようになった」と中学受験をポジティブに考えているようです。そして今は友だちと遊ぶことにとにかく夢中です。

今となっては遠い昔にも感じるられるけど、2/1〜5までは特に怒涛の日々で、不合格の知らせが重なって普段は楽天的な次男が「自分でもよく分からないけどイライラする」と表出したこともありました。

「悲しい、悔しい、信じたくない、ショック、どんな感情もいいけど、それをイライラって表すのはやめよう(意訳)」と言ったら、少し間を置いてから「…そうだね、ゲーテも不機嫌は罪って言ってたもんね」って返してくれました。
その後自分を落ち着かせて、翌日の試験のオンライン講習を受けるまで気持ちを立て直して、我が子ながら偉いなって。
不機嫌は罪、って言葉をどこかで学び血肉としていたからこそ結実したことだったので、感情のセルフコントロールに教養が一助として働くことを目の当たりにして、不合格を受け止める姿にすら報われる部分があると感じたエピソードでした。

********************

振り返ってみると、2019年の姉の受験の時に比べると、2024年の受験は「以前より中受に傾倒する家庭が増えた」印象があります。心理的にも金銭的にも。たぶんこれはコロナ期にリモートワークが増えたことや、共働き家庭の増加、オンライン含めて塾+個別指導を利用する親が増えたことによるのかなと。姉の時はそこまで個別指導利用そこまで聞かなかったけど、双子の時はけっこうな頻度で聞きました。
きっとこれからも時世に左右されるんでしょう。

我が家の中学受験はこれにて一段落です。
これからは後進の親御さんに「大変だよね、分かるよ、うんうん」とうなずきながら、ともに子どもたちの健やかな成長を願うことにします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?