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ナツノオワリ

全盛期の暑さを乗り越え、幾分か過ごしやすくなってきた9月。
いよいよ夏も終わり、秋の香りが漂い始める。
夏の終わりとなると、皆はどのようなイメージを持つのだろうか。




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??:○○〜!はよ起きてや!


○○:んなぁ、あと5分寝かせてや...。


??:何言うてんねん!今日は海行ったあと夏祭り行って花火見るんやろ!!


朦朧とした意識の中でチラと時計を確認
○○:...まだ6時半やないか...。早起きすぎや...茉央...。


茉央:え〜、だって楽しみやったもん!!関西人の早起き気質なめたらアカンで!


〇〇と五百城茉央、2人は小学校からの仲で高校時代から付き合い始めて社会人となった。


○○:俺も関西出身や...ほら、茉央も、もう少しねよ...。


茉央:えぇ〜...。


○○:...大丈夫や、海はどこにも逃げへん...zz


茉央:あー、○○!...もぉ。


茉央:...はぁ、失礼すんで...。


布団の中に入り寝顔を見る茉央

茉央:...相変わらずイケメンやな...///


○○:...zzz


茉央:...。(ちゅーしてもええかな、起きひんよな?)


1人葛藤を続けた結果


茉央:チュッ...(アカンっ!初めて自分でっ!//)


○○:...かーいいイタズラやな。


茉央:ふぇっ!?いつの間に!?//


○○:布団入ってきてからモゾモゾしとったやろ、そんくらいからやな。

茉央:...ごっつ恥ずかしいやん//


○○:...茉央、こっち見てや。


茉央:...ん?んっ...


茉央の唇を優しく奪う○○


○○:...目ぇ覚めたわ//


茉央:もうっ!バカっ!//大好きやっ!!//


○○:安心し、俺も大好きやで!


そういい布団から出る○○


○○:さ、そろそろ準備すんで〜。


そう言った彼の顔はまだ少し赤かった。

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朝食を終え身支度も済んだ2人は早速出発した。
目的地は海の街湘南江の島。

茉央:○○〜、駅行く前に飲み物買ってかんか?


○○:おー、今日も暑いしな、ついでにちっちゃいお菓子とかも買おや。


茉央:ええな!早速コンビニへGO!


○○:相変わらず元気やなぁ笑


茉央:○○!手ぇ!


○○:...そこも相変わらずやな笑


茉央:...うっさいわ//


そう言いつつも手をからめる。茉央はいつもより強く手を握る

○○:茉央...さすがに痛いわ笑


茉央:ん...あぁ!ごめん!


○○:...なんか今日いつもと違うことない?


茉央:な!何言うてん!元気や!!


○○:んー、そか?なら行こか!


茉央:(...まだ離れたくないんや。)


茉央は静かに強く手を握り直した。
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コンビニで飲み物と少しのお菓子を購入し、江ノ島行きの電車に乗った2人。

茉央:はぁー!すっごい楽しみやな!


〇〇:せやなぁ...ところで何買ったん?


茉央:ん?ウチはお茶とグミやね。〇〇は?


〇〇:見て驚くなよ...じゃん。


茉央:えっ!じゃがりこってこんな包装やったんか!?


〇〇:新発売らしいで、見つけた瞬間即購入やったわ笑

他愛のない話をしていると
『間もなく、終点、江ノ島〜』

茉央:もう着くんか!やっぱここからやと近いんやね。


〇〇:まあな、ほら、窓の外見てみ。


茉央:…うぉー!凄い!


車窓から広がるのは一面の海景色

茉央:やっぱ海ってテンション上がんな!


〇〇:せやろ!そろそろ降りる準備しよか!


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江ノ島駅に付き、すぐに浜辺に向かう2人


茉央:ついたぁ!はよ靴脱いで砂浜行くで!


〇〇:あー、茉央、脱がん方が...

そんな声も届かずにすぐに浜辺に着陸する茉央

茉央:あっつ!!足火傷する!!!


〇〇:言わんこっちゃないわ笑


そう言いつつ靴を脱ぐ〇〇。そして...


〇〇:んあっつぅ!!!


茉央:なんで私みてたのに!!笑


〇〇:せっかくの海やろ!靴脱がんと!!


そんなやり取りをしてすぐに波打ち際へ向かう2人


〇〇:はぁぁ、水気持ちえぇ...。


茉央:○○...油断してるとな...こうや!


思いっきり水をかけてくる茉央


〇〇:おぉぉ、やったなぁ?笑


茉央:うぎゃっ!


容赦なくやり返す〇〇


茉央:あかん!!容赦無さすぎ!


〇〇:ちょっかい出した方がアカンわ!笑


しばらく水の掛け合いをしたのち、浜辺で少し休憩


茉央:あーっ、結構濡れたんやけど。


〇〇:大丈夫や、水も滴るなんとやらやで。


茉央:ホンマか、いやその顔は思っとらんな。


〇〇:茉央、大好きやで。


茉央:...それはずるいやろ...ウチも好きやで...!//


〇〇:ははっ、ほな近くにあるカフェでお昼でも食うか。


茉央:そんなんあるん!?行く!


〇〇:茉央はこの辺来んの初めてだっけ?


茉央:せやで!案内してや!


そう、2人は遠距離恋愛中なのだ。神奈川と兵庫、夏休みや正月などの連休でお互いに会いに来ていたのだ。
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カフェ内にて。
茉央:うわぁ!こんなん初めてや!


〇〇:これは俺も初めて食うな...こんな凄いんや。


2人が頼んだのはクリームが山盛りに乗ったパンケーキとアイスティー。

〇〇:ほな食うか。


茉央:あかんっ!写真撮んで!!


〇〇:おー...ええよ、撮れたん見してや。


茉央:ふふっ、実はな...じゃん!


茉央が取りだしたのはフィルムカメラ


〇〇:おぉ!ええとこのフィルムカメラやん!


茉央:今日はこれでいっぱい写真撮るって決めたんや!ほら!〇〇も入って!


〇〇:え、俺もなん笑


茉央:...思い出は残せるだけ残したいねん。


〇〇:茉央...よし、入んで!撮ってや!


茉央:ふふっ、はいチーズ!


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その後しばらく休憩し、江ノ島の島内へ向かう2人。島内は既にお祭りムードで賑わっていた。

茉央:お祭りはいつきてもいいんよなぁ。


〇〇:わかる。普通の3倍くらい焼きそば美味くなるもんな。


茉央:食いもんばっかやな...わかるけど。


〇〇:よし、何買う?色々買ってから花火の場所取りしに行こ!


茉央:えーっ、焼きそばやろ、チョコバナナ、飴ちゃん、フランクフルトに...わたあめや!


〇〇:さっき食いもんばっかゆーてたやつか?笑


茉央:うっさいわ!笑ほら、買いいこ!


〇〇:...茉央!手ぇ出し!


茉央の手を少し強めに握る〇〇


〇〇:...はぐれたらあかんからな。//


茉央:ふふっ、顔赤くなってんで笑


〇〇:そーゆー茉央も赤いで笑


茉央:…んもぉ!//行くで!

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屋台で色々買い込み、場所取りも無事に成功。


茉央:ふぅ、ここなら見えやすそうやし人もあんまおらん!


〇〇:よう見つけたなこんなとこ、凄いわ。


茉央:へへーん、さ!なんか食べよ!


屋台で買った食べ物を頬張る2人


〇〇:...茉央、口にチョコついとんで笑


茉央:へっ、はずかし!//


〇〇:ちょっとまっててな


そういい顔を近づけ、唇のふちを優しくキスする〇〇


茉央:…んーーーっっ!!//急すぎるっ!!//


〇〇:...茉央甘かったで笑//


茉央:もう!//ムードってもんがあるやろ!//


〇〇:ふふっ、あっ、そろそろ時間や。


茉央:えっ!食べんのやめよ!見る!


しばらくして、花火が打ち上がる。


茉央:...綺麗やなぁ。


〇〇:...ホンマやな。茉央と同じくらい綺麗や。


茉央:...どっちつかずすぎやろ笑


〇〇:...ふふっ、茉央の方が綺麗やで。


茉央:ちょっ、ズルいて//


〇〇:ははっ、ほら本領発揮してきたで?


花火大会も終盤に差しかかりフィナーレに向けてボルテージが上がり始めた。


〇〇:ほんま綺麗や...。


茉央:...まだ終わって欲しくない。


〇〇:...茉央。


茉央:...我慢しとったけど...、やっぱ帰りたくないわ...。


最後の大きな花火が打ち上がり、フィナーレを迎えた。


茉央:...嫌や。まだ帰らん。


〇〇:...茉央。


茉央:...なんで好きな人とわざわざ遠くへ行かなあかんねん...。


茉央の目からは涙が溢れていた。


茉央:まだ帰りたくない...〇〇...


そっと優しく抱きしめる〇〇


〇〇:茉央...、俺もや。茉央のこと帰したくないねん。


茉央:...その気持ちが嬉しいけど...でも...嫌なんや...!


茉央:ごめんなぁ、楽しい思い出にしたかったのに...こんなんなってもうて...。


〇〇:まーお、そんなこと言うやな。楽しかったで?


茉央:ううっ...ありがとぉ...。


〇〇:...落ち着いたら少し砂浜歩こ。

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茉央の気持ちも少し落ち着き、浜辺を歩きながら話す2人。


茉央:...ごめんな、なんか、耐えられんくて。


〇〇:全然よ、こんな想ってくれてんやなって少し嬉しなったわ。ここで思うのも変やけど。


茉央:...〇〇は寂しくないん?


〇〇:んー、そんなにかな。


茉央:...そっか...。こっちの生活もあるもんな。


少しムッとなった茉央


〇〇:ふふっ、茉央こっち向いてよう聞いてや。


茉央:...なんや、今そっち向きたくないねん。


〇〇:じゃあそのままでもええよ。言うで。


茉央:なんや。


『茉央、俺兵庫戻んねん。そしたら一緒に暮らそや。』


茉央:...んぇ??


〇〇:ふふっ、驚いたやろ!だから寂しくなかったんよ!


茉央:〇〇...それほんと?


〇〇:おん!茉央んとこの母さんにも伝えてあんで!

茉央:......。


〇〇:...茉央?


茉央:......〇〇ぅー!!!!


茉央は思いっきり〇〇の胸へと飛び込んだ。

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電車に乗り、神奈川の〇〇の家に向かう2人。

茉央:そういえば、それっていつ決まったん?


〇〇:茉央がくる2週間前くらい?すごい嬉しくてすぐ実家に電話したもんな。


茉央:...それまで隠してたんか。


〇〇:まぁ...ちょっとしたサプライズやし。


茉央:ふふっ、〇〇らしいわ。


〇〇:やろ?


茉央:...嬉しい。


〇〇:おー、えらく素直やな笑


茉央:フィルムカメラもぱんぱんやし、今度一緒に現像しに行こや。


〇〇:もちろんや。すぐ行こな。


『間もなく〜、△△〜』


〇〇の最寄りに到着する。
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家に着き、そのままの勢い荷物をまとめる2人。


茉央:そういえば、どこ住むとか決めてるんか?


〇〇:いや、一旦実家挟んでからやな、一緒に部屋探そ。その方が絶対ええやろ。


茉央:ふふっ、なんか新婚さんみたいやな//


〇〇:...//


茉央:あーっ!照れてるやん!カシャ


〇〇:ちょっ!今はやばい!//


〇〇:茉央も照れてる!撮る!カシャ


茉央:ちょっ!スマホの純正は盛れん〜!!

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夏の終わり、季節の変わり目と言えば、別れを思い浮かべる人も多いだろう。
しかし、この2人の今年の夏の終わりは新しい季節を迎えるための絆を深めるためのものだったらしい。

ナツノオワリ








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