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困った時の話し方・モノの言い方③「謝る」

 マスコミのニュースでよく見かける光景の一つに挙げられるのが「謝罪・謝り」です。問題が発覚して社会的責任を伴い、組織のトップがカメラの前で「謝罪」をする訳ですが、この時の「謝り方」次第で国民感情や評価が決まり、その後の結果に大きな影響を及ぼします。

 例えば、謝罪の時に、あってはならないことですが、トップが無責任だったりすると、「不満な気持ち」が「態度」に現れ、もしもポケットに手を入れたまま謝罪したとしたら、結果は明らかです。「なんだポケットに手を入れたまま謝罪とは話にならん!論外だ!」などとクレームの嵐でしょう。

 このように「言行不一致」では、決して「謝りの気持ち」は相手に届きません。話している「言葉」と「行動」が一致しないからです。したがって、「謝り方」には、その人物の人となりや気持ちが現れる訳です。

 そこで今回は、「態度」や「表情」に代表される「視覚情報」のことには触れずに、前回同様「言語情報」つまり「謝りのフレーズ」を幾つか紹介して行きたいと思います。

 フレーズを紹介する前に、「厄介な場面」「自分が不利な立場の時」など「困った場面」で、自分の要求を通しやすくする方法があります。それは、その言葉を「先手で!」発するだけで、その後の自分の話の通りが比較的スムーズになるというまるで「魔法のようなフレーズ」です。

 その名も上記の「魔法のようなフレーズ」を直訳したような表現ですが、「マジック・フレーズ」と呼んでいます。

 マジック・フレーズには大きく分けて「5つくらいの種類の言葉」があります。いずれも難し良い言い回しは一切ありません。しいたがって、「いつでも誰でもどこでもすぐ」に活用できます。

 5つの種類とは、①「謝罪の言葉」、②「感謝の言葉」、③挨拶の言葉」、④「接客の言葉」、⑤「返事の言葉」です。

 この5つの中でも「マジック・フレーズ」の最大の特徴である「先手」でマジック・フレーズを発することで、全く効果が変わってしまうのが、まさに「マジック・フレーズ」であり、その代表的なのが「謝罪・謝りの言葉」なのです。

 例えば、クレームが発生して、取引先に訪問して、応接室で待っていると、取引先の責任者がドアから応接室に入ってきます。

 さてこの時に、取引先の責任者が先に「君!困るじゃないか!どうしてくれるんだ!」といきなりお怒りの言葉を発せられ、慌てて「この度は本当に申し訳ありませんでした!」と「謝罪のフレーズ」を言ったとしても、この場合は、「後手」に回って「申し訳ありません!」を発しているので、単なる「詫び言葉」もっと違う言い方をすると、「自分たちの非を認めた姿」という結果になってしまいます。

 ところが、同じ状況でも、自分から「先手」で働きかけたらどうなるでしょうか?応接室に入ってくるや否や「〇〇部長、おはようございます!(挨拶言葉もマジック・フレーズ)先日は〜の件で、ご迷惑をおかけしまして、本当に申し訳ありませんでした!」という言い方をしたらどうでしょう。

 相手にいきなり怒りの言葉を発せられずに済みます。その分、感情も抑えることができて、その後のやりとりにも好影響を及ぼし、自分たちがイニシアティブをとって、謝罪から説明や提案をして行くことができるのではないでしょうか。

 この「差」はあまりにも大きいのです。このように「意識的」に「先手」でマジック・フレーズを発して行きます。

 それでは、謝りの時のフレーズをいくつかランダムにご紹介します。

・「先日は00の件でご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。謹んでお詫び申し上げます。」:相手に「ご迷惑をおかけしたことを十分理解しております」という気持ちをかなり丁寧に伝えることができます。畏まったやり取りや書面などで使いたい言葉です。

・「申し開きができません。」:大きな失敗ほど、謝罪の際の「潔さ」が大切になってきます。「私は悪くない!」などの愚痴や言い訳では、相手の怒りの火に油を注ぐようなものです。申し開きー「弁明」をする前に、まずは自分たちの非をはっきりと認めることがポイントになります。

・「お恥ずかしい限りです。」「心から反省しています!」というニュアンス伝えることができるフレーズです。初歩的なミスの場合などにも使える謙った表現になります。

・「あってはならないことでした。」「あり得ないようなまずい、常識はずれの失敗をした」と自分のしたことを客観的に位置付けることによって、「猛省している姿勢」伝えることができるフレーズと言えます。

・「私の不徳の致すところです。」「不徳」とは、徳が足りないことです。その失敗や責任を明確に「自分のせい」と認めることによって、できるだけ良い印象を持ってもらえるようなフレーズです。

 謝罪の言葉遣い一つで「クレーマーをファンに!」変えられることを忘れないでいたいものです。



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